立ち塞がる壁(脚本)
〇渡り廊下
りこ「先輩、私思うんです」
先輩「な、何をかな?」
りこ「例えば急いでいる時に限って用事を頼まれるとか」
先輩「あ~、あるかもね」
りこ「声をかけられるとか」
先輩「うんうん・・・・・・あるね」
りこ「ああいう時って、相手は気付いてないんでしょうか? こっちが急いでいる事に」
先輩「う~ん・・・・・・どうだろう」
りこ「きっと気付いていると思うんです」
先輩「そ、そう」
りこ「はい。表情から何となく分かると言いますか・・・・・・」
先輩「た、例えば?」
りこ「こう・・・・・・何というか苦笑いみたいな」
先輩「そ、そう」
りこ「ちょっと目が泳いでいるみたいな」
先輩「な、なるほど・・・・・・」
りこ「他にはですね・・・・・・」
先輩「いや、もう充分分かったよ」
りこ「ちょっと聞いてくださいよ!」
先輩「言いたい事は分かったから」
りこ「今日は一段と冷たい態度ですね」
先輩「冷たくないよ!? 今日もいつも!!」
りこ「私の事はもう飽きましたか・・・・・・」
先輩「言葉のチョイスが悪いよ!! 飽きたとか何よ!?」
りこ「飽きてないなら聞いてください」
先輩「聞いてあげたいのはやまやまなんだけど・・・・・・」
りこ「何ですか?」
先輩「あの・・・・・・次体育の授業だから早く体育館に行かないと」
りこ「ええ。先輩、体操服姿ですもんね! 急いでいると思いました。 それで話の続きなんですが・・・・・・」
先輩「分かってて話しかけてきた!?」
りこ「そういう事になりますね」
先輩「・・・・・・泣くよ?」
りこ「どうぞ」
先輩「どうぞじゃないよ!! 澄ました顔するんじゃないよ!」