BOY MEETS GIRL★渋谷

cat0050

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〇駅のホーム
  僕が最初に彼女に出会ったのは渋谷駅のプラットホームだった。
  
  その時・・・恋に奥手な僕が自分でも驚くような行動に出た。
小幡誉司「あの・・・一目惚れしました。僕と付き合って頂けませんか!」
  彼女は最初、ポカーンとした顔で僕の顔を見ていたが、赤面し直ちに答えた。
霧畑ユカ「えっ、私と!?」
小幡誉司「はい、あなたです!もう二度と出会えないかも知れないと思い、告白させて頂きました!」
霧畑ユカ「でも・・・私は実は、実は・・・」
小幡誉司「実はなんなのですか!女装した美少年だったとか!?」
霧畑ユカ「違います、女の子です!」
  ほっとする僕。
霧畑ユカ「お付き合いですか・・・。私、告白されたのなんか人生で初めてです」
小幡誉司「僕も告白したの初めてです!」
霧畑ユカ「それが・・・私だったんですね?」
小幡誉司「はい、その、ご返事の方は・・・」
  コクリと頷く彼女。
小幡誉司「えっ、もしかして!?」
霧畑ユカ「はい、お付き合いしても構いません」
小幡誉司「ほっ、本当に!?ヤッター!」
霧畑ユカ「ただし・・・私は・・・」
  僕は彼女が何か伝えようとしたのを他所に有頂天だった。
  彼女の表情に暗鬱な色が漂っている事など、気にする素振りも見せずに。
  そして僕らは自己紹介を始めた。
霧畑ユカ「私は・・・〇〇高校の1年生です」
小幡誉司「あぁ・・・あそこか。そう言えば〇〇高校の制服だね」
  ニコリと微笑む彼女。
霧畑ユカ「小幡くんはどこの高校ですか?」
小幡誉司「〇〇〇高校の1年生」
  するとだった。
  彼女は目を泳がせて、あっあぁ!となにか合点したかのように頷くと答えた。
霧畑ユカ「あっ、あの高校ですか!」
小幡誉司「ユカさんの方が偏差値高いよね・・・」
霧畑ユカ「そんなこと、全然、気にしていませんよ!」
小幡誉司「ユカさんが目指すと知ってたら、もっと勉強頑張ったのに!」
  ウフフと微笑む彼女。
  それにしてもカワイイ。
  きっと〇〇高校でもモテモテだろう。
  
  そしてこの日は僕らはここで連絡先を交換し別れたのであった。
  それから僕らはデートを重ねた。
  
  カノジョは当初どこか暗鬱な表情をする事が多かった。
  しかし僕とデートを重ねる事によって、徐々に明るさを取り戻していったように僕には思われた。

〇大企業のオフィスビル
  そんなある日のことだった。
  
  その日僕らはSHIBUYA SKYから夜景を見ていた。
  夜景を見ながら僕はそっと渚の肩に腕を回した。
  ユカも拒否しない。
  
  僕は思わずキスをしようと顔を近づけた瞬間だった。
霧畑ユカ「ヤメテ・・・」
  拒絶するユカ。
小幡誉司「ごっ、ごめん、つい・・・まだ、早かったよね」
  しかしユカの顔は怒りと言うより悲しみに染まっていた。
霧畑ユカ「違うの、誉司が悪いんじゃないの」
小幡誉司「えっ、じゃあ・・・」
霧畑ユカ「今日で誉司とはお別れしなければならないの」
小幡誉司「僕の事が嫌いになったの!?」
霧畑ユカ「好きよ」
小幡誉司「じゃあ、なぜ!?」
霧畑ユカ「私、実は未来の渋谷からタイムリープして来ていたの」
小幡誉司「出鱈目言うな!」
霧畑ユカ「本当よ!100年後の渋谷で生きる自信を無くして、過去の渋谷に逃げて来ていたの」
小幡誉司「じゃあ、なぜ僕と・・・」
霧畑ユカ「あなたに告白されて、こんな私でも好きになってくれる人がいるんだと驚いたの」
霧畑ユカ「そして交際して、あなたから生きる力を貰えた」
霧畑ユカ「だから、逃げずに前を向いて生きて行く為に未来に戻るの!!」
小幡誉司「じゃあ、僕らの恋は!!」
  その時、ユカが僕にキスをした。
  
  初キスだった。
  
  ユカは泣いていた。
  そして手の平に光り輝かせた何かを握りしめ言った。
霧畑ユカ「一生、誉司の事は忘れない」
  僕も涙を流し答えた。
小幡誉司「僕も一生、ユカの事は忘れない」
  ユカはニコリと微笑むと光の中に消えて行ったのだった。
  僕は空を見上げた。
  
  遠い100年後のユカを思い描いて。

コメント

  • 100年後の人だとしても愛は変わらない!そう思いたいけどそうもいかないのですね…。
    でも同じ世界として繋がっているというところで、ロマンを感じますね。

  • 切なくて、甘くて、個人的に好きなタイプのお話でした。
    まさか100年後の未来から来てるとは思いませんでしたが、彼女の秘密が気になりながら読んでました。
    本当にまさかでした!

  • 未来で見つからなかったものが過去で見つかる、なにか現実にも将来そういうことが起こるようなきがしました。残された彼は哀しいけれど、彼女と過ごせた日々がきっと将来の糧になりますね。

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