赤井と黒井

花信風描

読切(脚本)

赤井と黒井

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〇学校の校舎
  赤井遼、高校2年生の17歳
  勉強以外完璧な俺はモテてモテてそれはそれは大変な、でも充実した学生生活を送っていた
莉子「赤井くんッ!!今日お昼一緒に食べない? 実はお弁当作りすぎちゃって」
加奈子「は?そんな分かりやすい嘘に騙されるわけないでしょ? ねえ赤井くん、今日こそ私と帰ってくれるよね?」
莉子「うるさいわね!!黙っててよ!」
赤井遼「まあまあ可愛い2人とも 俺のために喧嘩しないで笑笑」
  そう、あの日がくるまでは___

〇教室
温田先生「はい、みんな席に着いて〜 今日からみんなの仲間になる転校生を紹介するよ〜!」
赤井遼「おっ!転校生か!! ここは俺が優しくリードしてあげないとなぁ」
温田先生「ほら、入ってきて、黒井く〜ん!」
黒井遼「初めまして、黒井遼といいます よろしくお願いします」
温田先生「あれ?何だかみんか騒がしいね〜どうしたんだい?」
赤井遼「な・・・なんだあのイケメンは!? あんな人見たことないんだけど!?芸能人か?」
赤井遼「しかも何てことだ!!俺と名前一文字しか違わないじゃないか!!!」
加奈子「え、ちょっと!カッコ良すぎない? タイプかも・・・」
莉子「久しぶりにキュンときたぁ〜〜〜!!」
赤井遼(・・・・・・これはかなりまずい予感がする)

〇教室
  ──その予感は見事に当たってしまった
原田先生「はい、この問題わかる人〜 あ〜分からないよね、そうだよね〜」
黒井遼「はい、先生 答えはy=x・・・ だと思います」
原田先生「せ、正解・・・・・・!!」
原田先生「う、嘘だろ!? まさか正解されるなんて・・・! これ以上難しい問題なんて用意してないぞ」
莉子「カッコよくて頭も良いなんて、素敵すぎる💕」
加奈子「見てよ、先生のあのカオ!! いつもみたくうちらをバカにする計画が台無しね笑笑笑」
赤井遼「これは本当にマズイ、俺の唯一の欠点である勉強が完璧だと!? ・・・いや!勉強できるやつは運動ができないに決まってる!!」

〇体育館の中
武先生「おぉ!!!黒井!!いいシュートだ! バスケは習っていたのか?」
黒井遼「いえ、授業でしかやったことはないです」
武先生「そうなのか!? ぜひ俺が顧問のバスケ部に来ないかッ?」
黒井遼「いや、部活に入る気はないので・・・すみません」
武先生「・・・そうかぁ残念だ」
赤井遼「嘘だろ運動までできるなんて聞いてない・・・!!この俺が惨敗するなんて・・・ 俺はバスケ部に勧誘されたことなんてないぞ!?」
加奈子「やっば・・・本気で惚れちゃった 放課後誘ってみようかな!?」
莉子「だめぇ!私だって誘いたい!!抜け駆けしないで!」
赤井遼「黒井が現れてから女子たちが俺に全く見向きしなくなってる・・・ 完全に立場逆転じゃないか・・・ こんなの耐えられない!」
  完全な嫉妬だけど、俺はあいつが嫌いだッ!!!

