第1章 reboot(脚本)
〇豪華なリビングダイニング
キース「──ようミツル! コロしにきたぜー?!」
ミツル「なんだよ新年早々騒がしい・・・」
ミツル「誰かと思ったら・・・誰よあんた?」
キース「おいおいおれさまを忘れたのか? ってありゃ前にもこんな事無かったか? しかもミツルが2人・・・」
キース「いやミツルが2人なのも知ってるぞ。 だがなんでしってるんだ? おれが最後に会った時は15年前でその時はミツル1人だったぞ」
ミツル「なんなのコイツ?」
ミツル「あれだ、黒歴史って奴だな」
ミツル「なるほどね、じゃあ知らないし見えないわ」
キース「ってか男のミツルなんでそんな流暢に喋るんだ喋らないんじゃなかったのか?」
ミツル「時の流れは人を変えるんだよ」
ミツル「そうね、色々あったわ」
キース「・・・」
キース「まあいいや。とにかくシね」
キースは2人のミツルに向けて魔法攻撃を放つ
キース「な、なんだ!?」
魔法攻撃は斬られる
ミツル「そう言えばあったわね護身用に」
ミツル「まさか本当に使うなんて思わなんだけど」
キース「ノエルの刀か」
ミツル「どうする? まだやるの?」
キース「お前らこそ、おれを斬れるのか?」
ミツル「そうだなー・・・」
ミツルはキースに刀を向ける
キース「うお! なんだこりゃ!?」
キースは水のロープでしばられる
ミツル「殺々(コロコロ)するのは趣味じゃないんだ」
ミツル「大丈夫なのそんな脆そうな水のヒモで」
ミツル「しらね。魔法には詳しくないんだ」
ノエル「おいおい、そいつは魔法なんかじゃないぞ?」
ミツル「あ、ノエ美いらっしゃいませー 熱い緑茶でも飲む?」
ノエル「おう野暮用で来たからおかまいなくでいいぜー? あと人を女みたいに・・・」
ミツル「今の時代ジェンダーレスだろ?」
ノエル「ん? 相変わらず真面目過ぎるなお前。多様性の時代なら俺の価値観も否定しちゃいけねえだろ?」
ミツル「そうだ」
ミツル「あけおめ少年ことよろー」
ノエル「おいおいいつまで正月気分なんだよーもう1月も半ばだろそれに俺もお前らももうアラサ──」
ミツル「正月は正”月”だから一ヶ月間だぞ」
ミツル「年齢の事言わないで鬱になる」
ノエル「めんどくせー」
ミツル「真面目過ぎて頭固いってか?」
ミツル「好きに言えばいいわ」
ノエル「まあいい。その水のロープが魔法じゃねえ事を言いに来ただけだからな」
「それだけの為にわざわざ京都から?」
ノエル「まあそれだけじゃねえがそれよりも・・・」
ノエル「そいつをどうにかしないとな」
キース「うう、このヒモ魔力吸ってやがる・・・しんど」
〇魔法陣のある研究室
ある研究室
ミツル「ナナセーいる?」
ミツル「なんで私まで・・・」
ノエル「いや、文句言いながら勝手に着いてきたよな どこだここ?」
ミツル「わたし弟いないとしんじゃうのー」
ミツル「ナナセの研究室。ノエルはともかく姉ちゃん連れてくるのも初めてだな」
ナナセ「なんじゃ騒々しい妾の部屋になんの用じゃ人間共?」
ミツル「やあナナセあけおめ久し振りりーん」
ノエル「おうナナセ8年振りくらいか?」
ナナセ「ミツル2体に・・・鳥人間と異界の魚類か妾の実験材料にでもなりに来たのか?」
キース「鳥人間つうんじゃねえよ差別だぞ?」
ノエル「異界の魚類? 俺じゃねえよなまさか・・・青龍」
ミツル「こいつやる。煮るなり焼くなり好きにしていいけどコロコロしないでね」
ナナセ「ほう貴様が妾に供物とは何が望みじゃ?」
ミツル「のぞみ? デートでもしてくれるの?」
ナナセ「この身体は貴様の物じゃ好きにするが良い」
ミツル「わーいでーとだでーとー」
ノエル「お前彼女居なかったか?」
ミツル「あー、じゃあ今のなし望みは後で言うよ」
ミツル「じゃまたなー」
〇豪華な客間
エミ「”カルマ”が捕まっちゃった」
エミ「2人共助けに行ってくれるかな?」
「はっ──!!」
〇怪しい研究所
「お腹すいたーなにか食べ行く?」
ノエル「流石双子だないや元々1人だったか」
「何食べるー? お金ないからファミレスで」
ミツル「ミラノ風ドリアでもいいわよ」
ミツル「なんにするか肉がいいかな」
