5 我儘(脚本)
〇教室
3ヶ月後。期末テストが終わった今日この頃。
響タケル「委員長、今回はどうだったよ?」
椎名直人「聞くまでも無いでしょ?僕の成績は学年3位で、諸星さんは1位ですよ・・・」
相馬ハヤテ「そっか、また負けたのか・・・まぁ俺らは委員長にすら負けてるけどね・・・」
響タケル「しかしまぁ、あれから随分経ったが、あいつらまだ付き合って無いんだってな・・・」
椎名直人「まぁ、そこは朝比奈君にも考えがあっての事ですよ・・・相手を傷付けない様にするって、良い心掛けですし・・・」
高木芳樹「でもそないな事がずっと出来ると思うん?人と関わるっちゅう事は、大なり小なり人を傷付けるっちゅう事やし・・・」
高木芳樹「関わっても関わらなくても傷付ける事はあるで?」
椎名直人「まぁ、そこは彼らに任せましょう・・・僕も今回の事で、上には上がいると言う事を意識して、」
椎名直人「自分のペースで頑張って行こうと決めましたから・・・」
響タケル「ははは!それは同感だな!もし自分が常に正しかったら、とっくに地球救ってる訳だしな!」
朝比奈春樹「諸星さん・・・」
諸星陽菜「あ、朝比奈君!テストお疲れ様!調子どうだった?」
朝比奈春樹「うん、そこまで悪くは無いと思う・・・諸星さんには負けるけどね・・・」
諸星陽菜「その分だと補修は避けれそうね・・・」
朝比奈春樹「まぁね、でも1位おめでとう・・・」
諸星陽菜「ありがとう!」
諸星陽菜「でもそれを言いに来たんじゃ無いんでしょ?」
朝比奈春樹「・・・あぁ、最近やっと完成してな・・・夜神からも高評価もらったんだ・・・」
諸星陽菜「あ、とうとう出来上がったんだね!ジャンルは何?」
朝比奈春樹「恋愛シュミレーター・・・」
諸星陽菜「おぉ!意外なチョイスだね・・・」
朝比奈春樹「EDはマルチ式にしてて、トゥルーエンドは凄く難しくしたから・・・トゥルーエンド見れたら諸星さんの勝ちでどうかな?」
諸星陽菜「分かった!その挑戦受けて立つわ!」
響タケル「何だよ、何だかんだあいつら楽しそうじゃねぇか・・・」
高木芳樹「せやな、ワイらが心配する必要あらへんわ・・・」
椎名直人「さて、皆さん今日はもう帰りましょう・・・僕らは僕らで、やるべき事がありますから・・・」
響タケル「だな、行こうか・・・」
〇一戸建て
3日後。
朝比奈春樹「さて、もう直ぐ夏休みか・・・」
諸星陽菜「あ、お早う・・・待ってたよ・・・」
朝比奈春樹「あれ?どうして諸星さんがここに?」
諸星陽菜「夜神君に頼んで教えて貰ったの・・・本当は余り良く無いけど・・・あのゲームやって見たんだけどさぁ・・・」
諸星陽菜「メインヒロインの女の子を落とすの苦労したわ・・・物凄く理想が高くて・・・」
朝比奈春樹「あぁやっぱり?あれ俺も苦労したよ!中々全ステータス100以上にならないし、用意したお邪魔虫も厄介でさ・・・」
諸星陽菜「ちょっとちょっと!用意したの全部朝比奈君でしょ?正直あたしもトゥルーエンド諦めかけてたから・・・」
朝比奈春樹「あぁほら、簡単過ぎたら詰まらないと思った結果だから・・・良く言うだろ?壁があれば乗り越えろって・・・」
諸星陽菜「使い所違うよ・・・まぁ良いわ、行きましょう・・・」
〇通学路
諸星陽菜「ねぇ朝比奈君・・・」
朝比奈春樹「ん?どうかした?」
諸星陽菜「前から思ってたんだけどさぁ、いつになったらあたしの彼氏になってくれるの?」
朝比奈春樹「おいおい、勘弁してくれよ・・・」
諸星陽菜「朝比奈君はあたしに勝ったんだよ?あたしはあたしに勝てる人をずっと捜してたのに・・・」
朝比奈春樹「それはそれで考えが浅はかだとは思うけど・・・まぁ、何と言うか・・・」
諸星陽菜「朝比奈君?」
朝比奈春樹「俺も将来の事とかどうしようか迷ってるよ?けど、最近俺も思う所があってさ・・・」
朝比奈春樹「確かに俺は諸星さんに勝った・・・でも、最近あの時勝てたのって紛れなんじゃ無いかって思ってさぁ・・・」
朝比奈春樹「何よりどう言う訳か、そう言うのも良いかなって思える自分がいるんだよね・・・」
諸星陽菜「え?あれはどっからどう見ても実力じゃん?何自信無さげにしてるの?」
朝比奈春樹「うん、だからさ、もう一度勝負してくれないかな?」
諸星陽菜「え?」
朝比奈春樹「もう一度勝負して欲しいんだ・・・正直これは俺の我儘なんだけど、あの時勝てたのは紛れじゃ無いって自分に証明したいんだ・・・」
朝比奈春樹「だから・・・もう一度勝負してくれないか?」
諸星陽菜「・・・!やる!やるよ!!でも、それであたしが負けたら今度こそ彼女にして貰うよ!それ受けてくれないなら、」
諸星陽菜「あたし勝負しないからね!!」
朝比奈春樹「・・・よ、良かった・・・」
それから俺は、諸星さんとまたゲームで勝負してまた勝利して本当に付き合う事となった。まだまだ未来に対して
不安が無い訳じゃ無いけど、今はこの幸せを噛み締めたいと心から思っていた。夏休みになって一緒に過ごす中、
俺が未来に目を向けて頑張る事になるのは、また別の話だ。
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