終幕の月面宙返り(脚本)
〇埋立地
警察官A「警察だ。ここで何をしている」
パーカーの男「・・・・・・・・・・・・」
警察官B「顔を見せてもらえるかな?」
ミキ「貴方、動物園で飼育員をされてるそうですね」
飼育員「ああ・・・・・・」
ミキ「・・・・・・・・・・・・」
ミキ「署まで来てもらいます」
飼育員(どうしてバレた・・・・・・。偽装工作したのに・・・・・・)
〇テントの中
アナウンサー「昨夜、ライオンの死体を埋め立て地に放置したとして飼育員の男が現行犯逮捕されました」
〇動物園の入口
アナウンサー「容疑者の男は、これまでの動物死体遺棄についても容疑を認めているとの事です」
アナウンサー「また死体遺棄を幇助したとして、自称獣医の男も逮捕されました」
〇テントの中
ショウイチ「・・・・・・犯人が捕まって良かった」
ショウイチ「俺のライオンを預けていた飼育員が、こんな悪事をしていたなんて」
エミ「団長さん、どうしてあの人が犯人だと分かったんです?」
ショウイチ「飼育員が怪しいと思ったのは、タカシのリアクション」
ショウイチ「それと猫の幽霊が手助けしてくれたからだ」
〇病院の廊下
〇テントの中
ショウイチ「タカシが教えてくれて助かったよ」
ショウイチ「『あの飼育員さんからどす黒い怨念を感じる』」
ショウイチ「あの飼育員がどんな恨みを持っていたのかは推測だが・・・・・・」
ショウイチ「法改正の原因になった事故だと、俺は思う」
ショウイチ「病院に行った時、腕に痛みがあると言っていたからな」
エミ「じゃあ、猫の幽霊の声が獣医には聞こえなかったのは・・・・・・」
ショウイチ「飼育員と共謀した偽者だ」
ショウイチ「俺の様な調教師や、飼育員」
ショウイチ「獣医なら、動物と多く触れ合っている筈だろう?」
ショウイチ「俺と同じ幽霊を認知する現象が起きていたとしたら・・・・・・」
エミ「獣医さんにも聞こえてくる、そう考えたのですね」
ショウイチ「ああ」
エミ「では、小学生達が飼っていたルナは・・・・・・」
ショウイチ「動物園で用意したんだろう」
ショウイチ「ルナにすり替えられたウサギは食が細かった」
ショウイチ「だから子供達は異変に思ったんだ」
エミ「・・・・・・・・・・・・」
ルナ「・・・・・・・・・・・・」
ショウイチ「・・・・・・成仏出来そうか?」
ルナ「ごめんなさい。私を育ててくれた皆の事を思うと・・・・・・」
ショウイチ(やっぱり、未練が残るよな・・・・・・)
〇立ち飲み屋
ショウイチ(あっ、居た!)
アキオ「おやおや、ショウイチさん。久しぶりですね」
ショウイチ「アキオさん、久しぶり」
アキオ「新聞を読みましたよ。事件は無事解決したそうで」
ショウイチ「あぁ、犯人を特定出来た。だけど・・・・・・」
ショウイチ「彼女を・・・・・・ルナを成仏させてあげたいんだ」
アキオ「ふむふむ。それで私を探していた訳ですな」
アキオ「では、こちらを」
ショウイチ「抱き枕?」
アキオ「彼女の霊をこの枕に寝させれば、夢の世界へ行く事が出来ます」
ショウイチ「夢の世界?」
〇幻想
人が夢の中に居る間は、魂が抜けている状態
夢の中で魂が彷徨っているのです
普通の人間でも、幽霊と会話出来る様になります
その人が寝ている間・・・・・・ですがね
〇立ち飲み屋
ショウイチ(この方法なら・・・・・・)
アキオ「お代は要りません。その代わりに・・・・・・」
ショウイチ「代わりに?」
アキオ「今度、ショウイチさんのサーカスに招待させて下さいな」
ショウイチ「勿論」
〇テントの中
ルナ「この枕で寝れば良いの?」
ショウイチ「ああ。この時間帯は小学生にとってお休みの時間の筈だ」
ショウイチ「夢の中で、小学生と出会えるかは分からんが・・・・・・」
ショウイチ「ルナの耳の良さなら、きっと見つけられるだろう」
ルナ「やってみる」
エミ(夢の世界・・・・・・か)
タカシ「・・・・・・・・・・・・」
〇幻想
ルナ「・・・・・・・・・・・・」
ルナ(ここが夢の世界!?)
