読切(脚本)
〇川沿いの公園
俺の名前は、カズマ
上司のパワハラが原因で今は休職中だが
気分が晴れない・・・
〇川沿いの公園
???「お兄さん?」
伊藤カズマ「誰!?」
白井ユウナ「何かあったのかなって気になって」
伊藤カズマ「君は?」
白井ユウナ「わたしはユウナだよ」
白井ユウナ「お兄さんは?」
伊藤カズマ「俺はカズマだ」
白井ユウナ「カズマね~」
白井ユウナ「ところで、カズマくんは星に興味ない?」
伊藤カズマ「一応まあ・・・」
白井ユウナ「じゃあ、決まりっ!!」
白井ユウナ「星が見えるとこに行こっ!!」
伊藤カズマ「えっ、ちょっと!!」
〇見晴らしのいい公園
白井ユウナ「着いたよ」
伊藤カズマ「ここは!?」
〇見晴らしのいい公園
10年前──
伊藤カズマ(ん、誰か泣いてる??)
白井ユウナ「うっ、う・・・!!」
???「どうしたんだ??」
白井ユウナ「!?」
伊藤カズマ「何かあったのかなって思って」
白井ユウナ「ごめんさない、見苦しいところを!!」
伊藤カズマ「いやいや、いいって!!」
伊藤カズマ「話聞くよ?」
白井ユウナ「ありがとうございます!!」
伊藤カズマ「そっか」
伊藤カズマ「引っ越してきたばかりで、東京に馴染めるか心配なんだね?」
白井ユウナ「はい、東京の人がちょっと怖くて・・・」
白井ユウナ「恥ずかしながら、相談できる人がいないんです・・・」
白井ユウナ「もう嫌・・・」
伊藤カズマ「解決になるかあれだけど」
伊藤カズマ「あの星、綺麗だと思わない?」
白井ユウナ「え?」
伊藤カズマ「星って、キラキラ輝いているだけなのに」
伊藤カズマ「落ち着く感じがするのね」
伊藤カズマ「そうだとは、思わない?」
白井ユウナ「・・・」
白井ユウナ「確かに、落ち着きますね」
伊藤カズマ「それならよかった」
伊藤カズマ「気が済むまでゆっくりしてていいからね」
白井ユウナ「はい」
〇マンション前の大通り
白井ユウナ「家まで送ってもらってすみません」
白井ユウナ「ここで大丈夫です」
伊藤カズマ「了解、じゃあ気をつけてな」
白井ユウナ「あっ、あの!!」
伊藤カズマ「?」
白井ユウナ「──何でもないです」
白井ユウナ「今日はありがとうございました!!」
伊藤カズマ「おう、じゃあな!!」
白井ユウナ(私のバカっ、名前聞き損ねた)
〇見晴らしのいい公園
伊藤カズマ「思い出した!!」
伊藤カズマ「あの時の子だったのか?」
白井ユウナ「そうだよ、思い出すの遅い~!!」
伊藤カズマ「ごめん・・・」
白井ユウナ「でも、許す」
白井ユウナ「だって」
白井ユウナ「カズマくんが元気になってくれるだけでいいから」
伊藤カズマ「ユウナちゃん」
伊藤カズマ「・・・」
白井ユウナ「辛い時は泣いたっていいんだよ?」
伊藤カズマ「!?」
白井ユウナ「私を励ましてくれたのと同じように、カズマくんには笑っててほしいから」
白井ユウナ「だから、いいんだよ?」
伊藤カズマ「ユウナちゃん」
伊藤カズマ「・・・」
伊藤カズマ「──!!」
人は誰だって、打たれ弱いところがある
でも、誰かを助ける力になれる
ユウナちゃんの力になってよかった
危うく忘れるところだった
俺、星空を眺める時間が好きなんだなって
もうこの感情は忘れたくない
改めてユウナちゃんに感謝したい
俺の忘れていた感情を思い出させてくれてありがとうって
もうこれ以上くじけないからね
あと叶うことなら
君ともう一度
この星空を見てみたいなって
そんな自分がいるような気がしてきたよ
伊藤カズマ「おっ、変わった星座がありそう」
白井ユウナ「ほんと?」
白井ユウナ「確かに、見たことないね」
伊藤カズマ「なんて名前かな?」
白井ユウナ「私、思いついたよ!!」
伊藤カズマ「どんな?」
白井ユウナ「それはね」
白井ユウナ「秘密~!!」
伊藤カズマ「何だそれ」
白井ユウナ「ははは」
伊藤カズマ「ははは」
白井ユウナ(本当は名前決めたよ)
白井ユウナ(だって、恥ずかしいもん)
白井ユウナ(ごめんね、カズマくん)
白井ユウナ(名前はね)
白井ユウナ(”キンモクセイ座”にしたよ)
白井ユウナ(この想い届きますように)
〇星
完
過去に助けたユウナと再会する事で、初心に帰る事が出来たカズマ。
人との縁は大事にしたいものですね。😊
回り巡って助け合った二人のハートフルなストーリーにほっこりしました^^
星座の名前の由来は、花言葉でしょうか? 自分の気持ちをあえて直接的に表現しないヒロイン、かわいかったです!