〇学校の校舎
  ____それなのに、ある事件が起こった。

〇教室
温田先生「みんな〜お待ちかねの期末テスト、返すからね〜 なんと、学年順位も載ってるからよく確認するんだよ〜!」
赤井遼「学年順位だって!? そんなの聞いてないぞ!」
温田先生「はい、トップバッター赤井くん!」
赤井遼「・・・・・・はい」
温田先生「赤井くん?これはどういうことかな!? 君は良い子だけど、勉強はもうちょっと頑張ってもらわないといけないよ?」
赤井遼「・・・・・・・・・え?そんな!?」
  360位
  ____学年最下位
赤井遼「ヒッ・・・・・・・・・!!」
赤井遼「う、うそだろ!? 良くはないと思ってたけど、最下位って・・・・・・」
温田先生「・・・・・・くん、次!!黒井く〜ん!」
黒井遼「はい」
赤井遼「どうせ黒井の奴は良い順位なんだろうな・・・」
黒井遼「はい」
温田先生「黒井くん!!君は本当に素晴らしい!! 2位に圧倒的な差をつけた堂々の1位だ!!」
温田先生「これからも期待してるからね!」
黒井遼「・・・ありがとうございます」
赤井遼「・・・・・・1位!?1位だって・・・!?」
赤井遼「1位なんてどうやって取るんだよ・・・!?」
温田先生「みんなも黒井くんを見習って、しっかり勉強するようにね!!」
温田先生「では!今日はこれにて終了!! 気をつけて帰ってね〜!!」
温田先生「あ、赤井くんと黒井くん。 君たち2人はちょっと残っててね!」
赤井遼「は、はい・・・」
黒井遼「分かりました」

〇教室
温田先生「2人とも、すまないね〜終業後に」
黒井遼「いえ、用もないので大丈夫です」
赤井遼「お、俺も大丈夫っす」
赤井遼「まあ、黒井の放課後を奪って、女子たちからは一生恨まれるだろうなぁ」
温田先生「2人に、まあ特に言えば黒井くんに頼みがあってね、」
黒井遼「・・・何でしょう?」
温田先生「実は・・・黒井くんには、少し赤井くんの勉強を見てあげてほしいんだ」
赤井遼「はッ!?先生、何言ってんの!?」
温田先生「学年1位の黒井くんと、学年最下位の赤井くん。ちょうど良い組み合わせじゃないか!人に教えることは自分の勉強になるんだよ!」
赤井遼「ち、ちょっと先生!勝手に人の順位言うかよ!?」
温田先生「赤井くん!?本当に、君の点数は先生たちの間でも話題だよ?」
黒井遼「・・・・・・学年最下位」
赤井遼「なんだよ!? どうやったらそんな点数が取れるか聞きたいってか?💢」
黒井遼「・・・・・・別に、そんなことは言ってない」
黒井遼「僕は問題ありません。 先生のおっしゃる通り、人に教えることは自分のためになるので」
赤井遼「はっ!?お前断れよ!?」
温田先生「さっすが黒井くん!頼りになるね!!」
温田先生「じゃあ、明日からよろしく頼むよ!」
赤井遼「な、、、何なんだよ黒井の奴!!」
  ありえない!!!
  俺にだってプライドがある!
  ぜってー逃げてやる!!

〇学校の校舎
  ___次の日、放課後
赤井遼「よし!!今すぐ帰ろう!」
赤井遼「俺の女の子たち〜 帰るよ〜!!俺と相合傘したい人〜❤️」
黒井遼「・・・・・・・・・赤井」
赤井遼「・・・・・・やば!!!」

〇学生の一人部屋
  ___帰宅後
赤井遼「・・・・・・ったく 黒井の奴!!本当にやる気じゃないか!本当、どういうつもりなんだ?」
赤井遼「まさか、人を見下すのが趣味とか?? ・・・・・・ああ、やめよやめよ。負け犬に口無しだ」
赤井柊子「遼! ご飯出来たわよ、降りてきなさい」
赤井遼「は〜い!すぐ降りる〜!!」
赤井遼「今日の晩飯何かな〜!」
赤井遼「もういいや!テストや黒井のことなんて忘れちまおう!!」

〇明るいリビング
赤井遼「やったぁ〜!!! 今日ハンバーグじゃん!!」
赤井柊子「そうよ〜!遼ちゃんがハンバーグ好きだから頑張って作ったのよ!」
赤井遼「ありがと!母さん」
赤井柊子「さあ!冷める前に食べましょう」
  母さんの作るハンバーグは絶品で、俺はすっかりここ最近の嫌なことを全て忘れていた
赤井柊子「あ、そういえば遼ちゃん! もうそろそろ期末テスト返ってきたでしょう?どうだった?」
赤井遼「げ・・・母さん覚えてたのか!?」
赤井遼「母さんってば!せっかくおいしいハンバーグを前にそんな現実の話やめようよ! 食べ終わったら見せるから!!」
赤井柊子「・・・? まあ、それもそうね。 分かったわ、食べ終わったら見せてね」
赤井遼「せ、セーフ!!」

