夏が終わっても(脚本)
〇バスケットボール場
朝っぱらから練習してる理由?
賭けをしたんだ
アイツの願いを叶えるって
何でそんな賭けを、って?
〇空
夏が終わっちまうから
〇空
〇田舎の公園
町内会長「ラジオ体操第一ィィィ!!」
〇田舎町の通り(看板あり)
ミナミ(急げ!)
ミナミ(みんなよりたくさん練習しないと!)
〇バスケットボール場
ミナミ「一番乗り──」
ミナミ「じゃない!?」
ミナミ「カッコイイ」
???「誰?」
ミナミ「あ」
ミナミ「ぼ、ぼくはミナミ」
???「カワイイ名前だね」
ミナミ「カワッ!?」
ユウキ「ボクはユウキ」
ユウキ「そのボール」
ユウキ「キミもバスケ?」
ミナミ「これは」
ミナミ「その」
ミナミ「ぼ」
ミナミ「ぼくにバスケを教えて!」
ユウキ「え?」
ミナミ「うまくなりたいんだ!」
ミナミ「ダメかな?」
ミナミ(取られた!?)
ユウキ「1on1しよ?」
ユウキ「1点でも取れたら教えてあげる」
ミナミ「そ、そんなのムリだよ!」
ユウキ「まずはボクから」
ミナミ「え」
ユウキ「スタート!」
ミナミ「え、え」
〇空
えええーっ!!
〇バスケットボール場
〇バスケットボール場
〇バスケットボール場
ミナミ「勝てるわけないよぉ!!」
ユウキ「さっきのは取れたボールだ」
ユウキ「何で手を抜いたの?」
ミナミ「え」
ユウキ「・・・ガッカリだよ」
ミナミ「え」
同級生「おーい、もう来てたのか」
同級生「今の誰?」
ミナミ「・・・ない」
〇学校の体育館
手を抜いてなんかない
みんなより背が低くて
いつだって悔しかった
〇空
〇バスケットボール場
ユウキ「へえ」
ユウキ「今日も来たんだ」
ミナミ「何も知らないくせに」
ユウキ「ん?」
ミナミ「・・・から」
ミナミ「ゼッタイ負けないからぁ!!」
〇バスケットボール場
〇バスケットボール場
〇バスケットボール場
ミナミ「もう一回!」
ユウキ「ごめんね」
ユウキ「時間だから」
ミナミ(もっと──)
〇空
〇木造の一人部屋
〇田舎町の通り(看板あり)
ミナミ(もっと!)
〇バスケットボール場
ミナミ(もう来てる!)
ユウキ「まだまだ」
ユウキ「ラストチャンスなんだ」
ミナミ(ラストチャンス?)
ユウキ「チャンスを逃すな」
ユウキ「掴み取れ」
ユウキ「やあ」
ユウキ「今日も暑いね」
ミナミ「あ」
ミナミ「うん」
ユウキ「早くやろうよ」
ユウキ「一分一秒もムダにできないよ」
ミナミ「え?」
〇木造の一人部屋
夏が終われば、お別れなんだから
〇バスケットボール場
ミナミ(夏休みが終わったら)
ミナミ(ユウキ君と会えなくなる?)
〇バスケットボール場
〇バスケットボール場
ミナミ(そんなの──)
〇空
〇バスケットボール場
ミナミ「チャンスを逃すな」
〇空
掴み取れ
〇空
〇バスケットボール場
ミナミ「もう一回!」
ユウキ「降り出しそうだね」
ユウキ「これがラストチャンスだよ」
ミナミ「うん」
ミナミ「ユウキ君」
ミナミ「賭けをしたいんだ」
ユウキ「賭け?」
ミナミ「ぼくが勝ったらユウキ君の願いを叶える」
ユウキ「え?」
ユウキ「逆じゃない?」
ミナミ「いいの!」
ユウキ「わかった」
ユウキ「でも手は抜かないよ」
ミナミ「うん」
ミナミ「行くよ!」
〇バスケットボール場
ユウキ「おっと」
ユウキ「危ない」
ミナミ「まだ!」
ユウキ「なっ」
ミナミ「取った!」
ユウキ「行かせない」
ユウキ「抜かれた!?」
ユウキ「待て──」
ミナミ「入れ」
〇空
「入れぇーっ!!」
〇バスケットボール場
ミナミ「入った!」
ミナミ「ユウキ君──」
ミナミ「ユウキ君?」
〇空
「ユウキ君!」
〇田舎の病院の病室
ミナミ「ユウキ君」
ミナミ「病気だったの?」
〇平屋の一戸建て
人より少しだけ疲れやすいんだ
今は祖母の家に来ていて
本当は安静にしなくちゃいけないけど
〇田舎の公園
ラジオ体操に行くフリをして抜け出した
〇バスケットボール場
バスケが好きだったから
でも本当は
心のどこかで探していたのかもしれない
諦める理由を
〇田舎の病院の病室
ユウキ「ありがとう」
ユウキ「治療に専念する決心がついたよ」
ミナミ「や、約束は!?」
ユウキ「キミのほうが強い」
ユウキ「身長だってこれから伸びる」
ユウキ「ボクにはもう、届かないよ」
〇空
ウソつきッ!!
〇田舎の病院の病室
ミナミ「ユウキ君の願い事!」
ミナミ「まだ叶えてない!」
ミナミ「ぼくは」
ミナミ「ぼくはユウキ君にお礼がしたいんだ!」
ミナミ「ユウキ君がいたから強くなれた!」
ミナミ「だから」
ユウキ「ひとつだけ」
〇空
ユウキ「見たいものがあるんだ」
〇木造の一人部屋
〇バスケットボール場
〇バスケットボール場
結局
アイツはもう来なかった
〇公園の入り口
礼なんてどうでも良かった
〇田舎町の通り(看板あり)
俺はただ
〇白
夏が終わっても、会いたかったんだ
〇バスケットボール場
ミナミ「話し込んじまったな」
ミナミ「いねぇし」
〇空
ミナミ(誰だったんだ、アイツ)
〇田舎町の通り(看板あり)
見たいもの、それはね
逞しく成長したミナミがバスケをする姿、それを見ていたのはきっと……。
ラストのスチルが最高にカッコいいです!👍️
寒い冬にっ!心が熱くなるお話っ!✨😭❄️🔥
素敵なお話でしたー!✨一つ一つの言葉が響きますし、展開もどうなるのかなというのも気になりますし、最後の余韻が残る終わり方も素敵でした✨👏胸熱…❤️🔥
あとスチル凄いですね!✨かっこいいです✨👏