【番外編③】The Son(脚本)
〇白
本編はショッキングなシーンを含みます
(少しびっくりしそうな演出もあります)
展開的にもキツイ場面が多いので、
辛くなったらブラウザバックして下さい
コンテンツ警告姉貴「お姉さんとの約束だよ〜! 心の健康、超大事〜!!」
コンテンツ警告姉貴「見れないけど内容知りたいよって人は 作者にDMでも飛ばしてみてね〜!」
それじゃあ本編スタート!
〇白
「もし願いが叶うなら、君は何を望む?」
少女「世界の平和です」
「どうやって世界を平和にするの?」
少女「人類が同じ目線を抱いてないから 戦争も差別も欺瞞も搾取も無くならない」
少女「真の意味で、隣人を愛さない」
少女「だからこそ────」
少女「『世界』を満たすしかありません」
██████で
〇城門沿い
1430年12月下旬
(物語本編の435年前)
フランス ルーアン市
(当時 イングランド統治下、行政首都)
少女「⋯はぁ」
少女(緊張するなぁ)
〇綺麗な教会
『派遣要請』ですか?
〇英国風の部屋
修道院長「『大聖堂』からの通達です」
この度、
審問にかける『異端者』の世話を
是非あなたにして欲しい、と
修道院長「『大司教代理』様が我が修道院を 直々に選んでくださるなんて〜〜ッ」
修道院長「これはチャンス! 修道院の名を売るチャンスですよっ!!」
〇城門の下
いいですか!?
お前も12歳の身で選ばれるなんて
この上ない『名誉』なんですよ!?
死 ぬ 気 で 完 遂 し て き な さ い
少女(⋯なんで私が選ばれたんだろ)
〇教会
ルーアン城兵士「ん、そこの修道女 『大聖堂』に何か用事か?」
少女「は、はい!『大司教代理様』より 『異端』の世話を仰せつかっております!」
少女「こちらに頂いた『お触れ』もあります! ど、どうぞ!」
ルーアン城兵士「うむ、間違いないようだ」
ルーアン城兵士「これから当人と俺たちで 馬を使って『ルーアン城』へ護送する」
ルーアン城兵士「じゃ、行くぞ」
〇大聖堂
ルーアン城兵士「失礼、世話人が到着した」
ルーアン城兵士「これからは我々が引き継ぎする」
シスター「承知しました」
シスター「ほら、『異端』 彼らに同行しなさい」
「⋯”あらあら”」
「とても可愛い『御使い』ですね」
これが、私の────
ジャンヌ「私、『ジャンヌ・ダルク』と申します」
ジャンヌ「よろしくお願いしますね」
『聖女』との出会いだった
〇西洋の城
〇城壁
ルーアン城内北東『ボーヴレール塔』
〇牢獄
少女「⋯それでは牢内での 生活の説明をさせていただきます」
少女「『着替え』『清拭』『食事の配膳』等 全般的な生活は私がサポートします」
少女「ただし、牢内の秩序維持の為に────」
少女「”いついかなる時も お城の兵士様の監視がつきます”」
ルーアン城兵士「貴様に自由は無いぞ、『異端』」
ジャンヌ「あの〜、申し訳ございません」
少女「どうなさいましたか?」
ジャンヌ「『お手洗い』お借りしたいのですが?」
どうぞこちらに
少女「拭くための『布』もございますし、 必要であれば『月経布』も用意します」
ジャンヌ「そ、それはちょっと────」
じ〜〜〜〜〜〜〜っ
ジャンヌ「・・・・・・・・・」
〇牢獄
少女「それでは、私は処理してきますね」
ジャンヌ「⋯つらい」
ルーアン城兵士「ふん、この程度で弱音を吐くか」
ルーアン城兵士「我らに楯突く『オルレアンの乙女』も 鎧を剥けば『ただの女』⋯」
ルーアン城兵士「音を上げるのも時間の問題だな?」
ジャンヌ「──────、」
ルーアン城兵士「⋯なんだその生意気な表情は?」
「失礼します」
少女「少し早いですが、夕飯の時間です」
パンと野菜のスープです
兵士様もどうぞ
ルーアン城兵士「あ、あぁ、もうそんな時間か⋯」
