オープニング(脚本)
〇映画館の入場口
紫陽琴花「ちょっとお! 皆さん、どこ行っちゃったんですか?」
紫陽琴花「絶対はぐれるなって隊長に言われたのに。 もう、しょうがないなあ・・・」
碓氷白雪「はぐれているのは貴女ですよ・・・」
紫陽琴花「あっ! 碓氷先輩!」
碓氷白雪「まったく・・・。 新人のくせに手間かけさせないでください」
紫陽琴花「えへへ、すみませ~ん・・・」
紫陽琴花「ところで、他の皆さんは どこ行っちゃったんですか?」
碓氷白雪「貴女を探すために別行動してたんですよ。 集合かけますから、ちょっと 待っててください」
碓氷白雪「・・・こちら碓氷、 琴花さんを見つけました」
碓氷白雪「各員、109シネマズに集合してください」
紫陽琴花「ねえ、碓氷先輩。これなんですかあ?」
碓氷白雪「ん? これとは?」
紫陽琴花「この、首回りの布?」
紫陽琴花「正直動きづらいし、デザインも 好きじゃないんですけどお」
黄宮向日葵「それはマフラーだね。 この時代の防寒具らしいよ」
紫陽琴花「あっ! 黄宮隊長~!」
薔薇ヶ崎あかね「こら琴花! 単独行動するなって言われてただろ!」
紫陽琴花「あかね先輩も! 今までどこにいたんですか?」
ダリア・クロイツ「それを言いたいのはこっちだっての! いい加減、隊長の手を煩わせないでよね」
紫陽琴花「ダリア先輩~! 私も好きで煩わせてるわけじゃ ないんですよ?」
薔薇ヶ崎あかね「当たり前だろ! 好きで邪魔されてたまるか!」
ダリア・クロイツ「これはれっきとした任務なのよ? お遊びで来てるわけじゃないんだからね!」
紫陽琴花「ん~? そういう2人が手に持ってるものは 何なんですかあ?」
薔薇ヶ崎あかね「んおっ!? こ、これはだな・・・」
ダリア・クロイツ「す、水分補給は大切じゃない? 任務中なんだし・・・」
黄宮向日葵「水分補給って言う割には、 やけに甘そうな匂いがするね」
黄宮向日葵「・・・ダリアちゃんはバニラで、 あかねちゃんはチョコレートかな?」
「・・・・・・」
黄宮向日葵「もう、みんな!」
黄宮向日葵「私たちは観光目的でこの時代に 来たわけじゃないんだよ? もっと真面目にやって!」
碓氷白雪「隊長? 私ははじめから、任務のことしか 考えていませんよ」
黄宮向日葵「・・・白雪ちゃん。 襟に食べカスがついてるよ」
碓氷白雪「・・・とても、美味しかったです」
黄宮向日葵「はあ、もう・・・」
黄宮向日葵「琴花ちゃん!」
紫陽琴花「ひゃいっ!?」
黄宮向日葵「あなたの所属は!?」
紫陽琴花「ちょ、超時空捜査隊PALETTE内に、 この度新設された第9班、 通称「マルキュー」であります!」
黄宮向日葵「よろしい」
黄宮向日葵「次、あかねちゃん!」
薔薇ヶ崎あかね「はい!」
黄宮向日葵「私たちマルキューの目的は?」
薔薇ヶ崎あかね「そりゃあもう、時空法を犯した悪い奴を ぶっ倒すことっすよ!」
黄宮向日葵「うーん・・・ちょっと違うなあ・・・」
ダリア・クロイツ「はあ。 相変わらずお馬鹿さんね、あかねは」
薔薇ヶ崎あかね「な!?」
ダリア・クロイツ「私たちの目的は、未来から持ち出された アイテム――ネオ・ガジェットを 回収すること」
ダリア・クロイツ「ですよね、黄宮隊長!」
黄宮向日葵「その通り。さすがダリアちゃんね」
ダリア・クロイツ「隊長! もっと褒めてください!」
黄宮向日葵「ちょ、ちょっと、近いって!」
黄宮向日葵「・・・次、白雪ちゃん!」
碓氷白雪「はい」
黄宮向日葵「今回、私たちが回収するのは?」
碓氷白雪「ガジェット名【メイク・フレンズ】」
碓氷白雪「2025年の日本、つまり私が今いる この時空に存在していることが 判明しています」
黄宮向日葵「うん、ありがとう」
薔薇ヶ崎あかね「ところで隊長!」
黄宮向日葵「どうしたの?」
