SYRO/サイロ

そよかぜフィリップ

リ・バース(脚本)

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〇黒背景

〇走行する車内
  その夜
  連日の残業で
  疲れきっていた俺は・・
  突然!
  睡魔に襲われた

〇マンション群
  そして・・
救急医1「これは・・」
救急医1「厳しいか・・」
「・・・は、羽川・・」
救急医2「・・え?」
救急医1「何か言ってるぞ!」
「は、羽川、を呼んで・・」
救急医1「え?誰?」
「は、羽川真司を・・」
救急医1「え?羽川真司って」
救急医2「ドクター羽川の事ですかね?」

〇テクスチャ3
  SYRO

〇黒背景

〇狭い裏通り
ヤクザ1「・・・あ」
ヤクザ1「なんだ、テメエ!」
ヤクザ1「ハロウィーンか?」
ヤクザ1「グエッ!」

〇空き地
チンピラ1「・・・うえっ」
チンピラ1「気持ちわりぃな」
チンピラ1「コスプレか、それ?」
チンピラ1「ウグッ」

〇血しぶき
  ・・・ダメだ!
  このチカラはあまりに強大だ!
  もう、飲み込まれてしまう・・

〇フェンスに囲われた屋上
羽川真司「ハァ、ハァ、ハァ」
羽川真司「・・もしもし?」
羽川真司「はい、羽川ですが」
羽川真司「え?・・・」
羽川真司「僕の名を呼んでる?」
羽川真司「・・・」
羽川真司「重体・・」
羽川真司「絶望的・・ですか・・」

〇線路沿いの道
泉夏子「・・・」
泉夏子「・・・あっ」
警官「こんばんは」
警官「お仕事の帰りですか?」
泉夏子「あ、はい」
警官「最近、隣の街で」
警官「物騒な事件が起こってるの、ご存知ですか?」
泉夏子「あ、はい」
警官「まあ、 襲われてるの、悪いヤツだけですけど」
警官「なるべく」
警官「おひとりで出歩かない様にして下さいね」
泉夏子「・・・はい」
警官「では・・」
泉夏子「・・・あ」
泉夏子「もしもし?」
泉夏子「え?」
泉夏子「警察?」
泉夏子「・・・はい」
泉夏子「はい、私ですが・・」
泉夏子「・・・え!」

〇フェンスに囲われた屋上
羽川真司「その人」
羽川真司「僕の所へ運んでもらえませんか?」

〇実験ルーム

〇黒

〇研究施設の一室
  気がつくと・・
  恋人の夏子が、
  心配そうに覗き込んでいた・・
泉夏子「あっ!」
泉夏子「気がついた!」
泉夏子「・・・良かった」
泉夏子「ホント良かった・・」
羽川真司「・・気がついたね」
羽川真司「・・・」
羽川真司「原田君」
  ・・・え?
  羽川・・

〇黒背景

〇綺麗な会議室
泉夏子「・・・」
羽川真司「原田君に、身寄りがないのはご存知ですか?」
泉夏子「・・はい、聞いています」
羽川真司「・・そうですか」
羽川真司「正直言って・・」
羽川真司「普通の手術では厳しい状態です・・」
泉夏子「・・・え」
羽川真司「助かる見込みは僅かでしょう」
泉夏子「・・・そんな」
羽川真司「原田君は、意識の無い状態で」
羽川真司「僕を呼んでいました」
羽川真司「だから、彼の為にも」
羽川真司「僕が研究しているテクノロジーを試したいんです」
羽川真司「他に選択肢はありません」
泉夏子「・・・」
羽川真司「・・・認めてもらえますか?」
泉夏子「・・・」
泉夏子「・・・はい」
羽川真司「・・ありがとうございます」
羽川真司「では、地下の特別室で執刀します」
羽川真司「申し訳ありませんが、時間を要します」
羽川真司「泉さんは一度、お帰り下さい」
泉夏子「・・・」
泉夏子「・・・はい」