ノエル「俺は和食が好きなんだがあのイタリアンファミレス安いからないいぞー」
「わーい支払いよろしくノエルー」
ノエル「まあいいけど」
ミツル「冗談だよちゃんと出すって」
ミツル「あたし財布無いわよ」
ノエル「はいはい行くか」
ノエル「ん?」
空から何かが降ってくる
「え?」
ノエル「・・・」
ノエルはミツル2人をさりげなく庇う様に前に立つ
イリヤ「・・・」
道路に出来たクレーターから少年が出てくる
ミツル「うわーびっくりした上から中学生が降ってきたぞ?」
ノエル「驚いたにしちゃ無表情だなミツル」
ミツル「あら可愛い持ち帰りたいけど犯罪は出来ないわ」
イリヤ「こいつか」
少年はノエルに殴りかかる
ノエル「おいおい危ねえな」
咄嗟に腕を掴んだノエルは少年を投げ飛ばす
イリヤ「ちっ!」
飛ばされた少年は体勢を崩さず再び殴りかかる
〇魔法陣のある研究室
ナナセ「さてこの半鳥人どうするか」
キース「くそっ、つーかそもそもあんた何者だ? お前の”魔力””デカ過ぎて”まともに感じ取れねえぞ」
キース「ありえねえだろ、人間ならデカい奴もいるが感じ取れねえなんて”神”の領域だぞ?」
ナナセ「妾はナナセただの科学者じゃ貴様にはミツルの守護者その10と言えばわかるかのう」
キース「10・・・おれ様が9(ノウェム)だからおれの次に生まれた奴か・・・?」
レッカ「話の途中に失礼する」
キース「おう”赤い奴”助けに来たのか?」
レッカ「”主”の命(めい)だ」
キース「じゃあ助けてくれー」
レッカ「まずは交渉からだ。ご麗人よ、その者は我が仲間であり返して頂きたいのだがご理解頂きたい」
ナナセ「良いぞ」
キース「え、なんだよ解放してくれるのか?」
レッカ「痛み入ります感謝です」
キース「よっしゃーこれでミツルを──守る事が出来るぞー」
キース「ありゃおかしいなおれはミツルを・・・」
キース「(ミツルをコロしてやりたい筈なのに言葉に出来ねえ上にそういう感情すら湧かねえ)」
キース「──どーなってんだ! これじゃミツルを──守れるじゃねえかチクショー!?」
ナナセ「貴様がどこで何をしようが知った事ではないがミツルに手を出せぬ様改造したそこまでする道理は無いが些細な事じゃ」
ナナセ「妾にとってこんな半鳥人なぞというありふれた雑種興味が湧かぬ」
キース「てめー! この期に及んでまだ人種差別しやがるのかこのサルが!!」
レッカ「”カルマ”よ、無意識に言うそれも差別だぞ」
キース「馬鹿かミツルはキャベツは好きでも差別は大嫌いなんだよ! ミツルが大好き(コロしたい程に)なおれさまが」
キース「ミツルの嫌いな事をする訳ねえだろ!?」
ナナセ「貴様等ただの人間半鳥人には興味湧かぬが」
ナナセ「外にいる”狼”には少々惹かれるのうあれは頂くぞ」
レッカ「仲間を渡せと申すのか」
キース「あーそいつはこいつに禁句だぜー コイツうぜー程仲間意識強えからなマジ鬱陶しいぜ」
〇怪しい研究所
ノエル「おいおいおい、いきなり殴りかかってきてなんなんだよ小僧!?」
イリヤ「・・・」
ノエル「口が聞けないのか? 今時多いよなそういう奴。そんな不良少年を更生させる俺たち警察の身にもなれってんだよ」
イリヤ「こんなもんか。さっきから逃げてばっかでつまんねえぞ、シにてえのか?」
ノエル「なんだ喋れるじゃねえか。見たところ会話は成り立たなそうだがせめて理由くらい言ったらどうだ?」
イリヤ「強え奴と闘うのに理由がいんのかよ?」
ノエル「あ、そういうタイプか。今でもいるんだなそういうマンガみたいな不良少年」
ノエル「おおいコイツ頼む!」
ノエルは上着を投げ捨てるとそれはミツルに降りかかる
ミツル「え、ちょままま──!?」
ミツル「オーライオーラーイ」
ミツルは顔から被りしっかり受けとる
ノエル「さて小僧。お前はヤンチャしたい年頃だろうが非番でもお巡りさんはお巡りさんなんだ 舐めてると痛い目見るぞ」
ミツル「おーい刀つかうー?」
ノエル「いらねーよ”人間”斬る趣味は無え」
イリヤ「そうかよ・・・」
ノエル「ん?」
イリヤ「”銀黒混鋼灰人狼”(カニス・ラトランス)これでヤル気になったか?」
少年の頭部から獣耳、尾骶骨から尾が生える
ミツル「カニスラトランス・・・コヨーテの学名だったかしら?」