その時でした
〇ステンドグラス
ジャンヌ「Amen(アーメン)」
〇牢獄
「もぐもぐもぐ⋯」
ジャンヌ「おいしいです」
ジャンヌ「場所がどうあろうと、 囲んでいただく食事は良きものですね」
ルーアン城兵士「⋯た、確かにそうかもな」
『聖女』ジャンヌ・ダルク
その十字を切る姿は正真正銘、
『教えに殉じる者』の所作であり──
〇花模様3
『異端』としては到底思えない
敬虔な佇まいに────
──私は、魅せられたのでした
〇城壁
年が明けて、1431年1月上旬
〇兵舎
城内看守室
ルーアン城兵士「最近よぉ〜 デオンの野郎がよぉ〜 聖女さんに迷惑かけるなってよぉ〜」
ルーアン城兵士「『異端』相手に絆されてやんのアイツ!」
ルーアン城兵士「堅物だったアイツがだぜぇ〜??笑」
ルーアン城兵士「ゲッ!」
ルーアン城兵士「ほ〜ら決着だ 約束の20ドニエはキッチリいただくぞ?」
ルーアン城兵士「オレの日当⋯」
ルーアン城兵士「おっ、君!ちょうどいい所にいたね!」
少女「えっ?なんですか?」
ルーアン城兵士「今年は雪も多いし、 獄中の世話はかなり冷え込むだろう?」
ルーアン城兵士「『防寒でも何でも、好きに使ってくれ』」
少女「あ、ありがとうございます!」
〇牢獄
ジャンヌ「⋯」
デオン「⋯もうそろそろ 『異端審問』が執り行われる時期だな」
デオン「恐らく今日か明日か、 『審問官』の到着次第、という所か」
「⋯デオンさん」
ジャンヌ「私の『一生のお願い』、 聞いてくださいませんか?」
デオン「ん、『一生のお願い』?」
ジャンヌ「ええ、とても大事な『お願い』なんです」
少女「ジジジジジャンヌ様!? いいいきなり何を仰ってるのですか!?!?」
デオン「貴様っ、いつ戻ってきた!?」
少女「私はただ皆さんに『毛布』を⋯」
「エリアンヌちゃん、 看守室に多分『サイコロ』があると思うの」
ジャンヌ「私の『秘密』教えてますので、 取ってきていただけませんか?」
〇幻想
ジャンヌ「────デオンさん」
ジャンヌ「私は16歳の頃から3年間、 『戦場』をずっとくぐり抜けてきました」
デオン「ふん、当然知っている」
ジャンヌ「ですが、私は非力で 今まで一人も人を殺めたことはありません」
ジャンヌ「私の役割は『兵を正確に導くこと』 ──────つまりは、」
ジャンヌ「『これから起こる未来の出来事』を 見通す事ができるんです」
エリアンヌ「⋯『占い』、ですか?」
ジャンヌ「ちょっと違いますが⋯見れば分かりますよ」
ジャンヌ「デオンさん そのサイコロを投げてください」
ジャンヌ「出る目は『3』になります」
デオン「⋯マジかぁ?」
〇パールグレー
ジャンヌ「どんどんいきましょうか 『4』『1』『2』『3』────」
〇幻想
ジャンヌ「──────次は『5』です」
エリアンヌ「ジャンヌ様!すごいです!! 30回連続で当ててます!!」
デオン「わかった!もうわかった! お前は『未来』が分かるんだな?!」
ジャンヌ「これを教えたのは私なりの『誠意』です」
ジャンヌ「その上で『一生のお願い』、」
聞いていただけませんか?
〇牢獄
ジャンヌ「ふぅ!私と言ったら やっぱり『コレ』ですよね!!」
デオン「⋯」
女は男の物を身に着けてはならない
また男も女の服を着てはならない
デオン「これを行う者はすべて、 あなたの神、主に忌み嫌われる者である」
エリアンヌ「『申命記』22章 第5節⋯」
デオン「女が男装する事は 『主の言葉』を否定する行為だぞ?」
デオン「この姿で 『異端審問』に臨むつもりなのか?」
ジャンヌ「────ええ、そういう『運命』ですから」
〇赤(ディープ)
私が12歳の頃、
ここに投獄される『この未来』は
既に『神様』から聴かされていました
──────────!?
