セイジとアカネ(脚本)
〇体育館の中
2015年 3月1日
〇学校の校門
セイジ「ううっ・・・・・・」
セイジ(父さん、母さん・・・・・・)
セイジ(俺、高校を卒業できたよ)
セイジ(褒めてくれるよね?)
セイジ(卒業証書、見せたかったなぁ・・・・・・)
〇開けた交差点
2011年 3月11日 14時46分
〇荒廃した街
平成最大の地震が津波を呼び寄せた
多くの建築物が瓦礫と化し、流されていった
それはまさしく悪夢であった
〇荒廃した教室
本来ならば、セイジは平穏な生活を送れるはずだった
震災がセイジを、そして皆の人生を大きく変えてしまった
恐ろしかったのは、それだけではない
〇街外れの荒地
原子力発電所が爆発し、放射性物質が放出した
地震、津波で恐怖した人々の心をさらに傷付けた
目に見えない恐怖に怯える日々が続いた・・・・・・
〇荒廃したショッピングモール
セイジ(これは現実なんだ。背いちゃだめなんだ)
セイジ(自分の力で生きていかないと)
セイジ(父さんと母さんに言ったんだ)
セイジ(バスケット選手になってみせるって)
セイジ(宣言したからには、なってやるんだ・・・・・・!)
〇バスケットボール場
2015年 3月11日
セイジ「入った!」
友人A「さすがだなセイジ!」
友人B「お前のシュートのセンスはピカイチだ!」
セイジ「ありがとう」
セイジ(ボールを弾ませている時)
セイジ(ボールを受け取る時)
セイジ(そしてシュートが決まった時)
セイジ(バスケをやってて良かったと思える)
友人A「そろそろ時間だな」
友人B「ああ。1分間、祈ろう」
セイジ(亡くなった人達の為に・・・・・・)
14時46分
「・・・・・・・・・・・・」
〇荒廃した街
セイジとその仲間達が目を閉じている間
浮かんでくるのは家族、友達、学校の先生、近所の人々
そして、あの日の惨劇・・・・・・
1分。わずか1分だが
暗闇の中は時が止まっている。そう思えた
〇海辺の街
〇川に架かる橋
友人A「じゃあな!」
セイジ「ああ」
セイジ(家に帰るか)
セイジ(何かが聞こえてくる)
セイジ(あっちの方か)
〇堤防
セイジ「・・・・・・・・・・・・」
アカネ「・・・・・・・・・・・・!」
アカネ「に、人間!?」
セイジ「まあ、確かに人間だけど」
セイジ「その言い方は少しな・・・・・・」
アカネ「ねぇ、今の見た?」
セイジ「・・・・・・見た」
セイジ「歌声と一緒に光が飛んでいくのを」
セイジ「君が出したのか?」
アカネ「・・・・・・・・・・・・」
アカネ「見られたからには、話さないといけないわね」
アカネ「私の本当の姿」
セイジ「本当の姿って?」
アカネ「・・・・・・・・・・・・」
セイジ「人魚・・・・・・!?」
アカネ「そう、私は人魚」
アカネ「あの光は、人魚の魔法」
アカネ「さっきの歌は、友達に知らせる為の歌なの」
セイジ「友達って?」
アカネ「数年前、大きな津波があったでしょ」
セイジ「あぁ、今でも覚えてるさ」
アカネ「流されて以来、行方が分からなくなってしまったの」
セイジ「・・・・・・・・・・・・!」
セイジ「俺の両親もだ」
アカネ「えっ」
セイジ「俺は運良く避難することが出来たよ」
セイジ「でも・・・・・・」
セイジ「うっ・・・・・・」
アカネ「ご、ごめんなさい・・・・・・」
アカネ「私が余計なことを言ったから・・・・・・」
セイジ「君は悪くない」
セイジ「だから、そんな顔をしないでくれよ」
アカネ「・・・・・・・・・・・・」
セイジ「さっきの歌、俺も歌っても良いか?」
アカネ「良いけど・・・・・・」
アカネ「どうして?」
セイジ「1人より2人で歌った方が、友達も聞いてくれるかなって」
アカネ「・・・・・・・・・・・・!」
アカネ「ええ、一緒に歌いましょう!」
〇沖合
3月11日の夕暮れ
人魚と人間の歌が響き渡った
セイジとアカネが出会ったのは、この日限りであった
友を探すため、アカネは海を泳いでいく
陸に残ったセイジには、大きな試練が待っていた
コロナという試練が・・・・・・
それでも、彼は生きる
スポーツと人魚との思い出を胸に
とても痛ましく、忘れることのできない現実の出来事を下敷きに、優しく丁寧に “物語” として昇華させたこのストーリー、本当に心に染み入ります🥲
アカネの存在感、あうろーらさんのキャラビジュアルが本当にピッタリですね✨
本当に災害って残酷な出来事ですね…
本当に辛い出来事でしたね。
それをテーマにして、きちんと描かれてるのが素敵です。
地震大国なのに予算をケチり、インフラ整備も怠り、
建築業の人員も減るばかり。
災害に対して対応する力が減ってる。
3・11は過去でなく、日本の未来像の気もしてます。
それでも希望を持っていく姿が良いですね!