渋谷無人ゴシップ

ガンダーラ磯崎

読切(脚本)

渋谷無人ゴシップ

ガンダーラ磯崎

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〇渋谷のスクランブル交差点
  それは、深夜バイトを終えた夜明け前だった・・・。

〇渋谷のスクランブル交差点
リュウタ「あれ?・・・誰もいない・・・」
  渋谷駅の周りを見渡すと自分以外誰1人いない事に気付いたのだ。

〇渋谷のスクランブル交差点
リュウタ「そういえば昔・・・」

〇大きな木のある校舎
  私は、高校時代、親友のマサキが話していた都市伝説を思い出した・・・

〇教室
マサキ「リュウタ知ってるか?ハチ公像ってあるだろ?」
リュウタ「ああ、渋谷の?」

〇教室
マサキ「そう。実はな、渋谷駅の周辺にだーれもいない時にハチ公像の前で呪文を唱えたら、ハチ公が喋り出して願いを叶えてくれるんだよ」

〇教室
リュウタ「フン、またくだらない都市伝説かよ」
マサキ「いや、これマジだから」
リュウタ「そもそも渋谷駅の周辺に誰もいない状況なんてありえないだろ?」

〇教室
マサキ「まあ、確率は極めて低いけどな」
マサキ「もしそんな状況が来たらこの呪文を唱えてみろ」
  そう言うとマサキは、私に「ハチ公が願い事を叶えてくれる」という呪文を教えてくれた。

〇ハチ公前
  当時の話を思い出した私は、ハチ公像の前へ行き、なんとなく呪文を唱えてみた。

〇黒背景
リュウタ「マルキュートーキューセンターガイマルキュートーキューセンターガイ、住んでるところに住むところドウゲンザカにブンカムラ・・」
  呪文を唱え終わったその時だった・・・

〇ハチ公前
「ハチ公像「そこのお兄さん?」」

〇黒背景
リュウタ「ハ、ハチ公像が喋った!!!」

〇ハチ公前
「ハチ公像「あまり大きな声を出さないでね」」

〇黒背景
リュウタ「あ、す、すいません・・・」
  マサキが言った事は本当だったんだ・・・!!

〇ハチ公前
「ハチ公像「それじゃ、願いを言ってね」」

〇黒背景
リュウタ「は、はい・・・えーと・・・願いは・・・」

〇ハチ公前
「ハチ公像「お兄さんの願いを109個叶えてあげるよ」」

〇黒背景
リュウタ「え?・・・ひゃ、109個!?」

〇ハチ公前
「ハチ公像「少なかった?」」

〇黒背景
リュウタ「いや、多過ぎじゃないですか?」

〇ハチ公前
「ハチ公像「そうかな?」」

〇黒背景
リュウタ「今まで叶えたい夢109個も考えた事無いんだよなあ・・・」

〇ハチ公前
「ハチ公像「ちなみに誰かが来る前に109個の願いを言い終わらないとダメだからね」」

〇黒背景
リュウタ「え?そ、そうか。やべっ、早く言わないと」

〇ハチ公前
「ハチ公像「頭フル回転させて!さっ、早く早く!」」

〇黒背景
リュウタ「余計あせりますから急かさないでください!」

〇黒背景
リュウタ「えーと、今の彼女と結婚出来ますように。 ずっと健康でいられますように。給料がめちゃくちゃ上がりますように・・あ!そうだ!」

〇黒背景
リュウタ「今、人が来ませんようにっていうのはアリですか?」

〇ハチ公前
「ハチ公像「それは叶えられないよ。反則になっちゃうよ」」

〇黒背景
リュウタ「や、やっぱりそうですよね・・・」
  私は慌てながら、思いつく限りの叶えたい夢をハチ公像に伝えまくった。しかし・・・

〇ハチ公前
警察「何をされているんですか?」

〇黒背景
リュウタ「あ・・・い、いや、何も・・・」

〇ハチ公前
警察「ハチ公に何か話されてますけど、大丈夫ですか?相当酔ってます?」

〇黒背景
リュウタ「だ、大丈夫です。完全にシラフです」
  不審に思ったお巡りさんが、私に声を掛けて来た・・・

〇ハチ公前
  お巡りさんが去った後、私はハチ公像に再び話しかけた・・・だが、ハチ公は無言のままだった・・・
  結局、願いを叶える事は出来なかった・・・

〇ハチ公前
リュウタ「仕方ない。帰るか・・・」
「ハチ公像「フフフフ」」

〇ハチ公前
リュウタ「え!?」
  私が帰ろうとしたその時、ハチ公像から再び声が聴こえた。

〇ハチ公前
「ハチ公像「本当にそんな都市伝説信じてたの?」」

〇黒背景
リュウタ「またハチ公が喋った!!」
「ハチ公?違うよーん!」

〇黒背景
リュウタ「え?ハチ公じゃない!?じゃあいったい誰なんだ!?」
  私がそう言うと、ハチ公像の背後から何者かが現れた。それを見た私は、驚愕した!

〇黒背景
リュウタ「モ、モヤイ像だ!!!!」
「モヤイ像「ビックリした?」」
リュウタ「ビ、ビックリどころじゃないですよ!し、しかも・・・」
「モヤイ像「何だい?」」

〇黒背景
リュウタ「な、何でスポーツ刈りなんですか!!?」
  私と会話していたのはハチ公ではなく、
  あのロングヘアをバッサリとカットしたモヤイ像だったのだ。
「モヤイ像「今までハチ公になりすましちゃってゴメン!お詫びに願いを叶えてあげるよ」」
リュウタ「え?モヤイさん、本当に願いを叶えられるんですか?」
「モヤイ像「ああ、2つだけならね」」
リュウタ「2つ!・・・そ、それじゃあ・・・」
「モヤイ像「何でも叶えてあげるぜ」」
リュウタ「親友のマサキを、現世に蘇らせる事は出来ますか?」
「モヤイ像「OK!叶えてあげよう!」」
リュウタ「ほ、本当ですか!!?やったー!!!!」
「モヤイ像「あともう一つは?」」
リュウタ「そ、それじゃあ・・・モヤイさんのヘアスタイルを元に戻してください」
「モヤイ像「それは出来ない」」
「モヤイ像「夏に向けてバッサリ切ったんだから。いつも俺がいる場所、直射日光ハンパねえのよ」」

〇川に架かる橋
  翌日。あの願い事が本当に叶ったのか確かめるため、再び渋谷駅へ向かった。
リュウタ(待ち合わせ場所に着いたら、スマホに残ってるマサキの連絡先に掛けてみるか・・・)

〇SHIBUYA109
  待ち合わせ場所は、もちろん・・・
  スポーツ刈りのモヤイ像前だ。

〇モヤイ像
  果たしてつながるのだろうか?・・・・・・
  ピッ!!
リュウタ「あ!出た!・・・も、もしもーし!!?」
  ──おわり──

コメント

  • 他に類を見ない奇想天外ですね!
    そしてそれに対応できるタップ ノベルの背景の多さにびっくりしました😆
    背景がしゃべるというのも 面白かったです😁
    笑わせて ちょっと じーんとさせるところで
    いい話だなと思いました。

  • ハチ公から109個の願いを叶えてあげると言われた時は半信半疑だったんでしょうね。それがモアイ像から2個にしぼって聞かれた時にとっさに親友の甦りを望んだところにジーンときました。

  • すっごくいいところで終わってますね!笑
    会話が読んでてすごくおもしろくて、続き続き!って読んでしまいました。
    願いが多すぎて笑ってしまいましたが、嘘だと発覚したのでまたびっくり。

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