〇教室
教師「皆さんおはようございます」
教師「今日も一日よろしくお願いします」
教師「アズサさん 貴女はくれぐれもよろしくね」
アズサ（なんで私だけ・・・ みんなを傷付けたことなんかないのに）
教師「お返事してくださる？ 怖くて仕方がないでしょう？」
アズサ「は、」
アズサ「はい」

〇黒
　　これは危険な異能を持って生まれた
　　不運な者達のお話
「先生ーー！」

〇教室
ヒデ「俺も一緒に気を付けまーす」
教師「そ、そうね 貴方も気を付けて」
アズサ「大人しくしてなさいよ」
ヒデ「だって俺も異能者だし」
アズサ「アンタは私ほど嫌われてないんだから ほっとけばいいのに」
ヒデ「俺はアズサを攻撃する奴とは仲良くやりたくない」
アズサ「バカっ声おおきいって」

〇公園の入り口
　　キモいんだよお前ら
　　どうした？
　　得意の異能でやり返してみろよ
ヒデ「・・・かよ」
　　・・・？
ヒデ「そんな事で使えるかぁ」
　　うわっ
　　やりやがったコイツ

〇見晴らしのいい公園
ヒデ「ごめん遅れた」
アズサ「ケンカしたの？」
ヒデ「まぁ」
ヒデ「でも異能は使ってないから」
アズサ「正当防衛なら使えばいいのに」
ヒデ「アズサだって使わないじゃん」
アズサ「私のは本当に危ないから」
アズサ「それに弟に迷惑かけたくない」
ヒデ「うん、知ってる」
ヒデ「・・・」
ヒデ「待っててくれてありがと」
アズサ「うん」

〇黒
　　２人の時は流れ──

〇おしゃれな教室
アズサ「じゃいつもの場所で」
ヒデ「一緒に行かないの？」
アズサ「１回家戻るから」
ヒデ「弟の世話あるなら今日は──」
アズサ「大丈夫だから先行ってて」
ヒデ「じゃ後で」
アズサ（よし）

〇学校の下駄箱
アズサ（誕プレ喜んでくれるかな〜）
アズサ（バレないように下駄箱に）
アズサ（あれ・・・）
嫌な生徒A「探し物ですか〜？」
アズサ「え、なんで？」
嫌な生徒B「今日ヒデの誕生日なんでしょ」
嫌な生徒A「異能者の分際でイチャつくなよ」
アズサ「返して」
嫌な生徒A「なんのこと〜？」

〇炎
　　返して・・・くれないなら・・・

〇白
アズマ「姉ちゃん」

〇白

〇学校の下駄箱
アズサ「・・・」
嫌な生徒B「ねえ、今一瞬さ」
嫌な生徒A「うん やばかったかも」

〇おしゃれなリビングダイニング
アズサ「うぅ」
アズマ「姉ちゃんどうしたの？」
アズサ「なんでもない」
アズマ「・・・」
アズマ「そうだ」
アズマ「ヒデ兄にプレゼント渡せた？」
アズサ「プレゼントは・・・」
アズサ「無くしちゃった」
アズマ「・・・」
アズマ「それでも行かなきゃダメだよ」
アズサ「行けないよ」
アズサ「プレゼントも無くすし・・・」
アズサ「異能者だし・・・」
アズサ「もう行けない・・・」
アズマ「ヒデ兄はそんな風に思わない」

〇見晴らしのいい公園
　　姉ちゃんの方が知ってるでしょ？

〇見晴らしのいい公園
アズサ「ごめんね誕プレ無くて」
アズサ「異能ってホント最悪」
ヒデ「でも異能が無かったら」
ヒデ「こんなに仲良くなれなかったかも」
アズサ「ポジティブ〜」
ヒデ「子供のときさ」
ヒデ「アズサが異能者の在り方っぽいこと言ってて」
ヒデ「それから良い生き方が出来てる気がするんだ」
アズサ「大袈裟ですね〜 覚えてないや」
ヒデ「そっか」
アズサ「私もヒデには救われてるよ」
ヒデ「・・・オホン」
ヒデ「ここからいつも見える星みたいにさ」
ヒデ「ずっと一緒にいれたらいいな」
アズサ「・・・」
アズサ「ちょっとクサいかも？」
ヒデ「やっぱり？」
アズサ「もしかして考えてたの？」
ヒデ「待たされて時間あったから」
「・・・」
「・・・・・・」

〇見晴らしのいい公園
　　夜空の下に並び座る２人
　　アズサは勇気を出して
　　彼の手に少し触れた
　　少し遅れて
　　彼の掌が私の手に重なった
　　そのまま彼に身体を預けて
　　肩に頭を寄せた
アズサ「待っててくれてありがとね」
ヒデ「うん」