エピソード1(脚本)
〇汚い一人部屋
吉田幸太郎「ウィー、沙織。何故、俺は寂しい・・・」
沢村健「おい、幸太郎。何時までそうやってるつもりだ」
吉田幸太郎「あっ、健。いつまでったって、まだ3年だぞ」
沢村健「野球はどうするんだ。あんなに好きだったのに」
吉田幸太郎「いいんだ、沙織がいない人生だから」
沢村健「息子の隆君にそんなだらしない恰好見せられないだろ」
吉田幸太郎「まぁ、そう言わず・・・付き合え」
沢村健「ええーい、こんな物・・・」
吉田幸太郎「な、何するんだ勿体ない」
沢村健「亡くなった沙織さんも草葉の陰で泣いてるぞ」
吉田幸太郎「沙織がいればこんな酒なんか飲まねぇ」
沢村健「そうだ、いい事教えてやろう」
吉田幸太郎「何だい?いい事ってのは・・・」
沢村健「亡くなった沙織さんに会わせてやる」
吉田幸太郎「えっ、本当か。健」
沢村健「あぁ、本当さ。その代わり酒は辞めろ」
吉田幸太郎「勿論さ、約束する」
沢村健「よし、満月の夜、箱根のすすき野にある祠へ行け。そうすれば会える」
吉田幸太郎「わかった」
吉田隆「パパ、僕も連れてって」
吉田幸太郎「よし、二人でママに会いに行こう」
吉田隆「ヤッター」
〇温泉旅館
高野伸二「遅いなぁ」
吉田幸太郎「イヤッ、遅くなりまして予約した吉田です」
高野伸二「吉田様、お待ちしておりました」
吉田幸太郎「こっちは息子の隆です。隆ご挨拶」
吉田隆「宜しくお願いします」
高野伸二「はい、宜しく、さぁさぁお部屋へ・・・」
〇和室
吉田幸太郎「お世話になります」
高野伸二「ようこそ、おいでくださいました」
吉田幸太郎「所で、ご主人。亡くなった人に会える場所があると聞いたんだが」
高野伸二「そ、そんな場所ある訳ないでしょ」
吉田幸太郎「実は家内が亡くなりまして・・・」
高野伸二「それはお気の毒に」
吉田幸太郎「それで、この子をママに会わせたいと思いまして」
吉田隆「おじちゃん、ママに会わせてくれる?」
高野伸二「まぁ、噂ですが、でもその場所に行った人はほとんど戻ってきませんからおやめになった方が・・・」
吉田幸太郎「では、何処なんですか?」
高野伸二「すすき野の中の神社に満月の夜お参りして会わせて欲しい人を叫ぶと出て来ると言い伝われてます」
吉田幸太郎「今夜は満月・・・よし行くか」
吉田隆「うん、早くママに会いたい」
高野伸二「判りました。でもくれぐれもお気をつけて・・・」
〇温泉旅館
高野伸二「地図とそれに・・・」
吉田幸太郎「何この数珠?」
高野伸二「その付いているススキがお守りです。さぁ息子さんの分も」
吉田隆「ありがとう」
高野伸二「それから、奥さんの後ろ姿を絶対に見てはいけませんからね」
吉田幸太郎「ありがとう。では行ってくる」
高野伸二「お気をつけて」
〇草原
吉田隆「パパ、チョコレートサンディ食べたい」
吉田幸太郎「ママの好物だったおはぎならあるぞ」
吉田隆「やだ、おはぎなんか」
吉田幸太郎「ママが大好きだったんだぞ」
吉田隆「怖いから、もう帰る」
吉田幸太郎「ママに会いたくないのか?」
吉田隆「会いたいけど・・・何か・・・」
吉田隆「が、骸骨・・・」
