渋谷の鏡と時間の魔王

Alice

渋谷の鏡と時間の魔王(脚本)

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〇SHIBUYA109

〇ハチ公前
雄太「あれ?」
雄太「ずいぶん待った気がするけど、まだこんな時間か」
雄太「約束の時間まで、まだ15分あるな」

〇渋谷フクラス
さおり「おや?」
さおり「ランチ食べたのに、お昼休みまだ30分以上残ってる!」
さおり「せんぱ〜い、ランチもう一回食べられますよー」
京香「嘘でしょ? スマホもおなかも壊れてるんじゃないの?」

〇電車の中
みうな「ん?」
みうな「電車なかなか発進しないなあ・・・」
みうな「早く帰りたいのに・・・」

〇地下鉄のホーム
みうな「事故かな? いつ動くんだろう」
沿線マダム「まったく・・・いつまで止まってるのかしら?」
バブル世代のマサ「やれやれ・・・タクシーに乗り換えるか」
みうな「バスが動いてるか、地上に出てみようかな」

〇渋谷の雑踏
「信号が止まってるぞ!」
「電車もバスも止まってるぞ!」
雄太「さっきから時計も止まったままだ・・・いったい何が起こってるんだ?」

〇SHIBUYA SKY
時間の魔王「愚かな人間どもめ・・・」
時間の魔王「渋谷の時間はもらった。 お前たちはもう未来には進めない・・・」
時間の魔王「2022年の渋谷を彷徨い続けるが良い」
時間の魔王「未来に進みたかったら・・・」
  自分で時間をつくってみろ

〇高架下
みうな「バスも止まってるなんて・・・ それに信号まで」
みうな「どうやって帰ろう・・・」
バブル世代のマサ「やれやれ、タクシーも止まってるなんて」
バブル世代のマサ「クライアントとのMTGには、もう間に合わないな」
みうな「ママに迎えにきてもらおうかな」
みうな「・・・え?」

〇ハチ公前
雄太「う〜ん、困った・・・」
雄太「こんな時にスマホのバッテリーが切れるなんて・・・」
雄太(せっかくのデート。 張り切って調べたカフェも服屋も全部スマホの中なのに・・・)

〇渋谷駅前
さおり「せんぱ〜い!」
さおり「もうこんな状況だし、今日は仕事も終わりですよね!」
京香「まだわからないわよ。一旦オフィスに戻りましょう。 でも・・・」
京香「人も車も大混乱で、なかなか進めないわ・・・」
さおり「じゃあ、お洋服見にいきましょ〜!」
京香「マジ? なんでこの状況で服見れんの?」
京香「あら? 子どもが・・・ 学校も終わりになったのかしら?」
りゅう「今日はもうゆっくり、街を歩いたらいいよ」
京香「・・・今のは何?」

〇ハチ公前
雄太「どうしようかなぁ・・・ このまま待ち続けるか、でもスマホも使えないし・・・」
雄太(スマホがなくて、デート中に道に迷うなんてかっこ悪いこともしたくないし・・・)
りゅう「ねえ、お兄さん。 僕ちょっと街を歩きたいから付いてきてよ」
雄太「お、おう・・・ 子供だけで繁華街を歩いちゃ危ないぞ、一緒に行こう」

〇SHIBUYA109
みうな「どうしよう・・・スマホも使えないし」
りゅう「ほら、こっちだよ! 僕、行ってみたかった本屋があるんだよね!」
雄太「本〜? 仕方ねえ付いてってやるよ! どっちだ?」
みうな「ん?」
みうな「・・・電車が動くまで、私も街を歩いてみようかな」

〇渋谷スクランブルスクエア
  大切な鏡が破られてしまった・・・
  破られた断片をつないで
  時間を取り戻さねば・・・

〇テーブル席
京香「おいし〜い!」
京香「ここのパンケーキ、食べて見たかったの!」
さおり「先輩、ノリノリでサボってるじゃないですか! この後は私のお洋服見に付き合ってくださいよ!?」
京香「こうしてゆっくりお茶するなんて、初めてじゃない?」
さおり「確かに。 ・・・先輩いつも忙しくて、そんな時間無かったですもんね」

〇東急百貨店
みうな「デパートか。 懐かしいなあ、子どもの頃よく来たな」
みうな(そういえば近くに映画館が・・・)

〇本屋
雄太「うおー! 本屋なんて久しぶりに来たぜ!」
りゅう「ねえ! これ見て!」
雄太「うわ! きれいな海だなあ〜! そういえば彼女が旅行したいって言ってたな・・・」
雄太(忙しくてそんなこと、全然かまってなかったな・・・)
りゅう「じゃあ、あとで彼女と一緒に旅の本でも見なよ!」
雄太「本で旅先を探す、それもアリだな!」
雄太「あれ? あいつどこ行った?」

〇スペイン坂
さおり「先輩! この服どうですか?」
りゅう「すごく似合うよ!」
京香「あら? さっきの子・・・ ねえ、学校はもう終わったの?」
りゅう「うん。 今はこうして、渋谷の街を繋いでるんだ」
さおり「繋ぐ・・・?」
さおり「え?」
京香「消えた・・・?」

〇渋谷スクランブルスクエア
みうな「映画良かったなあ」
みうな「でも、すっかり夕方になっちゃった」
りゅう「ねえ、この上登ったことある?」
みうな「え?  ・・・ええと、ないけど・・・」
りゅう「きっとすごくきれいだよ。 一緒に登ってみようよ」
みうな「う、うん・・・」

〇SHIBUYA SKY
みうな「うわあ〜! すごい眺め!」
りゅう「街の様子がよくわかるよね」
みうな「ほんとうだね。 さっき見てた映画みたい」
みうな「いろんな人がたくさん出てきてね みんなが街でそれぞれの暮らしをしてるんだよ」
みうな「私、ゆっくり街を歩いたこともなかったし 街にいろんな景色があることも知らなかった」
みうな「あれ? あの子はどこ行ったんだろう?」

〇SHIBUYA SKY
鏡の守神「これで破られた断片をつなげることができた・・・」
鏡の守神「この鏡は、街の景色と人を繋ぎ、物語を紡ぐもの」
鏡の守神「誰も彼もが街の景色や人に無関心であったために、魔王に時間を取られてしまったが・・・」
  渋谷の時間は、これで動き出すだろう

〇渋谷スクランブルスクエア
みうな「楽しかったな」
みうな「あ! ママ!」

コメント

  • 時間を作り出すという点がとても興味深かったです。
    いろんな余裕をなくしていた人達の心の中で、時間が動き出すのが読んでてわかりました。

  • 人間は時間に追われて生きています。時間は戻ることはない。未来は過去になる。生きてる時間を見つめ直して大事にしようと私は捉えました。

  • 演出がすごかったですね。ずっと不思議な空間にいる感じがしました。

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