絶叫都市シブヤ

うずネコ

異界の街シブヤ(脚本)

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うずネコ

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〇駅のホーム
少年「さて、どうしたものか・・・」
少女「あれ~、駅のホームでなに悩んでるの?」
少年「それがな、もう今月カネがあらへんのや。こうなったらあそこ行ってブツを売るしかあらへん」
少女「あそこって?」
少年「地獄の絶叫都市、シブヤ!」
少女「シブヤってそんな怖そうな街だっけ!?」
少年「実際怖い街やでぇ。あそこ、駅の改札になんて書いてあるか知っとるか?」
少女「なんて書いてあるの?」
少年「この改札を抜けるもの、一切の希望を捨てよ!」
少女「書いてないよ! 絶対書いてないから!」
少年「ちゃんと書いてあるで? 地獄文字で」
少女「地獄文字ってなに!?」
少年「まあ聞け。その地獄の鬼もヤバイよと連呼する街、それがシブヤや」
少女「地獄の鬼が連呼するの!?」
少年「連呼しつつ、たまに絶叫する!」
少女「どんだけッ!?」
少年「噂をすればちょうど今きた列車がシブヤ行きや。ささ、おまえも乗りい」

〇駅のホーム
少女「なんでボクまで!?」
少年「ええから! ほら、ええから!」

〇電車の中
少女「わッ! 乗っちゃった!」
少年「実はな、これから行くのは渋い谷と書くシブヤとちゃうねん」
少女「は? シブヤといえば渋い谷だろ?」
少年「それは人間界のシブヤ。こっちのシブヤはな、」
少年「死びとの死、腐女子の腐、地獄谷の谷を合わせて死腐谷と書くのや」
少女「こわッ! 死びとに腐女子に、わざわざ地獄谷の谷ってなんだよ!」
少女「ボク帰る、そこどいて!」
少女「あああ、あーッ! ドア閉まっちゃった!」
少年「知らへんかったのか? 死腐谷からは逃げられない」
少女「キミが! 逃げようとするボクの前に! 回りこむからだろッ!」
少年「落ち着け。ええか、死腐谷に着いたらまずは清めの塩を口に含むんや」
少年「オレがええと言うまで吐き出したらあかんで? 魂抜かれるからな」
少女「何が棲んでるの!? ねえ、死腐谷には何が棲んでるのッ!?」
少年「ん~、ゾンビとか、腐女子とか?」
少女「ゾンビとか腐女子ッ!?」
少年「なにしろあの街は、生肉投げれば秒でゾンビに喰われるし、」
少年「イケメン二人を投げれば、秒で腐女子にカップリングされるから」
少女「それ、どこの魔界ッ!?」
少年「お! 次の停車駅は原宿やで」
少女「降りる! ボク原宿で降りるから!」
少女「うわッ! う、嘘だろ! 駅のホームで電車より大きな肉塊がぐねぐね動いてる!?」
少年「あ~アレな。原宿のゆるキャラ、肉塊君や!」
少女「そんなキワモノ、いつからゆるキャラなんだよッ!?」
少女「あ、自衛隊が火炎放射器で戦ってる! 頑張れ! 超頑張れ!」
少女「ああ~ッ! ダメだ、肉塊に呑み込まれた!」
少年「こんな場所で火炎放射器使うとか、ほんま都会は恐ろしいわ」
少女「そこッ!? 恐ろしいのはそこなのッ!?」
少女「あッ、肉塊がこっちに来たッ! 隣の車両がどんどん呑み込まれてるッ!」
少年「ん? 今日の肉塊君は元気がええな!」
少女「み、見てッ! 触手がのびてきたッ!」
少女「触手の先から目玉がッ!」
少女「目玉から光線が~ッ!?」
  まもなく死腐谷行き準急列車が発車いたします。閉まるドアにご注意ください。ジリリリリ、プシュー
少女「列車出たーッ! 肉塊が離れてく! た、助かった~」
少年「は~、命拾いしたな」
少女「ゆるキャラから命拾いってなにッ!?」
少年「今日は肉塊君がバーサクする日なの忘れてたわ。いや~悪かったな」
少年「おまえが呑まれたら大損やったわ」
少女「ボクが呑まれるとなんでキミが大損するのッ!?」
少年「死腐谷でブツを売るって言ったやろ? 人間の魂ってな、結構高く売れるんや」
少女「それって誰の魂売るの! ねえ、誰の魂売るのッ!?」
  ご乗車ありがとうございます。この列車は間もなく終点、死腐谷に停まります
  お降りの際には車内にお命、魂、生き肝等、お忘れ物のないようお気をつけ下さい
少女「嘘だろ! そんなの忘れて降りる人いるの!?」
少年「死腐谷じゃ結構いるみたいやで?」
少女「いるんだッ!?」

〇駅のホーム
少年「ほら、もう駅のホームでゾンビと腐女子の皆さんがお待ちかねや」
少女「腐臭と腐臭のカップリング~ッ!?」
少年「お~い魂売りに来たで~! ワイらの魂高く買うてくれ~!」
少女「ワイらって、自分の魂も売っちゃうんだ!?」
少年「ええ~? ゾンビはんに腐女子はんも、ワイの魂は薄汚れてるからいらんやて?」
少年「な、ならこいつの魂だけでも! え? こいつにはすでに魂がないからダメ?」
少年「う、嘘やろ! どういうことッ!?」
少女「ご、ごめんね・・・今まで隠してたけど、ボク本当はゾンビなんだ!」
少年「うそ~んッ!」
少女「ボク、ゾンビだけど腐女子じゃないから安心して下さい! それでね、ボク・・・」
少女「キミの人でなしな所が好き。お願い、ボクと付き合って!」
少年「うそ~んッ! じ、実はワイもキミのこと、ずっと前から好きでした」
少女「ホントに? 嬉しいッ!」
少年「けど、本当にワイなんかでいいのか?」
少女「うん! だってね、ボクはほとんど腐ってないけどゾンビだし、」
少女「キミは生きてるけど、すっごく性根が腐ってるでしょ!」
少女「ボクたち、きっと相性ぴったりだよ!」
少年「ははは! お互いちょっとだけ腐ってたか。降参や、こら一本とられたわ!」
少女「キミはちょっとだけじゃないけどね!」
少年「勘弁してんか。きっついのはおまえの正体だけにしてほしいわ」
少女「いや~、キミの本性ほどじゃないよ。ははは! ほら腐ったモノ同士、ボクたち息がピッタリだ!」
「これがホントの腐れ縁!」
少女「あ、あれ~、どうしたんだろ? ゾンビと腐女子の皆さん、全員白目むいてる」
  おしまい

コメント

  • 少女のツッコミが冴えるお話でした。笑
    すごい勢いでツッコミ入れてるんで、読んでておもしろかったです!
    でも、まさかのオチでびっくりしました!
    お似合いのカップルでよかったです。

  • ゾンビと腐女子とを同列にしているところに味噌があるのですね(笑)アニメーションで入れてある絶妙なツッコミがとっても良いアクセントになっていました。作者の才能が溢れた作品でした!!他にも作品があれば読んでみたいです。

  • まさかの展開でした笑
    何かしら通ずるものがこのやりとりより前からあったんでしょうね。似たような話できっと盛り上がっていたのでしょう!
    なんとまぁ微笑ましいです!

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