〇黒背景

〇黒

〇黒

〇近未来の病室
泉夏子「・・・」
泉夏子「まだ、信じられないよ」
泉夏子「もうダメかと思ったのに・・」
泉夏子「車もメチャクチャだったって・・」
原田義文「ホントだよな」
原田義文「どこも痛くないどころか」
原田義文「逆に調子がいいんだからな」
泉夏子「・・・」
原田義文「夏子、ありがとな・・」
泉夏子「え?」
原田義文「お前が側にいてくれなかったら、 戻ってこれなかったよ」
泉夏子「・・そんな怖い事、言わないでよ」
原田義文「ははっ、悪い」
泉夏子「いつもアナタから、 『羽川さんは凄い』って聞いてたけど・・」
原田義文「・・そうだな」
原田義文「本当に凄いヤツだろ?」
泉夏子「・・う、うん」
泉夏子「じゃあ・・」
泉夏子「・・羽川さんに、ご挨拶してくる」
原田義文「え?」
原田義文「俺も行こうか?」
泉夏子「・・いや、大丈夫」

〇無機質な扉

〇病院の廊下
「・・・あの」
泉夏子「羽川さん」
羽川真司「・・・はい」
羽川真司「なんでしょう?」
泉夏子「あの・・」
泉夏子「・・彼、大丈夫なんでしょうか?」
羽川真司「・・・どういう意味ですか?」
泉夏子「厳しいって、仰ってたのに・・」
泉夏子「あまりにも元気過ぎるっていうか」
羽川真司「・・・元気じゃ、いけませんか?」
泉夏子「・・・い、いえ」
羽川真司「・・・」
ナース「ドクター」
ナース「時間ですよ」
羽川真司「あ、はい」
羽川真司「・・・では」
泉夏子「・・・はい」

〇フェンスに囲われた屋上
原田義文「・・・」
原田義文「いや、ホント」
原田義文「我ながら、事故にあったとは思えないな」
原田義文「ありがとう、羽川」
羽川真司「・・・うん」
羽川真司「無事で良かったよ」
原田義文「さすが『超神童、羽川くん』だな!」
原田義文「懐かしいな」
羽川真司「・・やめてよ」
羽川真司「僕、一人で手術した訳じゃないからさ」
原田義文「まあ、そうかも知れないけど」
原田義文「お前のお陰だよ」
羽川真司「いや、そんな事ないって」
羽川真司「原田君・・」
原田義文「なんだ?」
羽川真司「・・・」
羽川真司「現代社会に生きてる人間は」
羽川真司「望む、望まないに関わらず」
羽川真司「誰もが、機械化してるんだ」
原田義文「・・・は?」
原田義文「なんだそりゃ?」
原田義文「意味わかんねえよ」
原田義文「俺、お前みたいに頭良くないからさ」
羽川真司「・・・」

〇大きい研究施設
原田義文「じゃあ、また会おうぜ」
羽川真司「・・うん」
泉夏子「・・・有り難うございました」
羽川真司「・・はい」

〇黒

〇整頓された部屋(ハット、靴無し)
原田義文「いやぁ、奇跡だな」
原田義文「無事に帰ってこられるなんて」
原田義文「羽川のお陰だな」
原田義文「車は無くなったけどさ」
泉夏子「・・・」
泉夏子「ねえ?」
原田義文「ん?」
泉夏子「羽川さんって、かなり変わってるね」
原田義文「え?そうか?」
原田義文「いや、そうかもな」
原田義文「本当の天才って、あんな感じじゃないの」
原田義文「俺は馴れてるけどね」
泉夏子「・・・」
原田義文「アイツ」
原田義文「昔から、信じられないくらい」
原田義文「アタマ良かったんだぜ」
原田義文「テストはいつも全部100点で」
原田義文「そのまま、落ちる事なく」
原田義文「イギリスの名門大学を首席で卒業だもん」
原田義文「アイツは、俺達とは違う」
原田義文「スーパーヒューマンだよ」
泉夏子「・・・それ前も聞いたよ」
原田義文「ははっ、そうか」

〇フェンスに囲われた屋上
羽川真司「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」

〇整頓された部屋(ハット、靴無し)
原田義文「夏子?」
泉夏子「ん、なに?」
原田義文「俺、今回の件で決心したよ」
泉夏子「何を?」
原田義文「今の仕事辞めて、マトモな会社に就職して」
原田義文「お前と結婚する」
泉夏子「・・・え」
泉夏子「いやいや」
泉夏子「まだまだ先じゃない」
原田義文「いや、なるべく早く転職するよ」
泉夏子「・・・本当に?」
原田義文「ああ!」
原田義文「ん・・・」
原田義文「お・・羽川か」

