第6話 校内鬼ごっこ~動き出すクラスメイト~(脚本)
〇草原
神埼 千春(かんざき ちはる)「・・・・・・」
城松 あんず(しろまつ あんず)「どうかされましたか?」
神埼 千春(かんざき ちはる)「へっ?い、いえ・・・。 チウさん、いつ帰ってくるのかなって」
神埼 千春(かんざき ちはる)(知らない人と二人きりなんて・・・ きっ、緊張する・・・!)
神埼 千春(かんざき ちはる)(さっきは協力してもらうために必死で、考えてなかったけど、城松さんって絶対いいとこの出だよね・・・)
神埼 千春(かんざき ちはる)(わたしなんかが気軽に声をかけて・・・ 城松さんのクラスメイトに会ったら、絶対何か言われるよ・・・)
神埼 千春(かんざき ちはる)(・・・それに、里河さんから話術のポイント、聞いてて本当によかった)
神埼 千春(かんざき ちはる)(あの講義がなかったら、今城松さんたちといることは絶対なかっただろうな・・・)
神埼 千春(かんざき ちはる)(だって、ここに来るまでのわたしなら、初対面の人と交渉どころか、話すことすらできなかったんだから・・・)
神埼 千春(かんざき ちはる)(今わたしにできるのはチウさんを待つこと。 その間に、城松さんと情報交換しておかないとね・・・)
〇草原
桜井 えりか(さくらい えりか)「まりり~!こっちだよー!」
煜棰 磨璃(いくた まり)「うん、えりか」
煜棰 磨璃(いくた まり)「ありがと、一緒に行動してくれて」
桜井 えりか(さくらい えりか)「当然でしょ!まりりは知能明晰、頼らないわけないじゃん!」
桜井 えりか(さくらい えりか)「今回は、クラス同士で仲深めないと攻略できない系のゲームだし!」
煜棰 磨璃(いくた まり)「そうだね・・・ えりか、最近はどう? クラスの友達とは仲良くやれてるの?」
桜井 えりか(さくらい えりか)「うん!今日新しい子が来たんだけど、はるっちって言ってね__」
〇草原
???「・・・・・・」
???(あと少し近づけば・・・)
???(・・・!)
煜棰 磨璃(いくた まり)「きゃっ・・・!!」
煜棰 磨璃(いくた まり)「いたた・・・」
桜井 えりか(さくらい えりか)「まりり!?」
煜棰 磨璃(いくた まり)「ごめん・・・バンダナ取られたみたい」
桜井 えりか(さくらい えりか)「誰がこんなこと・・・!まりり、待っててね!今アタシが捕まえてくるから!」
煜棰 磨璃(いくた まり)「えりか・・・!待って__」
???「えっ__」
桜井 えりか(さくらい えりか)「やっと追い付いた・・・!」
桜井 えりか(さくらい えりか)「よくもまりりのバンダナを・・・! 返して!」
???「いたっ・・・」
菊花(チウファン)「・・・っ、痛いネ! それに、これは渡さないネ!」
桜井 えりか(さくらい えりか)「って、中国の学生・・・!?」
菊花(チウファン)「中国の学生じゃないー!日本に留学中ネ! そんなことよりっ、これはウチのものネ! 奪わないでほしいネ!」
桜井 えりか(さくらい えりか)「そんなこと言われても・・・! これはアタシの友達のものだよ!返してよ!」
菊花(チウファン)「・・・?何を言ってるネ? 一度バンダナを奪わればもう脱落ネ!今ウチから取り戻しても意味ないネ!」
桜井 えりか(さくらい えりか)「あ・・・それは」
菊花(チウファン)「あなた嘘を・・・!二個持っていたのネ!? ならもらっていくネ! これは千春さんに渡すものネ!」
桜井 えりか(さくらい えりか)「・・・って、千春?」
菊花(チウファン)「な、何ネ・・・?」
桜井 えりか(さくらい えりか)「千春って・・・。 神埼千春のこと?おかっぱの」
菊花(チウファン)「そうだけど・・・どうかしたのネ?」
桜井 えりか(さくらい えりか)「それ、アタシのクラスメイトだよ! バンダナはいいとして、ワタシをちはっちのところに連れてって!」
桜井 えりか(さくらい えりか)(このゲームがクラスバラバラで開始された以上、仲間と合流するのが一番の目的って言ってもいいくらいだしね!)
