卒業式(脚本)
〇田舎の学校
〇教室
星野 恵(ほしの めぐみ)「──♪」
水沢 太一(みずさわ たいち)「先生、歌上手いよな」
土井 有紗(どい ありさ)「歌手だったらしいよ」
水沢 太一(みずさわ たいち)「マジ!?」
天道 冥子(てんどう めいこ)「2人とも、静かに!」
星野 恵(ほしの めぐみ)「はい、おしまい」
土井 有紗(どい ありさ)「これってどういう歌なんですか」
水沢 太一(みずさわ たいち)「星を取るなら、宇宙戦争じゃね?」
天道 冥子(てんどう めいこ)「そんなメロディーじゃないでしょ」
星野 恵(ほしの めぐみ)「大切な人に想いを伝える歌、かな」
土井 有紗(どい ありさ)「想い? 星じゃなくて?」
星野 恵(ほしの めぐみ)「このお星さまはね、想いの”例え”なのよ」
水沢 太一(みずさわ たいち)「わっかんねぇ〜!」
星野 恵(ほしの めぐみ)「ちょっと難しいよね」
星野 恵(ほしの めぐみ)「うっ」
天道 冥子(てんどう めいこ)「先生!?」
土井 有紗(どい ありさ)「太一、誰か先生呼んできて」
水沢 太一(みずさわ たいち)「わかった!」
〇田舎の学校
〇教室
代理の担任教師「星野先生は具合が悪く」
代理の担任教師「しばらく私が授業を行う」
土井 有紗(どい ありさ)「いつ帰ってくるんですか?」
代理の担任教師「今はまだわからん」
代理の担任教師「追って連絡があるだろう」
〇中規模マンション
〇ダイニング
有紗の母「学校からメールだわ」
有紗の母「担任変更!? 残念ねぇ」
土井 有紗(どい ありさ)「嘘っ!?」
土井 有紗(どい ありさ)「私、先生のお見舞いに行く!」
〇総合病院
〇病院の待合室
水沢 太一(みずさわ たいち)「有紗!」
土井 有紗(どい ありさ)「二人もお見舞い?」
水沢 太一(みずさわ たいち)「ああ。けど──」
有紗の母「面会謝絶?」
太一の母「ええ、そうなんです」
土井 有紗(どい ありさ)「どういうこと?」
土井 有紗(どい ありさ)「先生の病気がうつっちゃうから?」
有紗の母「逆なの。実は──」
〇綺麗な病室
星野 恵(ほしの めぐみ)「保護者への説明、ありがとうございます」
医者「良かったんですか? 病名まで」
星野 恵(ほしの めぐみ)「6年生はもう大人なんです」
星野 恵(ほしの めぐみ)「きちんと理由を説明しないと」
医者「大変ですねぇ、学校の先生は」
星野 恵(ほしの めぐみ)「それで先生、2ヶ月後の卒業式は──」
医者「白血病は極度の免疫不全状態になります」
医者「医師としては許可できません」
星野 恵(ほしの めぐみ)「そう、ですか」
〇中規模マンション
有紗の母「有紗、お手紙よ」
〇ダイニング
土井 有紗(どい ありさ)「手紙? 今どきDMで済むでしょ」
土井 有紗(どい ありさ)「先生だ!」
〇綺麗な病室
医者「この手紙の山は?」
星野 恵(ほしの めぐみ)「生徒宛です。私のクラス、34人に」
星野 恵(ほしの めぐみ)「卒業式までに私の想いを届けたいんです」
医者「無茶ですよ。抗がん剤で弱った身体で」
星野 恵(ほしの めぐみ)「でも、私。このまま卒業式を迎えたら」
星野 恵(ほしの めぐみ)「一生、後悔しますから」
〇アパートのダイニング
水沢 太一(みずさわ たいち)「『どうかお元気で。星野より』」
水沢 太一(みずさわ たいち)「一番体調崩してる奴が何言ってんだよ」
〇女の子の一人部屋
天道 冥子(てんどう めいこ)「先生、こんなに私のこと見てくれてたんだ」
〇総合病院
〇綺麗な病室
看護師「星野さん、もう消灯ですよ」
星野 恵(ほしの めぐみ)「はあ、はあ・・・ごめんなさい」
星野 恵(ほしの めぐみ)「あと一通書いたら寝ますから」
〇空
届いて。私の想い──
〇総合病院
〇綺麗な病室
看護師「失礼します」
看護師「星野さん? 大丈夫ですか?」
星野 恵(ほしの めぐみ)「ええ・・・」
看護師「今日でしたよね。卒業式」
星野 恵(ほしの めぐみ)「こんな大事な時に側にいられないなんて」
星野 恵(ほしの めぐみ)「担任失格、ですよね」
看護師「そんなこと・・・」
星野 恵(ほしの めぐみ)「生徒全員に手紙なんて出して」
星野 恵(ほしの めぐみ)「それで償えるはずもないのに」
看護師「歌?」
看護師「あら・・・ふふっ」
看護師「星野さん。担任失格ではなさそうですよ」
星野 恵(ほしの めぐみ)「えっ」
看護師「窓の外、ご覧になってみて下さい」
〇霊園の駐車場
水沢 太一(みずさわ たいち)「先生だ! おーい!」
土井 有紗(どい ありさ)「歌、聞こえたのね!」
水沢 太一(みずさわ たいち)「作戦成功だな!」
天道 冥子(てんどう めいこ)「お手紙ありがとうございました!」
〇綺麗な病室
看護師「いい生徒さんたちですね」
星野 恵(ほしの めぐみ)「ここが6階でよかったです」
星野 恵(ほしの めぐみ)「涙が見えなくて済みますから」
星野 恵(ほしの めぐみ)「みんな! ありがとう!」
〇霊園の駐車場
ああ、人の想いって本当に──
星みたいにきらきらしてるのね
〇総合病院
医者「退院、おめでとうございます」
〇病院の待合室
医者「すぐ、復職されるんですか」
星野 恵(ほしの めぐみ)「半年も休みましたから」
星野 恵(ほしの めぐみ)「でも、その前に──」
〇田舎の学校
水沢 太一(みずさわ たいち)「あっ、来た!」
星野 恵(ほしの めぐみ)「遅くなってごめんね」
カメラマン「じゃあ、皆さん。笑ってー」
「退院──」
星野 恵(ほしの めぐみ)「卒業──」
「おめでとう!」
先生と子どもたちの関係性が感動的でした😭
34通も手紙を書くのは、大変だったでしょうね……!
そして、きっと子どもたちは歌詞の意味を理解してくれましたね😊 宇宙戦争ではなく😂
泣けますね!!
令和版『二十四の瞳』感動です!
いつの時代も、学び舎の輝きってあるのですね☆
地上にキラキラと輝いて素敵でした。
口ではそっけないことを言いながら、
実は温かい思いが子供たちにあるのも感動的でした。表現の上手さを感じました😃
星野先生、生徒34通もの手紙を直筆で・・・それを知っただけでも涙が溢れてしまいそうです。
最後の子供達の歌には、ついに零れてしまいました・・・!
夕暮れ時ではありますが、きっと薄暮の一番星が輝いていたのだと思います☺️
最後の写真撮影を表紙絵に持ってくる魅せ方も素敵です👏🏻✨