今までの“嘘”は消えないけど

リヤナ・ソニスピード💎✒️🦔

化けの皮を被って、ごめんなさい(脚本)

今までの“嘘”は消えないけど

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〇一人部屋
鈴川 菜美「私・・・このままでいいのかな・・・」
  だってみんなに年齢や誕生日を偽って交流してるんだよ。
  みんなは“偽りの私”を話しているんだよ。
  化けの皮を被っている私と・・・これからも話したい・・・?

〇男の子の一人部屋
  今更本当のことを話しても
  「じゃあ今までのことはすべて嘘だったんだね」
  って嫌われてみんなが離れていくと思うし。

〇一人部屋
  このまま化けの皮を被り続けていいのか。
  「私・・・実は十五歳なんだ」
  って本当のことを伝えた方がいいのか。
鈴川 菜美「私は・・・どっちの道を歩めばいいの・・・?」

〇黒

〇おしゃれなリビングダイニング
  父によく
  「嘘をつき続けると、そのうち人が離れていくよ」
  と言われてきた。
  確かに父の言っていることは正しい。

〇一人部屋
  でも・・・私はみんなと話したい欲に耐えきれなくて

〇SNSの画面
  年齢や誕生日を偽ってネットの世界に入り込んだ。

〇一人部屋
  今改めて思い返してみると
鈴川 菜美「私って・・・バカだな・・・」
  と思ってしまった。
  わざわざネットの世界に入るために
  自分の年齢と誕生日を偽ってみんなと話しているんだから。
  今まで楽しく活動してきたっていうのに・・・
  今更こんなことで頭を抱えて何やってるんだろう。
鈴川 菜美「本当のことを話すとみんなが離れていくかもしれない・・・」
鈴川 菜美「でもこのまま偽っていても私自身が苦しくなる・・・」
鈴川 菜美「炎上だって避けたいしそれで評判が悪くなっていったら・・・」
鈴川 菜美「掲示板サイトで特定されるかも・・・」
鈴川 菜美「それは嫌だ・・・どうしたら・・・」
  胸が苦しくなっていく。
  ネットをやっていて苦しくなること・・・今までなかったのに。

〇黒
  そんな私はネッ友で最も信頼できる「ミノ」へ相談しにいった。

〇サイバー空間
音風 ウサ「ごめんミノ。ちょっといい?」
堅正 ミノ「うん! 大丈夫だよーどうしたの?」
音風 ウサ「実はね・・・フォロワー達に伝えた方がいいのか迷ってることがあるの」
堅正 ミノ「迷ってること? うん聞いてあげる」
音風 ウサ「・・・」
音風 ウサ「実は・・・今まで年齢と誕生日を偽っていたんだ」
堅正 ミノ「偽ってた・・・ってことは嘘ついてたってこと!?」
音風 ウサ「・・・うん。そういうことになるね」
堅正 ミノ「・・・」
音風 ウサ「やっぱり・・・縁切られる・・・?」
堅正 ミノ「そんなことないよ! ウサちゃんが化けの皮被ってたって縁切らないよ!」
音風 ウサ「そっか・・・ありがとう。ミノ」
堅正 ミノ「うん!」
堅正 ミノ「あっまだ話の続きだっだっけ 続けていいよ」
音風 ウサ「わかった」
音風 ウサ「このこと・・・みんなに話した方がいいのかな・・・?」
堅正 ミノ「話した方がいいと思うよ」
堅正 ミノ「私だって活動初期は化けの皮被っちゃって苦しかったけど」
堅正 ミノ「本当のことを話したら気が楽になったよ」
音風 ウサ「ミノも!?」
堅正 ミノ「そうだよ。経験があるから言えることかな?」
音風 ウサ「経験者なら信頼できるよw」
堅正 ミノ「w」
音風 ウサ「話に付き合ってくれてありがとう。明日に投稿されるように予約しとくよ」
堅正 ミノ「了解! その時は反応するよ!」

〇黒
  翌日
  予約していた内容が投稿された。

〇一人部屋
鈴川 菜美「みんな・・・信じてくれるかな・・・」
  不安に思っていたその時、反応が届いた。

〇SNSの画面
  「そうだったんですね・・・
  勇気を出して伝えてくれてありがとうございます!
  これからもウサさんを推していきます!」
  それは・・・一人のファンからの反応だった。
  その1つの返信をきっかけに、感謝のコメントが相次いで届いた。
  「ウサちゃん・・・苦しかっただろうな・・・
  でも大丈夫だ 俺達がついてる! ありがとな!」
  「大丈夫!
  私達はウサちゃんを嫌ったり、見放したりしないよ!
  勇気を出して言ってくれてありがとう!」
  「最初驚いてしまったけど、
  ウサたんの苦しかった気持ちが伝わってきます・・・
  ありがとう」

〇一人部屋
  私は優しすぎるファンのコメントを見て号泣した。
  ネットの中には、こんなにも優しい人達がいるんだ。
  「嘘つき」の私でも・・・ここにいていいんだ。

〇黒
  今までの“嘘”は消えないけど、許してくれる人は・・・
  優しすぎるよ。

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