少女「────え、えぇ?」
ジャンヌ「私は『近い未来』しか分かりませんが、 『神様』なら遠い運命も視えるのです」
少女「でも、でもなんでそんな! え、笑顔でいられるんですか?」
少女「死んじゃうかも、しれない、のに?」
〇黒背景
勿論、最初は困惑しましたよ?
でも『神様』が教えてくれたんです
〇白
この世界に存在するもの全ては
『運命』というものを背負っている
岩が風に削られて砂へ転じるように
生命が終焉を迎えて土へ還っていくように
ジャンヌ「私とあなた達がここで逢えたのも 鎧を着て『異端審問』を受けるのも」
ジャンヌ「すべて私が天から賜った『運命』であり、 乗り越えるべき『試練』なんです」
〇花模様3
ジャンヌ「どんなに辛くても、 困難な出来事が待ち受けていようと───」
ジャンヌ「神様が私たちにお与えになるのは、 『乗り越えられる試練』のみ」
私は乗り越える為に戦い続けます
鎧は、その意思表示なのです
〇牢獄
『審問官』「こんにちは、『オルレアンの乙女』」
『審問官』「公平な審問の為、 私に話を聞かせてくれるかな?」
〇牢獄
ジャンヌ「そろそろ『審問官』が 到着するみたいですね」
デオン「────本当に大丈夫なのか?」
ジャンヌ「大丈夫です」
ジャンヌ「『戦え』って励ましてくれたのは、 他でもない『神様の言葉』なんですから」
「こんにちは、『聖女』様」
ヘルメス「此度の『審問官』を 努めさせていただきます」
ヘルメス「『ヘルメス』と申します」
ジャンヌ「──────────────え?」
ジャンヌ「そんなっ!ありえない!」
ジャンヌ「お前はコンピエーニュの市街戦で、 『アイワス様』に葬られたハズだろう?!」
ヘルメス「『錬金術師』を舐められては困りますね」
ヘルメス「僕は『僕自身』を 創造する事だって出来るんですよ?」
デオン「貴様、何の話をしている!? 他の兵士はどうした!?」
ヘルメス「あー、なんか拗れてきちゃいましたね」
じゃあ、はい
この『眼』を見てください
ジャンヌ「──────だめ!!!!!!」
〇噴水広場
エリアンヌ「───────────あれ? ここは」
1431年5月30日 AM9:00
ルーアン市 市場広場
「やぁ、また会いましたね♪」
エリアンヌ「『審問官』さん⋯?」
ヘルメス「『ヘルメス』でいいですよ♪」
◇
『審問官』としての記憶の残滓は消去
昔馴染みの『錬金術師』として
エピソード記憶を再定義
◇
エリアンヌ「──、────、──────、」
エリアンヌ「ヘルメス兄さん、研究所から出てきたの?」
ヘルメス「そうそう、 今日は面白いものが見れるんだ♪」
〇噴水広場
『魔女』だ!『魔女』が来たぞぉ!!
神の教えに背いた『異端』!!
イングランドに楯突く『悪魔』!!
ヘルメス「散々な言われようですね、非道いなぁ」
エリアンヌ「ジャンヌ様!? なんであそこに!?」
ジャンヌ「⋯⋯⋯」
〇黒背景
【火刑】
受刑者を火であぶる事で
絶命に至らせる死刑の一つ
『火あぶりの刑』とも
火傷
高温による筋組織の強制的凝固
煙による一酸化炭素中毒
等によるショック症状・窒息が
主な死亡要因とされる
〇噴水広場
一部キリスト教圏の死生観には
”人類は『最後の審判』で復活する”
という考えがある
人類は救世主の再臨と共に復活し、
神様の『審判』を受ける事になる
(信仰者は天国へ 罪人は地獄へ)
肉体を焼却する『火刑』は
復活する肉体(権利)そのものを
棄却する意味合いが強い
(土葬が主流なのもこの為である)
故に『火刑』は、
数多の『宗教的異端者』を
排除する目的の──────
〇噴水広場
『見せしめ』なのである
う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
あ゛つ゛い゛あ゛つ゛い゛い゛い゛
〇噴水広場
「いいぞ〜!頑張れ頑張れ〜!! 『神の声』を聴いたんだろ〜!?ぎゃはは!」
「うわ、気持ち悪い臭い⋯ 『魔女』の穢らわしさが服に染み付きそう」
なんで、みんな笑ってられるの?