薔薇ヶ崎あかね「その【メイク・フレンズ】ってやつ、 どんな効果があるんすか?」
黄宮向日葵「えーっと、なんだっけ。 確か資料に書いてあったような・・・」
資料には載っていませんよ、黄宮隊長
黄宮向日葵「・・・あれ? そうだっけ?」
薔薇ヶ崎あかね「ん? 誰だ?」
碓氷白雪「【ガジェット・センサー】に 搭載されているAI人格――通称「センス」 です。資料にあったでしょう」
【メイク・フレンズ】の効果はいまだ
解析中ですが、何にせよ一刻も早く
回収する必要があります
ダリア・クロイツ「で、ご自慢のセンサーは何て言ってるの?」
【ガジェット・センサー】は、ここ、
109シネマズのシアター内で強く
反応しています
間違いなく、この建物内にあるかと
紫陽琴花「それって、今この中にいる人たちの 誰かが持ってる、ってことですか?」
薔薇ヶ崎あかね「どうやらそうみたいだな」
薔薇ヶ崎あかね「こうなったら、一人ひとり別室に 連れ込んで、身ぐるみ剥がしてくしか——」
黄宮向日葵「そんなことできるわけないでしょ!」
紫陽琴花「う~ん、どうにかして穏便に 回収しないと、ですよねえ」
碓氷白雪「ならば”私服警官を装って、事情聴取の 名目で話を聞く”というのはどうでしょう」
黄宮向日葵「それ、いいかもね。 ちょうどこの時代のフォーマルな服装も 用意してきてることだし」
薔薇ヶ崎あかね「警官のフリするんなら、 それこそ身体検査とかやっちゃった方が 早いんじゃないすか?」
ダリア・クロイツ「もう、あかねったら。 マルキューの規則、忘れちゃったの?」
黄宮向日葵「この時代の記録に残るようなことを してしまえば、私たちの時代にも 何かしらの影響が出てしまう」
黄宮向日葵「・・・騒ぎを起こすわけにはいかないの」
紫陽琴花「あんまり悪目立ちすると、不審者として 本物の警察に連れていかれちゃうかも しれませんよお?」
薔薇ヶ崎あかね「そ、それはまずいな・・・」
碓氷白雪「あくまで穏便に、この時代の人間を 装って接触する必要がありますね」
黄宮向日葵「そう、だからみんな気を付けてね」
黄宮向日葵「・・・センス、犯人は特定できてる?」
未来人候補は5名。
全員が、シアター内に着席しています
黄宮向日葵「わかった。・・・これより任務開始」
黄宮向日葵「みんな、聞いて!」
一同「はい」
黄宮向日葵「私たち5人で分かれて、未来人候補 それぞれに事情聴取の名目で 話を聞きにいきます」
黄宮向日葵「未来人を特定でき次第、速やかに 【メイク・フレンズ】を回収。いい?」
薔薇ヶ崎あかね「未来人の特定、っていっても・・・ 一体どうやって?」
黄宮向日葵「私たちは、この時代の人間のフリを しなくちゃいけない」
黄宮向日葵「でも犯人の未来人にとっては、 自分が未来から来たことを隠す 必要はないんだよ」
黄宮向日葵「そもそも、そんなこと言ったって 誰も信じないしね」
紫陽琴花「なるほど!」
紫陽琴花「この時代の人間らしくない発言があれば、 その人が未来人ってことですね!」
黄宮向日葵「そういうこと。 まあボロを出すかどうかは運次第だけど、 現状はこの手しかない」
黄宮向日葵「みんな、準備はいい?」
ダリア・クロイツ「隊長、質問いいですか!」
黄宮向日葵「どうぞ」
ダリア・クロイツ「私服警官じゃなくて、モデルのスカウト って設定で話しかけてもいいですか?」
紫陽琴花「あっずるい! じゃあ私、逆ナンってことにしちゃお!」
薔薇ヶ崎あかね「じゃあ私は、映画のアンケートって ことにしよう!」
黄宮向日葵「・・・なんでもいいけど、くれぐれも 私たちが未来人だってことは バレないようにね」
黄宮向日葵「それじゃ、分かれ!」
一同「ラジャー!」
めちゃめちゃ丁寧で、ワクワクするオープニング回ですね!続きも気になる!