〇フェンスに囲われた屋上
羽川真司「・・・もしもし?」
羽川真司「大切な話があるんだ」

〇整頓された部屋(ハット、靴無し)
原田義文「なんだよ?」
原田義文「え?」
原田義文「電話じゃダメなのか?」
原田義文「ああ・・わかった」
原田義文「じゃあ、明日な」
原田義文「・・・」
泉夏子「どうしたの?」
原田義文「なんか、 羽川が二人きりで話したいんだと」
泉夏子「・・・そう」
泉夏子「じゃあ、私、明日仕事だから帰るね」
原田義文「ああ・・」
原田義文「送って行くよ」
泉夏子「いや、大丈夫」
原田義文「なんで?」
泉夏子「・・ちょっと考えたい事があるの」
原田義文「そうか」
原田義文「じゃあ、気をつけてな」
泉夏子「うん」

〇空き地

〇狭い裏通り

〇フェンスに囲われた屋上
羽川真司「クッ・・」

〇黒背景

〇マンションの共用廊下
チンピラ「あの女、まだ金になりそうだな」
チンピラ「げっ!」
チンピラ「な、なんだぁ!」
チンピラ「グッ・・」

〇マンションの非常階段
チンピラ2「あのババア、ビビってたな!」
チンピラ2「ヒャッヒャッヒャ」
チンピラ2「うおっ!」
チンピラ2「な、なんだ、お前・・」
チンピラ2「ウグッ・・」

〇血しぶき
  僕はもう・・
  人間じゃなくなってる
  僕は・・・怪人だ
  僕を止められるのは・・
  彼だけだ・・

〇霧の中

〇空

〇フェンスに囲われた屋上
原田義文「よう」
原田義文「どうしたんだ?」
原田義文「そんなに汗かいて」
羽川真司「ハァ、ハァ、ハァ・・」
羽川真司「・・・」
原田義文「なんだよ?話って」
羽川真司「・・・」
羽川真司「ねえ、原田君・・」
原田義文「なんだ?」
羽川真司「・・・」
羽川真司「中学の時、悪い連中から」
羽川真司「僕を守ってくれた事、覚えてる?」
原田義文「え?」
原田義文「ああ・・」
原田義文「そんな事、あったなぁ」
原田義文「それで俺だけが」
原田義文「不良達にボコボコにされてな」
羽川真司「・・・そう」
羽川真司「・・・」
羽川真司「僕は奴らに殺意を抱いたよ!」
原田義文「はははっ」
羽川真司「そしてその時」
羽川真司「僕は自分の頭脳を駆使して」
羽川真司「連中に復讐したいって、 本気で思ったんだ!」
原田義文「ははっ」
原田義文「お互い、ガキだったなぁ」
原田義文「でもよ・・」
原田義文「お前は最初から」
原田義文「あんなアホ共とは、住む世界が違うだろ」
羽川真司「いや・・・」
羽川真司「僕はアイツらが」
羽川真司「視界に入るのも許せなかったんだ」
羽川真司「だから僕は」
羽川真司「あんな連中を、この世から一掃する為に」
羽川真司「超真剣に勉強し始めたんだよ」
羽川真司「世の中の為にもね」
原田義文「・・・」
原田義文「・・・え?」
原田義文「ちょ、ちょっと待てよ」
原田義文「・・・羽川」
原田義文「お前、さっきから何の話してんだ?」
羽川真司「・・・」
羽川真司「でも、やりすぎた・・」
羽川真司「もう手遅れだ」
羽川真司「僕は、もう手遅れなんだよ!」
原田義文「いや、話が見えないんだけど」
羽川真司「僕は」
羽川真司「自分が造り出したチカラに飲み込まれてる」
原田義文「・・・」
原田義文「さっぱり、わかんねえよ?」
羽川真司「僕は、もうすぐ僕じゃなくなるんだ」
原田義文「・・はぁ?」
羽川真司「・・・」
羽川真司「今、この街で 連続殺人事件が起きてるの知ってる?」
原田義文「・・・ああ」
原田義文「知ってるよ」
羽川真司「あれ全部・・」
羽川真司「僕がやったんだ」
原田義文「・・・え?」
原田義文「ははっ」
原田義文「そ、そんな訳ないだろ」
原田義文「お前、さっきから何言ってんだよ」
羽川真司「いや」
羽川真司「ホントなんだよ!」
羽川真司「そして原田君」
羽川真司「君も、 もう普通の人間じゃないんだ!」
原田義文「・・・お、おい!」
羽川真司「君は、暴走しそうな僕の元へ」
羽川真司「事故で運ばれてきた」
羽川真司「これは偶然じゃない!」
羽川真司「君は運ばれる時」
羽川真司「無意識に僕の名前を呼んでたんだよ」
原田義文「・・・」
原田義文「知らねえよ、そんな事」
羽川真司「原田君」
羽川真司「人間の意識っていうのは」
羽川真司「水面下で、全て繋がってるんだ」
羽川真司「僕の潜在意識の呼び掛けに」
羽川真司「君が応えてくれたんだよ」
羽川真司「君は、 僕を止める為にやってきたんだ!」
原田義文「・・・おい!」
原田義文「お前、いい加減にしろよ!」
羽川真司「・・・」
羽川真司「じゃあ、わかった・・」
羽川真司「見せるよ・・」
羽川真司「だから原田君」
羽川真司「僕を止めてくれ!」

