星を見るもの、星を詠むもの

七霧孝平

憧れの人(脚本)

星を見るもの、星を詠むもの

七霧孝平

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〇桜の見える丘
星野 詠人「あ、え? 山塚さん?」
山塚 凛花「星野くん」
星野 詠人「え、えっと。なんでここに?」
山塚 凛花「ここ、桜が綺麗でしょう?」
山塚 凛花「もう卒業だから、観ておこうと思って」
山塚 凛花「星野くんは? さっきから──」
山塚 凛花「景色を観ないで、 パソコンとにらみ合ってるけど」
星野 詠人「あ、これは──」
山塚 凛花「見るね?」
星野 詠人「あ、待っ──」

〇桜の見える丘
山塚 凛花「『君は夜空に輝く星。 手に届かない、一等星』・・・」
星野 詠人「わわわ!  口に出さないで恥ずかしいから!」
山塚 凛花「ふふ。 誰かへの恋文かな? 星野くん、詩人だね」
星野 詠人「・・・」
星野 詠人「山塚さんのことだよ」
山塚 凛花「え?」
星野 詠人「山塚さんは綺麗で何でもできて人気者で」
星野 詠人「僕の・・・憧れの人」
山塚 凛花「星野くん・・・」
星野 詠人「僕は・・・僕はさ。 山塚さんのこと、好きなんだ」
山塚 凛花「!」
星野 詠人「でも僕は!」
星野 詠人「成績も普通だし! 運動神経もよくないし!」
星野 詠人「できることは・・・ 趣味でこんな文を書くことくらいさ」
星野 詠人「だから──」
山塚 凛花「星野くん」
星野 詠人「山塚・・・さん・・・?」
山塚 凛花「星野くん。 そんなに自分を卑下しないで」
山塚 凛花「星野くんが成績が普通とか、 運動神経がよくないとか関係ない」
山塚 凛花「今、チラッと見た分だけだけど、 星野くんの文、すごく心惹かれた」
山塚 凛花「こういう物が書ける星野くんの方が、 夜空に輝く星、なんじゃないかな?」
星野 詠人「ぼ、僕の文なんて、 そんな大したものじゃないよ」
星野 詠人「コンテストだって 入賞したことないし・・・」
山塚 凛花「あら、コンテストに出してるの?」
星野 詠人「あっ・・・」
山塚 凛花「いいじゃない。 とっても素敵よ?」
星野 詠人「でも──」
山塚 凛花「そこまで。 『でも』とか言わない」
山塚 凛花「星野くんの作品は素敵。 それは私が認めるから」
星野 詠人「素敵? ほんとに?」
山塚 凛花「ええ」
山塚 凛花「それに──」
山塚 凛花「もっと早く知りたかったな。 星野くんの作品を」
山塚 凛花「そしたら、 もっと話すきっかけができたのに」
星野 詠人「え、そ、それって・・・」
山塚 凛花「私はね、星野くん。 君のこと、結構気にしてたんだよ?」
星野 詠人「え、あ、え・・・?」
山塚 凛花「星野くん、 いつもノートと向き合ってるから・・・」
星野 詠人「で、でも、山塚さんも、 いつも皆と楽しそうに・・・」
「・・・」
「あはは!」
山塚 凛花「私たち、 お互いをよく見れてなかったみたいね」
星野 詠人「うん」
山塚 凛花「ねえ、星野くん」
星野 詠人「な、なに?」
山塚 凛花「私、卒業したら実家に帰るの」
星野 詠人「えっ!?」
山塚 凛花「お父様の意向でね、 家業を継がないといけないの」
星野 詠人「そ、そうなんだ」
山塚 凛花「だからね? もし君がこれからも作品を書き続けるなら」
山塚 凛花「私にも届けてくれない? 君の作品を」
星野 詠人「僕の作品で・・・いいの?」
山塚 凛花「君の作品が・・・いいの」
星野 詠人「うん。うん! 約束する!」
星野 詠人「それで山塚さんが元気になるなら!」
山塚 凛花「ありがとう。それと──」
山塚 凛花「凛花、って呼んでくれない?」
星野 詠人「えっ?」
山塚 凛花「お願い」
星野 詠人「えっと・・・凛花・・・さん」
山塚 凛花「ありがとう。 ・・・詠人くん」

コメント

  • 凛花ちゃん、めちゃめちゃ良い子ですね🥰🥰🥰

    星野くん、憧れる気持ちはよく分かります😔

    …いつか2人が結ばれますように😤

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