有る日、彼氏と(脚本)
〇高層マンションの一室
有る日──
スマホを眺めていると、
聞きなれたメロディが鳴りはじめた。
するといつものリクトの画面があらわれた。
彼からメッセージだ。
『水族館 思ったより混んでたね』
思わず笑みがこぼれた。
「そうだったね。」
私は彼に返した。
『それで手をつなげられたのはラッキーだったw』
「私も同じこと思ってた。」
『かえりは少し疲れたけど
楽しかった』
「ホント、楽しかった。」
他愛のないいつものやりとり。
素敵な余韻に浸るつかの間、
彼からのメッセージ。
『人混みの中で 僕を探して』
『見失わないよう 輝いて見せるから』
『だから きっと』
私はリクトの言葉に感動して、
すぐには返事ができなかった。
『つかまえてくれたら』
『ちゃんと 君のものだよ』
「そうだよね!そう言ったよね!」
私は割れそうなくらいに、スマホを握りしめた。
「なのに、
なんで・・・」
熱愛発覚の文字が躍る週刊誌が
私の視界に入る
『離さなければ』
『もう 逃げないから』
「そうだよね!そうだよね!
そうだよね!そうだよね!そうだよね!そうだよね!そうだよね!そうだよね!」
私は床に横たわる彼に唇を合わせた。
もう何も抵抗しない、
美しい人形のように。
──リクトの声が部屋に響く。
『つかまえてくれたら』
『ちゃんと 君のものだよ』
私は次に来るリクトのメッセージに
声を重ねた。
『ちゃんと もう 離さないよ』


