ルカ(脚本)
〇ファンタジー世界
平和な国の、大きなお城
城は、一つの町であり
一つの国だった
城の中は平和だが
城を一歩出れば
そこは魔物の巣窟(そうくつ)だった
〇西洋の城
「姫様!」
「姫様だ!」
老人「お帰りなさいませ姫様」
少女「ありがとう」
子ども「ひめさまー! マモノたいじのお話ししてください!」
老人「これこれ。 姫様は長旅でお疲れじゃよ」
少女「すまない」
少女「また今度話そう」
老人「たいした方だよ、姫様は」
老人「早くにご両親を亡くされて」
老人「お一人で、王族の責務(せきむ)を全うされているんだから」
子ども「せきむってなに?」
老人「この国──城の回りの魔物を退治するんだ」
老人「代々、王族が担ってきたお役目だよ」
子ども「姫様はすごいってこと?」
老人「そうだよ」
〇洋館のバルコニー
少女「ふぅ」
鎧を脱いで、身軽になる
少女「おまえもお戻り」
少女「ダメよ、お帰り」
少女「私は飼い主じゃないの」
少女「・・・まったく」
少女「今日もバレずに済んだわ」
この少女は姫様の影武者(かげむしゃ)だ。
どこかに行ってしまった姫の代わりに、政務も魔物退治もこなしていた。
少女「強い魔物もいなくて、城が平和だからいいものを」
少女「いつになったら帰ってくるのですか?」
少女「私はずっと待っているのですよ? あの黒猫も」
少女「ああ、姫様・・・」
少女「どこへ行ってしまったの」
〇ファンタジー世界
???「私はね、この国をもっと知りたい」
「城の外に行くの?」
???「旅に出るの」
???「しばらく留守を頼みます」
???「この子のことも」
〇北極点
日々は過ぎ去っていった
あっという間に
少女「ハァ、ハァ── こんなに強い魔物がいるとは」
少女「世界は広いな・・・」
少女「やったか?」
魔物「ぐぐぐ」
少女「!!」
光が収まると、一人の少女が現れた
少女「──どうして」
少女「ふふふ」
「リアーシャ!!逃げろ」
少女「うっ」
不意を突かれた少女リアーシャは、魔物の一撃に膝を突いた。
少女「あっ」
〇黒
ごめんね
守れなかった
〇ファンタジー世界
ごめんね
置いていってごめんね
ごめんね、ルカ
記憶の中の少女は、少し不満げで
でも最後は笑顔を向けて、見送ってくれた。
〇洋館のバルコニー
「リアーシャ様 よろしいですか」
ルカ「どうぞ、かまいません」
ルカ「私はリアーシャ」
ルカ「そう、リアーシャよ。 ルカじゃない」
ルカ「私は今、この城の姫なんだ」
〇ファンタジー世界
「待ってるよ、リアーシャ・・・」
「待ってるから」
面白い設定ですね!!
てっきり魔物は王女を殺した代わりに、王女になりすましているのかと思いました💦
王女を待っているというのが切ないですね😂