帰ってきたお兄ちゃん(脚本)
〇総合病院
〇病室
フミ「絶対手術しない」
フミ「どうせ失敗するもん」
お兄「大丈夫」
お兄「お兄が「願い星」を」
お兄「取ってきてやるからな」
お兄「なんでも叶うんだぜ」
フミ「そんなのウソだよ」
〇カラフルな宇宙空間
それに
宇宙にあるモノをどうやって
〇病室
お兄「そりゃあ」
〇カラフルな宇宙空間
UFOを呼ぶんだよ!
ベントラ!ベントラ!
〇病室
お兄「てな!」
フミ「あ、怪しい」
お兄「楽しみにしてろ!」
〇高い屋上
その後
彼は姿を消した
〇黒背景
〇総合病院
60年後
〇病室
おばあ「絶対手術しない」
おばあ「どうせ失敗するもん」
兄貴「じゃ止めとけば」
兄貴「お、大人のマジ泣き!?」
おばあ「お兄のいじわるぅ!」
兄貴「あんたの兄はしん」
妹「おばあ泣かすな!クソ兄貴!」
兄貴「痛ぇ!」
妹「私ら可愛がってもらったじゃん!」
妹「その愛情に少しは報いなよ」
兄貴「つってもなぁ」
〇居酒屋のカウンター
昔の面影は
全くない
〇カラフルな宇宙空間
兄と
孫を間違えてる
〇病室
兄貴「どう付き合ってやりゃいんだよ」
妹「それは」
おばあ「手術、しないもん」
妹「そんなこと言わないで」
妹「ね?」
おばあ「嫌だぁ!」
妹「うーん」
妹「そうだ!」
妹「私らが「願い星」持ってきてあげる」
兄貴「は?」
兄貴「そんなことできるわけ」
おばあ「ホント?」
妹「まかせて」
〇黒背景
〇居酒屋のカウンター
妹「兄貴!」
妹「お兄さんになりきって」
妹「おばあを励ましてあげて」
兄貴「無茶言うなっ」
妹「おばあは昔から心臓が悪いんだ」
妹「早くしないと」
妹「取り返しがつかなくなる」
兄貴「俺は」
兄貴「ババアがああして」
兄貴「自分を見失ってるのは」
兄貴「正直見てらんねえ」
兄貴「だからいっそのこと、って」
妹「兄貴!」
兄貴「なんだよ」
妹「生きてる人間は」
妹「ずっと戦い続けないといけない」
妹「それがどんなに惨めに思えても」
妹「目には見えない存在が」
妹「きっと見守っててくれてるんだから」
兄貴「それ」
〇居酒屋のカウンター
ババアの口癖じゃん
〇居酒屋のカウンター
妹「お兄さんは」
妹「おばあが頑張るのを」
妹「今もどこかで応援してる」
妹「私はそう信じてる」
兄貴「お兄、結構スパルタやん」
兄貴「俺にはその言葉の方が」
兄貴「UFOより よっぽどオカルトだぜ」
妹「それなら」
妹「星を捕まえる方が簡単でしょ」
兄貴「屁理屈言うな」
兄貴「仕方ねえ」
兄貴「アイスおごれ」
兄貴「そしたら演ってやるぜ」
妹「1年分あげちゃう」
〇黒背景
〇病室
〇高い屋上
ベントラ!ベントラ!
おばあ「なにゆってるの」
妹「奇跡を呼ぶ呪文だよ」
ベントラ!ベントラ!
お兄「よ!」
おばあ「お兄ぃ」
妹(頼んだよ兄貴)
お兄「手術受けないって?」
おばあ「だって」
おばあ「どうせ失敗するもん」
お兄「大丈夫」
お兄「絶対成功する」
お兄「ホラ」
おばあ「きれい・・・」
お兄「約束した「願い星」だ」
おばあ「ほんもの!?」
お兄「フミ」
お兄「信じてれば」
お兄「どんなことも本当になるんだ」
お兄「きっとな」
おばあ「う、うん」
お兄「だから最後まで頑張れよ」
お兄「俺は見てるからな」
おばあ「ど、どこいくの」
お兄「UFOが待ってる」
お兄「だからもう行かなきゃ」
おばあ「また会える?」
〇空
いつも傍にいるさ
〇黒背景
〇高い屋上
兄貴「わりぃ!遅くなった!」
妹「うう」
兄貴「なんで泣いてんだ」
妹「名演だった」
妹「もらい泣きしちゃった」
兄貴「何にだ?」
妹「謙遜しなさんな」
妹「それにしても」
妹「こんな綺麗なのどこで見つけたの」
兄貴「知らん」
妹「は」
〇個室のトイレ
俺は
アイス食いすぎて
ずっとピーピーだったんだから
〇高い屋上
妹「え」
兄貴「それに」
兄貴「俺が用意したのは」
妹「なにこれ汚っ!」
兄貴「「願い星」に決まってんだろ!」
妹「じゃあ」
〇高い屋上
さっきまでここにいたのは
〇高い屋上
〇空
〇黒背景
〇病室
おばあは
手術を受けた
〇カラフルな宇宙空間
それを
宇宙人だか幽霊だかが
見守っていたのかは
私らには分からない