〇黒
原田義文「・・・う、うわぁぁぁ!」
原田義文「お、おい!な、な、なんだよ!」

〇フェンスに囲われた屋上
羽川真司「ハァ、ハァ、ハァ・・・」
原田義文「お、おい!」
原田義文「な、な、な、なんだよ!」
原田義文「お前! 今のなんだよ!」
羽川真司「原田君!」
羽川真司「今見た通り、 僕はもう普通の人間じゃない」
羽川真司「全身を人造化したんだ!」
羽川真司「そして、僕はそれに飲み込まれてる」
原田義文「・・・そんな」
羽川真司「僕は・・・怪人だ」
羽川真司「善悪の判断も弱まって」
羽川真司「殺戮本能を抑えられなくなってる」
原田義文「・・・」
原田義文「どうすりゃいいんだよ!」
羽川真司「僕を破壊してくれ!」
原田義文「・・・そんな事、出来る訳ねえだろ!」
羽川真司「いや!」
羽川真司「君が止めないと」
羽川真司「僕は人を殺し続けるよ!」
原田義文「・・・お前!」
原田義文「いきなり過ぎるんだよ!」
原田義文「無理に決まってんだろ!」
羽川真司「・・・」
羽川真司「・・・そうか」
羽川真司「・・・じゃあ」
羽川真司「無理矢理にでも、僕を破壊させる!」
原田義文「・・・何をするつもりだ!」
羽川真司「・・・」
羽川真司「夏子さんの所へ・・」
原田義文「おい!」
原田義文「やめろ!」
原田義文「おい!待て!」

〇黒
原田義文「おい!羽川!」
原田義文「待て!この野郎!」
怪人2「・・・」
怪人2「・・・えっ」
怪人2「うわあぁ!」
怪人2「ええぇ!」
怪人2「なんだこりゃあぁ!」
怪人2「お、おい!羽川ぁ!」
怪人1「・・・」
怪人1「・・・これで、わかっただろう?」
怪人1「それが君の姿なんだ!」
怪人2「・・・な、な、何なんだよ、これ」
怪人1「君も人造人間化したんだよ・・」
怪人2「・・・そんな」
怪人2「お、お前、人の身体を勝手に・・」
怪人1「仕方なかったんだよ、原田君・・」
怪人1「こうしないと、君は死んでたんだ」
怪人2「・・・そんなぁ・・お前」
怪人1「原田君・・・」
怪人1「僕は・・・」
怪人1「完全に、このチカラに飲み込まれてる」
怪人1「でも、君は僕と違って」
怪人1「このチカラをコントロール出来るはずだ!」
怪人2「・・・いや、無理だよ!」
怪人1「いや、君なら出来る!」
怪人1「僕を破壊して、 そのチカラを正義の為に使ってくれ!」
羽川真司「これは君の運命なんだ!」
怪人2「・・・」
怪人2「いきなり、 正義の味方になんてなれねえよ!」
怪人1「いや・・」
怪人1「あの時、僕を助けてくれたみたいに」
怪人1「今度は弱い立場の人達を」
怪人1「助けてあげてくれ!」
怪人1「うっ・・」
怪人1「グッ・・」
怪人2「お、おい!どうした?」
怪人1「も、もうダメだ・・」
怪人1「僕は完全に怪人化する・・」
怪人2「・・・は、羽川!」
怪人1「ぼ、僕の意識が残ってる内に破壊してくれ!」
怪人2「いや、だから無理だって!」
怪人1「原田君!」
怪人1「これは正義の為なんだ!」
怪人1「夏子さんや、善良な人達を守る為に」
怪人1「僕を破壊してくれ!」
怪人2「くっ・・・」
怪人2「・・・な、何をすればいいんだ?」
怪人1「・・・集中して」
怪人1「僕にエネルギーをぶつけるんだ!」
怪人2「ど、どうやるんだよ?」
怪人1「イメージするんだ!」
怪人1「原田君!」
羽川真司「その時、絶対に正義の心を忘れないで!」
怪人1「じゃないと・・」
怪人1「僕みたいになってしまうからね」
怪人2「・・・正義の心」
怪人1「は、原田君、早く・・」
怪人2「わ、わかった・・」
怪人2「しゅ、集中だな・・」
怪人2「くそ・・なんで・・」
怪人1「は、早く!」
怪人2「・・・」
怪人2「・・・」
怪人1「グハッ!・・・」
怪人1「も、もっとだ!」
怪人1「グアアァァ!」
怪人1「・・も・・もう一度!」
怪人1「グアアァァァ!」
怪人2「お、おい!・・・」
怪人1「・・・は、原田君」
怪人1「・・・後は」
怪人1「・・・任せたよ」
怪人2「お、おい!羽川!」
怪人2「羽川あぁぁぁぁ!」