ノエル「なんでそんな事知ってるんだよ?」
ミツル「昔そんな設定のキャラ考えてた頃もあったんだよ。思春期はそんなのにハマっちまうんだ恥ずかしー黒歴史だぜー」
ミツル「それはそうとやばいわキュートでワイルド私キュン死にしそう・・・」
ミツル「確かにねー不良からのギャップ萌えか?」
ノエル「なるほどなー。つまりはコスプレ趣味か? いいじゃねえか今時の若者は?」
イリヤ「テメェ・・・下等なニンゲン風情が”人狼”のおれさまを愚弄するか!?」
ノエル「じんろー?」
ミツル達「なんだったからしら人狼ゲームって? カードゲームだっけ嘘つきを発見する?」
ノエル「つまりいじっぱりな嘘つきか」
ミツル達「うわー攻撃力高そうー どういう意味よゲームのモンスターの話?」
「・・・」
不良少年はノエルに飛び掛かる
ノエル「おっと──男のハグは・・・なんだっけ躱すのがマナーだったか?」
ミツル達「ヒューヒュー! なんでも斬れる刀できっちゃえーチャンノエー・・・ あいつ人は斬らないでしょうが」
ミツル達「語呂悪いなー。チャンエミ? チャンエル? 天使みたいね じゃーチャンタツ チキンタツタみたな字面ね」
ノエル「おいおい俺等の”本名”はタブーだろ?」
ミツル達「大袈裟よもう中学生じゃないんだし減るもんでも無いし 大人の社会じゃルールなんてなんとなく守ってればいいんだよバレなきゃ」
ノエル「・・・もう好きにしろ」
〇魔法陣のある研究室
レッカ「悪いが仲間を引き渡せという文言には従えぬ」
ナナセ「許可など求めておらぬ妾は人狼を頂くだけじゃ」
レッカ「そうはさせられませぬ」
ナナセ「許しなどこうておらぬと申しておろう」
キース「お前ら全然話が通じてねえなお互いに」
外へ向かおうとするナナセにレッカは剣を振るい足元を叩く
ナナセ「なんじゃ”天界の加護を受けた”人間如きが妾の収集癖・・・探究心の邪魔をする気か?」
キース「今収集癖っつったか? こいつただのオタクか?」
レッカ「仲間は渡さぬ」
ナナセ「煩わしいのう」
レッカ「──!?」
レッカは突如背後に剣を振るう
「シャー──!!」
体長の大きな8尾程の蛇はレッカの剣により細切れにされる
ナナセ「ほうこの程度は見破れるか姿も匂いも音も消したが殺気のみ消さずにいたのでな気付けねば噛まれてたなさて次はどうじゃ?」
レッカ「──な!?」
キース「へ?」
レッカ「何の真似だカルマ!」
キース「いや体が勝手に・・・ どうなってんだ?! お前何かしたのか?」
ナナセ「そうじゃ半鳥人なぞ興味無いが雑種じゃろうが妾は一度手にした実験動物は地球上に居る限り永遠に管理する主義じゃ」
ナナセ「妾の物になった時点で妾の思い通りに動きついでにミツルに危害を加えられぬ様に手を加えておる」
キース「マジかそれでこんなに思いに反してミツルを守りたくなっちまってるのか・・・!」
レッカ「くっ──カルマは返すのでは無かったのか!?」
ナナセ「言ったであろう外の狼を寄越せと其方がその邪魔をしているのではないかこの鳥は返すが妾の支配下には永遠に属しておる」
ナナセ「それだけじゃ」
レッカ「くっ──倒すしか無いのか」
キース「まじかよー勝っても負けてもエミが困るじゃんかー」
ナナセ「しかし其方らをヤリ合わせて”天使の守護者”の観察をしようと思うだがやはりそれよりも早々に幻の種族人狼を手に入れたいのう」
「うっ──!?」
キースとレッカは突如その場に倒れる
〇怪しい研究所
ノエル「ったくどんだけ頑丈な体してやがる 何度アスファルトに投げつけても擦り傷一つ付きやしねえ。 かと言って受け身も全くして無え」
イリヤ「人狼の硬度を舐めんな鍛えれば人間の兵器すら通らねえんだよ!」
ノエル「どつすっかな・・・」
ミツル達「やっぱり刀つかう? タラタラしてんじゃないわよ」
ノエル「そうだなこのままじゃ埒が明かねえ。人間相手に良くないが、”刀”を遣うか」
イリヤ「おれは人狼だ! 人間なんかと一緒にするな」
ミツル達「あんた何突っ立ってんのよアイツ刀遣うって言ってるわよ? ん? やっぱこれつかうのかな? 抽象的な言い方僕わからんとよ」
イリヤ「ウラァ──!」
ノエル「ほい」
