Ⅱ-35.これからのこと(脚本)
〇魔王城の部屋
その後・・・・
元魔王――改め“マオ君”の活躍により、魔王の脅威は一気に終息した。
魔王部下「さすがお兄様です!!! 素晴らしい采配でした!」
魔物1「さすがは我らが主!!! 一生ついていきますぞ!」
元魔王「・・・」
元魔王「俺だけの力ではないさ・・・・・・」
魔王部下「びえーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!」
魔物1「ドリュアーーーーーーーーーー!!!!」
元魔王「・・・」
吉沢 奏楽(ソラ)「さすがマオ君!」
魔王部下「貴様!お兄様になんて無礼な・・・っ!」
魔王部下「ヒッ!!」
魔族たちは、聖女である奏楽を見ると誰もが震え上がる。
洗脳が解けた今、魔王城の主よりも恐れられていた。
吉沢 拓磨(タクマ)「どんだけ怯えられてんだよ・・・」
吉沢 拓磨(タクマ)「俺も一応、過去の魔王討伐したのに・・・ この差はなんだ・・・」
高野 裕翔(ヒロト)「・・・」
高野 裕翔(ヒロト)「お前はあれだろ・・・? 生き残りがいない・・・的な──」
吉沢 拓磨(タクマ)「・・・なるほど。 それなら納得だな・・・」
高野 裕翔(ヒロト)「・・・お前ら兄弟・・・ 本当、似てるよな・・・」
吉沢 拓磨(タクマ)「・・・嫌いになったか?」
高野 裕翔(ヒロト)「それは・・・ない」
吉沢 拓磨(タクマ)「・・・だろうな。 嫌いになったら、あんな奏楽の姿見た今でも、恋しいって顔、しねぇよな」
高野 裕翔(ヒロト)「なっ・・・!??!」
扉が開かれ、勢いよく仲間たちが駆け込んでくる。
高野 蓮(レン)「師匠ー! 待たせてすみません!」
吉沢 奏楽(ソラ)「あっ! 蓮くん、やっと戻ってきたんだねー」
高野 蓮(レン)「だって・・・・ アンナが・・・」
高野 蓮(レン)「魔王城を探索したいっていうから・・・」
高野 杏奈(アンナ)「お姉ちゃん!! この魔王城すごいよっ!!!」
吉沢 奏楽(ソラ)「ほえ?」
高野 杏奈(アンナ)「あのね!あのね! 前にゾンビになったような人たちがいっぱいだったの!!!」
吉沢 奏楽(ソラ)「お、おう!」
普通の子なら泣き出すような出来事を、笑いながら話す杏奈。
その姿はまるで──
吉沢 拓磨(タクマ)「影響されたな・・・ 奏楽に・・・」
高野 裕翔(ヒロト)「・・・ 奏楽ちゃんに・・・・ クッ・・・」
拓磨はあきれ顔・・・
裕翔は赤面して目をそらしていた。
〇魔王城の部屋
田所 蒼(アオイ)「あねさ~~~ん!!!」
田所 衛(マモル)「やぁ~~~っとついたぜぇ~」
田所 蒼(アオイ)「遅れてすみませんっす!」
吉沢 奏楽(ソラ)「あ!!! 蒼と衛も戻ったんだね!!」
吉沢 奏楽(ソラ)「それにしても遅かったね! 何かあったの??」
田所 蒼(アオイ)「そ、それは・・・・」
田所 衛(マモル)「・・・」
田所 衛(マモル)「おいしそうな匂いしたから・・・ 足が勝手に向かったんだ」
田所 衛(マモル)「お、お、おおおお・・・ 俺、悪くねぇ・・・」
吉沢 奏楽(ソラ)「え? なんか食べたの・・・??? 私たちのは??」
元魔王「何してんだお前ら・・・」
田所 蒼(アオイ)「お、マオ君! 無事だったんだ!」
魔王部下「なっ?!」
魔王部下「貴様! お兄様になんて無礼な・・・っ!」
魔王部下「ヒッ!!」
マオ君呼びに怒る魔族。
しかし・・・・
それ以上に聖女の存在が怖いらしい。
元魔王「そもそも俺に危険は──」
田所 蒼(アオイ)「友達なんだから心配すんのは当たり前っしょ!!!」
元魔王「っ!!!!」
蒼の一言に、元魔王の表情が揺らぐ。
その時、場の空気を打ち消す“あの声”が──
吉沢 奏楽(ソラ)「あっ・・・・」
高野 裕翔(ヒロト)「?」
吉沢 拓磨(タクマ)「?」
高野 蓮(レン)「?」
高野 杏奈(アンナ)「?」
元魔王「?」
魔王部下「?」
魔物1「?」
田所 蒼(アオイ)「?」
田所 衛(マモル)「?」
吉沢 奏楽(ソラ)「そういえば・・・ 女神に神殿に来いって言われてたの忘れてた・・・」
吉沢 拓磨(タクマ)「・・・おい」
高野 裕翔(ヒロト)「・・・ 奏楽ちゃん・・・」
高野 蓮(レン)「師匠・・・」
蓮はこの時、心から思った──
ああ、いつも通りだな・・・
と・・・
高野 杏奈(アンナ)「えぇ~~ じゃ、もう帰るのー?」
吉沢 奏楽(ソラ)「うーん・・・ そこなんだよねぇ・・・」
吉沢 拓磨(タクマ)「・・・」
吉沢 拓磨(タクマ)「俺は帰った方がいいと思うぞ」
吉沢 拓磨(タクマ)「奏楽・・・ お前は、最近も浮遊島を落としてギルドから活動禁止言い渡されたじゃねぇか」
吉沢 奏楽(ソラ)「あ、あれは!!! だって言いたいじゃん!!」
吉沢 奏楽(ソラ)「浮いてる島見たら『ラ●ス』って!!! 言いたいじゃん!!!」
吉沢 拓磨(タクマ)「それは・・・ わからなくも・・・ないが・・・」
高野 裕翔(ヒロト)「わかるのかよ!」
吉沢 奏楽(ソラ)「うーーーーーーん・・・・」
吉沢 奏楽(ソラ)「・・・・じゃ、帰るか」
吉沢 拓磨(タクマ)「ま、この世界も飽きたしな」
高野 裕翔(ヒロト)「あ、飽きたのか? 結構色々回りたがってたような──」
吉沢 拓磨(タクマ)「裕翔・・・・・」
高野 裕翔(ヒロト)「ど、どうしたんだ??」
吉沢 拓磨(タクマ)「・・・ 嫌な予感がするんだ・・・」
高野 裕翔(ヒロト)「嫌な予感???」
吉沢 拓磨(タクマ)「・・・ 早く帰らねぇと・・・・」
吉沢 拓磨(タクマ)「あの・・・ 父さんと母さんが・・・ 帰って来る感じがするんだ」
高野 裕翔(ヒロト)「・・・え?」
吉沢 奏楽(ソラ)「え”・・・・? そ、それ・・・本当??」
吉沢 拓磨(タクマ)「多分な・・・ 俺のの予感は・・・・外れたことねぇからな・・・」
吉沢 奏楽(ソラ)「よ、よぉ~~~~し!!! 皆帰るぞ~~~!!!」
拓磨が父と母が帰って来ることを話した瞬間・・・
奏楽の様子が焦りだし、神殿に向かうことを決意するのだった。