〇明るいリビング
赤井遼「ふぅ〜ご馳走様! やっぱり母さんのハンバーグは絶品だね!」
赤井遼「(このまま逃げてしまおう・・・!!)」
赤井義人「ただいま」
赤井柊子「あら、お父さんおかえりなさい! ご飯温めるわね!」
赤井遼「げっ!父さん帰ってきた!!」
赤井遼「早く逃げないと!」
赤井柊子「ちょっと!遼ちゃんどこに行くの?」
赤井柊子「期末テストの点、見せてくれるんでしょう?ちょうど父さんも帰ってきたことだし、見せなさい」
赤井遼「もうだめだ、、、 俺に明日はない」
赤井遼「さっき母さんだけに見せておけばよかったああああああああああ!!!!」

〇明るいリビング
赤井義人「遼・・・・・・!!!これは一体どういうことなんだ!!!」
赤井遼「・・・・・・なにも返す言葉がない」
赤井義人「何をどうしたらこんな点数になるんだ!!! 毎日授業を受けてたらこんな点数にはならないはずだろッ!?」
赤井柊子「まあまあ父さん、遼も反省してるはずだから・・・」
赤井義人「反省なんかしてるわけないだろッ!!! 反省していたらさっきまでなんであんなに楽しそうにしてたんだ!!!」
赤井柊子「まあまあ落ち着いて・・・」
赤井柊子「遼ちゃん、過ぎてしまったことはしょうがないわ。でも、次はこんな点数もう駄目よ」
赤井遼「・・・・・・はい」
赤井義人「次こんな点数取ってみろ? お前の持っているゲームと漫画、全て中古屋に持っていくからな!!!」
赤井遼「な、、、なんだって父さん!? ・・・・・・そ、それだけは勘弁してくれ!!」
赤井義人「いや!俺はもう決めたからな!? 嫌なら必死で勉強しろ!!!」
赤井遼「・・・・・・そ、そんなあ」
赤井柊子「だ、大丈夫よ遼ちゃん!次頑張れば大丈夫だから!!」
  ___俺が勉強なんてできるわけないじゃん・・・・・・

〇学校の校舎
黒井遼「・・・・・・赤井、今日こそは」
赤井遼「・・・・・・黒井、昨日はすまなかった。 きちんと勉強するから、教えてくれ」
黒井遼「あ、あぁもちろん・・・ 何かあったのか?」
赤井遼「・・・いや、何もないよ」
赤井遼「ゲームと漫画没収なんて・・・たまったもんじゃない! あれは俺が何年もかけて積み重ねて集めてきた宝物なんだ・・・・・・!!」
黒井遼「・・・じゃあ、まず一番の課題である数学から」
黒井遼「赤井はどの分野が一番苦手なんだ?」
赤井遼「・・・・・・分野?なんだ分野って? 数学なら全部が苦手だ」
黒井遼「・・・そうか、分かった」
黒井遼「なら、まずはこれを解いてみてほしい」
  ____そう言って、黒井は俺に一枚の紙を渡してきた
赤井遼「な・・・なんだ?これ・・・ 俺の嫌いな数学の問題がいっぱい書いてあるけど」
黒井遼「僕が作った問題用紙だ。 これで赤井が何が一番苦手かまずは理解する」
赤井遼「お・・・・・・お前がこれを作ったのか!? す、凄すぎるだろ!!! 先生顔負けじゃないか!!」
赤井遼「で、、、でも親しくもない俺のためになんでここまで?」
黒井遼「・・・・・・頼まれたことはしっかりとやり遂げたい」
赤井遼「・・・それにしたって」
黒井遼「温田先生も言ってただろ? 僕のためにもなるって 実際作ってみてそう思った」
赤井遼「あ、、、ありがとう こんな準備してくれてたのに、昨日は本当にすまなかった」
黒井遼「別に過ぎたことは良い それに、転校してきたばかりのよく知りもしない奴に教えを乞うなんて、嫌なことぐらい僕も分かる」
黒井遼「だから、残ってくれて僕からもありがとう」
赤井遼「・・・・・・黒井」
  クッソ!!!
  悔しいけど黒井の奴、顔だけじゃなくて中身までこんなカッコいいなんて!
  本当に俺と同じ17歳なのか?
  不覚にも、この俺まで惚れそうになったじゃないか!!!