イリヤ「ぐはっ!?」
ノエルは向かって来る不良少年に軽い一撃を加える
ノエル「大人を舐めんじゃねえよ?」
ミツル「あれノエル刀つかうんじゃなかったの?」
ノエル「遣ったぞ、”手刀”」
ミツル「あー、そっちの”刀”」
ミツル「屁理屈じゃない」
ノエル「そうだな・・・」
ノエルは背後の石壁に手刀を放つ
ノエル「これでもダメか?」
ミツル「わお手刀で壁が切れた」
ミツル「どんな理屈よ」
ミツル「というか器物損壊じゃね? お巡りさんがそんな事していいの?」
ノエル「まあ誰も見てねえから平気さ」
ミツル「現実社会って適当だよなーエスカレーターで歩く奴とか平気でルール破る奴山ほどいるし」
ミツル「法律で言えば脱税とか裏金とか中抜きとか?」
ミツル「いじめとか廊下走るとかパワハラモラハラハラハラ」
ミツル「世界的に見たら領域侵したり不法占拠したり戦争云々・・・」
ノエル「あんま語り過ぎると趣旨ズレるぞー」
ミツル「あ、そう言えばこれ返す」
ノエル「おう、こっちもそうだが上着返してくれ」
ミツル「はい」
ノエル「いやー動き回ったからあちーなーかと言っていつまでも持たせたくのもわりーし着とくか」
イリヤ「てめーおれがこの程度でやられると思うなー!」
ボロボロの少年はふらつきながら立ち上がり向かって来る
ノエル「おっとあぶね」
ノエルは反射的に鞘に収まった刀を振り下ろす
イリヤ「ぐっ!」
アスファルトの地面に巨大なクレーターが出現する
ノエル「やべ反射的に叩きつけちまった」
ミツル達「あーあー国民の血税がムダ遣いされちゃうー チヒロに頼んでツケてもらいましょうかノエルの自腹で」
ノエル「おいおい勘弁してくれよー俺にだって家庭があるんだぞー。まあチヒロに土下座してくるしかねえ」
ナナセ「ほうよく仕留めたなそれもかなり常態が良いではないかこの程度の傷ならば内外跡は残らぬであろう」
ノエル「なんだよ突然?」
ナナセ「その子犬を妾にくれぬか?」
ノエル「んー? 俺に聞かれてもな。ミツルどうする?」
ミツル達「僕は何も見てないし何も知らなーい 同じく」
ノエル「だとよ。俺も面倒なのは御免だやる」
ナナセ「うむでは貰って行くぞ」
〇豪華な客間
エミ「お帰りなさい”2人”共」
レッカ「申し訳ありません主。カルマは無事連れ戻せましたが今度はイリヤが捕えられてしましました」
キース「はははちょーウケるなおれはちゃんと言ったぞおれの事情に干渉すんなってだからこうなんだよ」
レッカ「貴様助けられて何だその態度は!?」
キース「頼んでねーってザコども」
エミ「もういいやめて──!」
レッカ「申し訳ありません主」
キース「おう・・・」
レッカ「イリヤはこの命に替えても必ず──」
エミ「いいってば!」
キース「なんだ見捨てるのかー?」
レッカ「・・・」
エミ「ぼくが行くよ。もう”家族”がいなくなるのは嫌だもん」
エミ「だから”他のみんな”にもなにもしないでって言ってね」
レッカ「はっ! 必ず──」
キース「聞かねえ奴は力ずくで抑えてやんよ、なんなら”元同僚”達にも頼んでな」
エミ「頼んだよ2人とも」
レッカ「承知致しました」
キース「りょー」
〇豪華なリビングダイニング
ミツル「まあ何はともあれノエルせっかく来たんだしパーティしよーぜー」
ミツル「いえーいハメ外しちゃうわよー!」
ノエル「おー俺夜には帰るからなー」
ノエル「そう言えばナナセは呼ばねえのか?」
ミツル「呼んだよーたぶん来ない」
ミツル「困ったものだわー」
ノエル「そうかー。そう言えばここって”チヒロ”の家だよなアイツも来ねえのか?」
ミツル「今は商談だかで海外いるってー」
ミツル「大企業の社長様は忙しいんだよー」
ノエル「そうかそうか」
ミツル「何食べるー? 和食好きのノエルは寿司の出前がいいかなー?」
ノエル「んーミツルの食いたいのでいいぞー俺はビールでも飲めりゃそれで」
ミツル「だってー何するねーちゃん」
ミツル「そうねーピザとか?」
ミツル「わーいピザ久しぶりだー何があるかなー」
ミツル「そうねーやっぱり辛いのかしら」
ミツル「わーい辛いの大好きー 他は何だろーチキンとコーンが定番かな」
ミツル「いいんじゃないそーしましょう」
第1章完