吉田幸太郎「男だろ、骸骨で怖がるな」
吉田隆「ヤッパ、怖い」
〇草原
〇枯れ井戸
妖怪6「ねぇ、遊ぼう」
吉田隆「何処から来たの?」
妖怪8「捕まえた」
吉田幸太郎「お~い」
怪人1「どうされました?」
吉田幸太郎「息子とはぐれて」
怪人3「それは大変だ」
吉田幸太郎「うわぁぁぁぁぁぁぁ・・・」
〇古びた神社
吉田幸太郎「はぁはぁはぁ・・・」
吉田隆「ま、待ってパパ・・・」
吉田幸太郎「どうやら、ここが祠かな?」
吉田隆「祠というより寺じゃん」
吉田幸太郎「まぁいいや「沙織にもう一度会いたい」」
〇古びた神社
吉田幸太郎「沙織、会いたかった」
吉田隆「ママ・・・」
吉田沙織「あなた、隆。元気にしてた?」
吉田幸太郎「そうだ、好物のおはぎ」
吉田隆「お堂の中は?・・・」
吉田沙織「覚えていてくれたのね、おはぎ」
吉田幸太郎「当り前さ」
吉田沙織「御免なさい。隆の世話」
吉田幸太郎「なぁに」
吉田沙織「再婚していいのよ」
吉田幸太郎「そ、そんなぁ」
吉田沙織「隆が心配なの」
吉田幸太郎「大丈夫」
吉田沙織「そうだ魔物たちをどうやって防いだの?」
吉田幸太郎「旅館のご主人がススキのお守りをくれてね」
吉田沙織「そうなんだ」
吉田幸太郎「毎年来るからね」
吉田沙織「有難う」
吉田幸太郎「会えてよかった」
吉田沙織「私も」
吉田沙織「そうだ、妖怪たちに気を付けてね」
吉田幸太郎「お守りがあるから心配ないさ」
吉田沙織「じゃぁ名残惜しいけど帰るわね」
吉田隆「ママ、もう帰るの?」
吉田沙織「元気にしていい子でね隆」
吉田沙織「そうだ私の後ろ姿を見ないでね」
吉田幸太郎「どうして?」
吉田沙織「どうしても」
吉田幸太郎「判った」
吉田幸太郎「これでいいか?」
幽霊7「見たな」
吉田幸太郎「あわわ、隆逃げよう」
幽霊7「まてぇー」
〇草原
幽霊7「見たな・・・逃がさないぞ」
吉田隆「パパ、待ってパパ」
吉田幸太郎「は、早く隆・・・」
吉田隆「お守り、落としちゃった」
吉田幸太郎「ええっ、」
吉田隆「あっ、あれは何?空に何かいる」
吉田幸太郎「な、何だろう?」
吉田隆「うぁー・・・」
吉田幸太郎「あっ、隆しっかり」
吉田幸太郎「ダメだ、息をしてない」
幽霊7「フフフ、もう逃がさない。覚悟」
吉田幸太郎「隆、死ぬな・・・」
幽霊7「えっ、隆しっかりして・・・」
吉田沙織「ママよ・・・起きなさい」
吉田沙織「よくも隆に・・・」
吉田沙織「ゴメンね隆・・・」
吉田幸太郎「隆は助かるんだろうな?」
吉田沙織「助かる代わり、私達もう会えなくなるわ」
吉田幸太郎「えっ、」
吉田沙織「そんなことより、隆を生き返らさなきゃ」
吉田沙織「左様なら、あなた・・・」
吉田幸太郎「さ、沙織・・・」
〇病室
医者「はい、もう大丈夫」
吉田隆「有難う先生」
医者「良かったな、退院出来て」
吉田隆「うん」
吉田幸太郎「隆、好物のチョコレートサンデー買って来たぞ」
吉田隆「違うよ、苺パフェじゃないか」
吉田幸太郎「ごめん」
吉田隆「それより、おはぎ食べたい」
吉田幸太郎「えっ、沙織・・・」
医者「心配いりません。あの祠から帰ると憑りつかれる人がたまにいらっしゃるんですよ」