菊花(チウファン)「わ、分かったネ!こっちネ!」
〇草原
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「__♪___♪」
蔵咲 真由(くらさき まゆ)(って、歌ってる場合でもなさそうだよね)
蔵咲 真由(くらさき まゆ)(全然誰もいないし・・・。 早くみっしーたちと合流したいけど)
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「きゃっ・・・」
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「何がぶつかって__って、リュック?」
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「何も入ってないみたいだけど・・・」
犬「ワン!」
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「びっ、びっくりした・・・!!」
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「・・・って、犬!? 一体どこから来たの?」
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「ここは草原に見えるけど、多分校舎内・・・ 普通、犬なんて入ってこれないはずなのに」
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「まさか、ワタシたちの勘違いで、本当は草原にワープしてました、なんてこともないでしょうし・・・」
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「この犬も、ワタシたちみたいに、この不思議な学校に強制的に連れて来られた、っていうの?」
犬「ワンっ!ワンっ!」
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「何・・・?リュックを探ってる・・・?」
犬「ワン!」
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「え、ワタシのバンダナがどうかしたの?」
蔵咲 真由(くらさき まゆ)(ワタシのバンダナを手でつついてる・・・ ん・・・?リュックと交互にバンダナを見てるの?)
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「も、もしかして、このリュックに人から奪ったバンダナを入れろ、ってこと?」
犬「ワンワン!」
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「や、やっぱり・・・」
蔵咲 真由(くらさき まゆ)(でも、どうして? ルールには、バンダナをたくさん持っている人についてなんてなかった)
蔵咲 真由(くらさき まゆ)(バンダナを集めたところで何の意味が・・・)
蔵咲 真由(くらさき まゆ)(ただ、残っている人の数で勝敗が決まる、ってだけのはずなのに)
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「うーん・・・ 何か裏がある気がするけど、ワタシはそういうの分かる脳なんてないし・・・」
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「そういうの含めて、早くみっしーたちと合流して聞かないとね」
蔵咲 真由(くらさき まゆ)「あなたも付いてきて! 何か鍵になりそうだし🎵」
犬「ワン!」
〇草原
???「・・・・・・」
???「やっぱり、間違いない?」
???「ええ・・・。 バンダナには、このゲームで何か特別な役割があるように思えますわ」
???「クラスの方々をバラけさせた目的も、これを紐解いて行けば、自ずと答えが分かるでしょう」
???「この”ゲーム”、裏ルール的なのは、ないっていう話だったはずだけど?」
???「ええ。この鬼ごっこに関係していることでは、ないのかもしれませんわ」
???「と、いうと?」
???「ゲーム終了時、このバンダナを教室に持ち帰ることができる可能性ですわ」
???「他のゲームに使用できる・・・ いや、教室から脱出できる糸口になりうると?」
???「今まで持ち帰るなんてできなかった・・・ 確証がないのでこれとは言えませんが、何かが動き出しているのだと思いますわ」
???「・・・あなたを信頼していないわけではないですが、今は質問にはお答えできかねますわね」
???「また、そのときが来たら、皆さまにもお伝えする予定ですわ」
???「うん、それがいい。 それよりもさ、いるのかな__?」
???「・・・?何が、ですの?」
???「私たちみたいに、 クラスメイト全員と合流できたクラス」
???「・・・・・・」
???「・・・・・・」
???「そう、ですわね」
???「いないとありがたいですわ。 このゲーム、勝利を勝ち取るのはわたくしたちだけでいいんですもの」