〇図書館
  ___そこから、黒井による猛特訓が始まった
赤井遼「黒井っ・・・・・・!同じこと何度もごめん、これってどうやるんだっけ?」
黒井遼「あぁ・・・これはこの公式を利用して、これをここに代入すると、」
赤井遼「あ、昨日やったことと一緒か!! ありがとう、分かったかも!!」
黒井遼「だんだん分かってきたな」
赤井遼「お、、おう」
赤井遼「(初めて笑った顔見た・・・黒井ってこんなカオして笑うんだ)」
黒井遼「じゃあ次はこれを・・・」
赤井遼「・・・って俺なに顔赤くしてるんだよ!? 相手はあの憎かった黒井だぞ!?」
赤井遼「いやいや、誰でもこうなるだろ! 女子たちだったらもう卒倒してるだろ!! 俺は別におかしくないし・・・」
黒井遼「・・・・・・赤井、どうした?」
赤井遼「あ、いやいや何でもない、続き!続きやろう」
黒井遼「ああ」

〇学生の一人部屋
赤井遼「ふぅ〜今日も1日良く勉強したなぁ〜!!!」
赤井遼「ご褒美の漫画でも読もうかな・・・」
赤井遼「・・・・・・・・・」
赤井遼「いや、でも今日黒井が教えてくれたところ、もう一度やってみよう! もうおんなじこと聞かなくても良いように・・・」
赤井遼「おっ!初めて自分でできたぞ!!」
赤井遼「・・・・・・もしかして、これもできるんじゃないか!?」
赤井柊子「遼ちゃん、ご飯できたわよ〜 降りてきて〜!」
赤井柊子「・・・・・・あれ、遼ちゃん?」
赤井柊子「・・・・・・入るわよ?」
赤井柊子「あらまっ!珍しい・・・ご飯も食べてないのに寝ちゃってるじゃないの!!」
赤井柊子「しかも、まあ!こんなにもたくさん勉強して・・・」
赤井柊子「・・・・・・頑張ってるわね」

〇教室
原田先生「小テストやるぞ〜 今回は難しくしたからな、誰も満点なんて取れないはずだ!」
赤井遼「せっかく黒井が教えてくれたんだ・・・! 絶対良い点数取ってみせる!!」
  ___授業終了後
黒井遼「赤井、小テストどうだっ・・・」
赤井遼「黒井!!聞いてくれッ! 50点満点中、30点も取れた!!!!」
赤井遼「こんなこと初めてだ! 黒井のおかげだ!!本当にありがとう・・・!」
黒井遼「ほ、本当か・・・!?」
黒井遼「赤井が俺を信じてくれて、頑張ったおかげだ。 役に立てて良かった・・・」
赤井遼「・・・・・・また笑った」
赤井遼「黒井の笑顔はマジでビビるからやめてほしいんだけど・・・!!」
赤井遼「なあ、黒井」
赤井遼「まだ油断ならないけどさ、まずはここまでしてくれたお礼と言ってはなんだけど、放課後メシでも食べに行かねえか?」
黒井遼「・・・・・・え」
赤井遼「ああああ、 補習以外で俺といるなんて嫌だよな! すまない、忘れてくれ」
黒井遼「違うッ!!! そんなんじゃない!」
黒井遼「一緒に・・・行きたい」
赤井遼「よ・・・良かったぁ〜一瞬ヒヤッとした!」
赤井遼「じゃあ、放課後楽しみにしてる!! 忘れるなよ!」
黒井遼「あ、ああ」

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