〇地球
バニラ「今日こそ決着をつけるぞ。 魔王ノットミント！」
魔王ノットミント「来い、勇者バニラよ！」
バニラ「魔王！ なぜ貴様は地上を・・・」
バニラ「いや、地上のアイスクリーム屋を 頻繁に襲うんだ！」
魔王ノットミント「知りたいか！」
魔王ノットミント「あれはまだ私が、 ただの人間だった頃・・・」

〇集中治療室
ノットミント(少年時代)「歯医者とかめんどくせーなー」
歯医者「ははは、そういわずに」
歯医者「子供の頃から 歯を大事にすることは大切ですよ」
　　診察中・・・
歯医者「うん、よろしい。 では最後に歯を磨きましょう」
ノットミント(少年時代)「・・・ん」
ノットミント(少年時代)「なあ、先生。この味は・・・？」
歯医者「一般的なミントの歯磨き粉ですよ？」
ノットミント(少年時代)「あー・・・」
ノットミント(少年時代)「オレ、この味、苦手だ・・・」
歯医者「そのうち慣れますよ」
　　だが結局、
　　歯磨き粉の味に慣れることはなかった。

〇開けた交差点
「なあなあ、アイス買わねえ？」
「いいねいいね、何味にする？」
「今流行りはチョコミントだろ！」
ノットミント(少年時代)「アイス・・・ 最近、食べてないな」
ノットミント(少年時代)「チョコミント、だっけ。 買ってみるか・・・」
ノットミント(少年時代)「っ・・・！」
ノットミント(少年時代)「こ、この味・・・」
ノットミント(少年時代)「歯医者のあの味だ・・・」

〇地球
魔王ノットミント「あんなものは食べ物の味ではない！ だから抹殺することにした！」
バニラ「ええ・・・」
バニラ「じゃ、じゃあ、 アイス屋ごと襲っていたのは・・・？」
魔王ノットミント「チョコミントだけ襲うと 狙いがバレバレだろうが！」
魔王ノットミント「だが知られたからにはもういい」
魔王ノットミント「チョコミントなどというものは せいぜい歯を磨くだけのもの！」
魔王ノットミント「それを守る貴様もろとも 滅ぼしてくれるわ！」
バニラ「そうはさせない！」
バニラ「魔王ノットミント！ 確かにチョコミント味は 地上でも意見が分かれる味だ！」
バニラ「だが、確かに、 その味を愛する人がいる！」
バニラ「僕はそのためにも 負けるわけにはいかない！」
バニラ「世界中のチョコミント好きよ！ 力を貸してくれ！」
魔王ノットミント「な、なんだこのエネルギーは!?」
バニラ「これが地上のチョコミン党の力だ!!」
魔王ノットミント「ば、馬鹿なあ!!」

〇地球
魔王ノットミント「私の負けだ、勇者バニラよ」
魔王ノットミント「だが貴様も認めた。 チョコミント味は賛否があるということを」
バニラ「・・・」
魔王ノットミント「その火種を消さぬ限り、 第二第三の私が現れる・・・」
魔王ノットミント「せいぜい忘れぬことだ・・・」
バニラ「わかってるさ、魔王ノットミント」
バニラ「僕はこれからも戦い続ける」
バニラ「いつの日か分かりあえる日が来るまで」
バニラ「・・・」
バニラ「まあ、僕の名前はバニラなんですけど」
　　完