〇フェンスに囲われた屋上
原田義文「・・・羽川」
原田義文「・・・」
原田義文「くっ・・・」
原田義文「なんで・・・」
原田義文「・・・」
原田義文「・・・」

〇黒

〇フェンスに囲われた屋上

〇黒

〇部屋のベッド
  ごめん
  しばらく会えません
  事情は言えないけど
  俺を信じて
  待っていてくれませんか
泉夏子「・・・」

〇黒

〇黒

〇朝日

〇海辺
原田義文「くそ!」
原田義文「これから、どうすりゃいいんだよ」
原田義文「・・・」
原田義文「会いたいな・・」
原田義文「夏子・・」
原田義文「・・・」

〇空

〇海辺
原田義文「ん?」

〇部屋のベッド
  アナタを信じています
  心のままに行動してください
  無事を祈ってます
  愛を込めて

〇海辺
原田義文「・・・夏子!」
原田義文「・・・よし」

〇黒

〇渋谷のスクランブル交差点

〇渋谷のスクランブル交差点

〇入り組んだ路地裏
女性「ちょっ・・」
女性「ちょっと、やめて・・」
チンピラ「まだ、何にもしてねえよ」
女性「近づかないで!」
チンピラ2「その言い方はないんじゃないの?」
チンピラ「へへっ」
女性「・・・え?」
チンピラ「ゲッ!」
チンピラ2「・・はぁ?」
チンピラ「な、なんだ、お前・・」
チンピラ2「やべえ格好してんな!」
女性「・・・」
女性「・・あ、あの!」
女性「わ、私の事」
女性「助けてくれるんですか?」

〇黒
怪人2「・・・」
怪人2「はい」
怪人2「もちろん助けますよ!」
怪人2「それが、アイツの望んだ事だから」
怪人2「そして」
怪人2「これが俺の・・」
怪人2「運命だから!」

〇黒

〇黒
  SYRO
  
  劇終
  
  2022.

コメント

  • 登場人物が羽川と原田と夏子の三人に絞られているおかげで、それぞれの関係性や、羽川が怪人になるまでの苦悩や経緯、原田が自分の運命を受け入れるまでの葛藤などがじっくりと描かれていて読み応えありました。羽川の思いが原田の中に生きているラストシーンも印象的でした。

  • 古き友人が、はたまた自分の命を救ってくれた人に、こんな形で告白してきたら、受け入れるのは難しそうですね。
    でもその苦難を考えぬき、意志を継いでいるところは胸が熱くなりました!

  • 単なる怪人の戦いものでなく、人間の弱さだったり、復讐心、おろかさ、また優しさ、正義がとてもよく描かれている深いお話でした。正義もいきすぎると危険ってことがよくわかりました。

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