君が残した宝物(脚本)
〇黒
僕の姉が死んだ
過労による、急性心不全
〇朝日
明け方
〇木造の一人部屋
冷たくなった姉を
美蘭(みらん)「・・・」
娘の美蘭が発見した
〇葬儀場
美蘭(みらん)「・・・ママ」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「美蘭ちゃん?」
美蘭(みらん)「誰ですか?」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「初めまして 僕は君のお母さんの弟、我孫子スバルです」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「よかったら、僕の子供になりませんか」
美蘭(みらん)「そういうの・・・いらない」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「え!?」
美蘭(みらん)「もう高校生だし 1人でも生きていけるんで」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「でも君は未成年だし」
美蘭(みらん)「だから? 知らないおじさんに世話されるのとか無理なんで」
我孫子 スバル(あびこ すばる)(そうだよな)
だって、あれから16年が経ったんだ
〇渋谷のスクランブル交差点
16年前──
〇テーブル席
我孫子 スバル(あびこ すばる)「結婚!?」
聖奈(せいな)「実は妊娠してるんだ」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「デキ婚!?」
聖奈(せいな)「授かり婚!!」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「相手は・・・誰だよ」
聖奈(せいな)「橘くんって覚えてる? テニスサークルの」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「橘って・・・ホストになったやつだろ?」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「やめとけって、うまくいかないよ」
聖奈(せいな)「・・・スバルもそう言うんだ」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「?」
聖奈(せいな)「スバルだけは 喜んでくれるって思ってた」
聖奈(せいな)「私に味方なんかいないんだ」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「ちょっ! 姉貴!!」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「はぁ・・・」
〇テーブル席
あれから僕らの縁は切れ、
〇葬儀場
そして──
ようやく来た連絡が
姉の葬儀の知らせだった
〇開けた交差点
美蘭(みらん)「ううっ」
「待って!」
美蘭(みらん)「!!」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「僕のことを信用できないのは、わかってる」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「それでも君は、僕にとって大切な姉の娘だから」
美蘭(みらん)「大切?」
美蘭(みらん)「だったらどうして 助けてくれなかったの?」
〇おしゃれなレストラン
ママは──
いくつも仕事を掛け持ちして
聖奈(せいな)「いらっしゃいませ」
〇学校のトイレ
聖奈(せいな)「・・・フウッ」
〇小さいコンビニ(軽トラあり)
深夜遅くまで働いて
〇コンビニの店内
聖奈(せいな)「有り難う御座いました」
一生懸命、頑張ってた
〇黒
ずっと・・・
たった独りで、耐えてた
〇開けた交差点
我孫子 スバル(あびこ すばる)「何度も連絡したさ!」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「でも・・・、会ってくれなかった」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「知らなかったんだ。 何も・・・」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「もしあの頃に戻れるなら、戻りたい」
〇テーブル席
あの頃に戻って
我孫子 スバル(あびこ すばる)「姉貴、結婚おめでとう!」
姉の幸せを喜んでいたなら
未来は変わったんだろうか
〇病院の廊下
〇田舎の病院の病室
君の誕生を祝うことも
〇広い公園
成長を見守ることも
出来たのだろうか
〇開けた交差点
我孫子 スバル(あびこ すばる)「君を、守りたい」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「僕に、守らせてくれ!」
美蘭(みらん)「偽善者!」
〇東京全景
〇東京全景
〇渋谷のスクランブル交差点
〇メイド喫茶
美蘭(みらん)「いらっしゃいませ、ご主人様」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「美蘭ちゃん」
美蘭(みらん)「げ!!」
〇公園のベンチ
美蘭(みらん)「バイト先まで来るとかシツコイ」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「これを」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「好きに使って」
美蘭(みらん)「いらない」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「でも!」
美蘭(みらん)「こういうの、ウザい」
美蘭(みらん)「私は私で生きていくんで」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「じゃあ、これあげる」
美蘭(みらん)「何これ?」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「うちの大学のマスコット、スピスピかーくん」
美蘭(みらん)「おじさん、大学の先生なの?」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「ああ、天文学を教えてる」
美蘭(みらん)「ふーん」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「?」
美蘭(みらん)「私の名前さ」
美蘭(みらん)「ミラって星の名前から、つけたんだって」
美蘭(みらん)「その星は奇跡を起こす星だって」
美蘭(みらん)「ママ、星に興味ないのに、その話だけはよくしてた」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「僕が姉貴に教えたんだ」
美蘭(みらん)「ふうん」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「その星、観せてあげるよ」
美蘭(みらん)「何それ、ナンパ?」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「!!」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「これでも君の叔父さんだぞ?」
美蘭(みらん)「でもって私の保護者でしょ?」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「!!」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「美蘭ちゃん・・・」
美蘭(みらん)「星・・・ 観せてくれなかったら、詐欺で訴えるから」
我孫子 スバル(あびこ すばる)「ははっ! わかった!」
〇東京全景
姉が残した大切な宝物
僕は、この星を、守り続ける
続きが気になりますね~😆
叔父さんとみらんちゃん、こんな感じで仲良くやっていくんだろうなぁ。
弟くんは守るべき星を見つけたんだね。次は後悔しませんように!
結婚相手の選択に何か言いたくなってしまう身内心、わかる~……けど、間違えても味方でいることについて考えさせられました。
変光星からつけた名前、素敵ですね。幸せになれますように。
弟は結婚を祝福しませんでしたが、やはりというか当の父親は出てこなかったところからもいい結婚ではなかったのですよね。
レディースコミックだとこの後もれなく弟が駄目な人でミランは苦労することになるなと思うのは考えが捻くれてるからに違いない。どうか幸せになって欲しいです。