ルナ(集中して・・・・・・)
ルナ(あそこだ!)
小学生D「・・・・・・・・・・・・」
小学生D「誰かがこっちに来る・・・・・・」
ルナ「ねぇ、ちょっとお話し良いかな?」
小学生D「え、良いけど・・・・・・」
ルナ「私、ルナ。貴方の事をずっと見ていたんだよ」
小学生D「ルナ・・・・・・!?」
小学生D「ウサギのルナなの!?」
ルナ「そうなの。今から伝えたい事があるから、よーく聞いてね」
小学生D「うん・・・・・・」
〇テントの中
ルナ「・・・・・・・・・・・・」
ショウイチ「光が・・・・・・!」
ルナ「ショウイチさん、私の為に協力してくれて本当にありがとう」
ショウイチ「ルナ・・・・・・」
ルナ「あの子に伝言しておいたから、もう後悔してない」
ルナ「・・・・・・月に帰るね」
ルナ「さようなら!」
ショウイチ「さよなら、ルナ・・・・・・」
エミ「・・・・・・・・・・・・」
タカシ「・・・・・・・・・・・・」
ショウイチ「俺達も休もう。明日からまた忙しくなるからな」
〇ファンシーな部屋
〇散らかった職員室
小学生D「先生・・・・・・」
小学校の先生「どうしたのかしら」
小学生D「昨日の夜、ルナの幽霊が私に話しかけてきたの」
小学校の先生「えっ・・・・・・!」
小学校の先生(本当にそんな事が・・・・・・)
〇取調室
ミキ「こちらのウサギに見覚えは?」
小学校の先生「私達が飼っているウサギと同じ・・・・・・ですね」
ミキ「やはり・・・・・・」
〇散らかった職員室
小学校の先生「・・・・・・・・・・・・」
小学校の先生「実はね・・・・・・」
〇テントの中
タカシ「・・・・・・・・・・・・!」
エミ「どうしたの?」
エミ「これを見て欲しいって?」
エミ「・・・・・・・・・・・・!」
〇白
〇テントの中
エミ(私とお祖父様だ・・・・・・!)
タカシ「・・・・・・・・・・・・」
エミ(何か書いてある・・・・・・)
君の事が好き
エミ(・・・・・・・・・・・・!!)
〇墓地
ショウイチ(サン・・・・・・)
サン「ありがとう団長さん」
ショウイチ(今の声は・・・・・・)
語り部「「nooM ehT」いかがでしたでしょうか」
語り部「この物語を読んでいて、1つ疑問に思いませんでしたか?」
語り部「何故、「The Moon」を逆さまにしたのか、と」
語り部「これには3つの意味が含まれていたのです」
語り部「1つ目は月面宙返り。2つ目は月に帰す」
語り部「そして3つ目は・・・・・・こちら」
語り部「タロットカードの月。正位置だと「不安定」や「トラウマ」という意味を持ちます」
語り部「ところが逆位置、すなわち逆さまになると・・・・・・」
語り部「「過去からの脱却」や「未来への希望」」
語り部「逆さになる事で、ポジティブな意味になるのです」
語り部「調教師という職を失っても、彼にはまだ希望は残されている」
語り部「そんな想いを込めたトリプルミーニングでした」
語り部「それでは、また何処かでお会いしましょう」
全体的に見て、命の重さが込められてると思いました。動物にだって繋がりはあるし特異的な物があっても命は何にだって一つな訳で、自分は自分以外の誰にもなれない。だからこそ大事にするんだって・・・やれる事やるんだって・・・上手く言えませんが・・・
『依存症の弟』の改良して見ました。改良と言っても超簡略的にですが・・・
完結おつかれさまでした✨☺️とても素敵なお話でした✨ミステリーとファンタジーが絶妙に混ざり合って、唯一無二な仕上がりでした✨👏☺️
ルナが成仏して、月に帰ることができてよかったです✨あと、小学生Dの子と言葉を交わすことができてよかったと思います✨
エミとタカシのつづき読みたいです✨🥰
楽しみにしてますー!✨☺️
完結お疲れ様でした👏🏻✨
タイトルにはタロットカードの「月」の意味が含まれていたのですね……!
確かに一瞬ハングドマンを連想したのですが、成程ある意味ヒントになってましたね🫢
飼育員と獣医の犯行でしたか……これはツラい。
ルナのお別れシーン、切ないですね😢
サンも幽霊でお礼を言うシーン、グッと来ました!
エミとタカシ、恋愛成就できて良かったです☺️
個人的に二人の話も気になります✨