だって、ジャンヌ様が、焼かれてるのに
〇大聖堂
どんな人よりも気品があって
〇牢獄
誰よりも隣人を愛していて
〇教会の中
手本になるような敬虔さを抱いていて
〇華やかな広場
薔薇のような────ような、ような、
ような?薔薇?バラバラバラ
〇赤いバラ
燃え上がる炎も吹き出す血も
抉れ開かれる火傷も
苦痛も歓喜も怒号も何もかもが
薔薇の如き『赤』に染められた
煉獄のような空間であった
聖なる乙女の身が朽ち果て
ボルテージが高まる最中、
火刑台に『異変』が起きていた
〇噴水広場
「あ〜あ〜、もう鎮火したのかよ」
「ん?! おい、なんだあれ!? 焼け跡の赤いところ!」
「心臓!?まだ動いてるわよ!?」
ヘルメス(───何故『心臓』だけ焼け落ちない?)
ヘルメス(異能を宿す『賢者の石』が 『心臓』を護っているというのか?)
ヘルメス「⋯ん?」
あの子
ジャンヌの心臓を掴んで何をする気だ?
エリアンヌ「ジャンヌ様」
エリアンヌ「ジャンヌ様」
〇黒背景
私は傍で仕えます
私は傍で仕えます
〇赤いバラ
ヘルメス(げーーー そういう取り込み方もアリなのね)
ヘルメス(・・・・・・・・・)
ヘルメス(─────興味深いなコイツ?)
ヘルメス(こいつが取り込んだ『賢者の石』、 一体 どんな『異能』に成り代わる?)
〇噴水広場
「お嬢さん、お嬢さん」
ヘルメス「お労しい事に、 あなたの『かみさま』は天へ召されました」
エリアンヌ「『かみさま』? ジャンヌ様が『かみさま』?」
ヘルメス「ええ、そうです」
ヘルメス「『火あぶりの試練』に耐えきった彼女は 神聖な存在として昇華されるでしょう」
ヘルメス「そして、『かみさま』と ひとつになったあなたこそ───」
『聖女』に相応しい存在だ
〇白
ヘルメス「もし願いが叶うなら、君は何を望む?」
エリアンヌ「世界の平和です」
ヘルメス「どうやって世界を平和にするの?」
エリアンヌ「人類が同じ目線を抱いてないから 戦争も差別も欺瞞も搾取も無くならない」
エリアンヌ「真の意味で、隣人を愛さない」
エリアンヌ「だからこそ────」
エリアンヌ「『世界』を満たすしかありません」
『フラタニティ(友愛)』で
〇殺風景な部屋
〇教会の中
1865年(現在)、世界のどこか
『聖女』「おはようございます」
『聖女』「おはよう、『つわり』は大丈夫ですか?」
『聖女』「しっかり栄養は取れてますか?」
『聖女』「はい、順調です」
『聖女』「『お産』が命懸けの『試練』なのは いつの時代になっても同じです」
『聖女』「みんなでいっしょに 乗り越えて行きましょう」
これは、私が私に課した『試練』
〇空
全人類が『かみさま』を信じる
そんな『平和な世界』を作るために
世界を私達の『愛』で
包みこめるように────
さぁ、まずはみんなで
『聖書』の朗読から始めましょうか
大好物のキーワードばっかり❤️ 夢中で読んじゃいました😆
ジャンヌ・ダルクとその周りの解釈って結構作家性が出ると思っていて、いや〜そう来るか! って感じです。
次回も楽しみです。
心の準備をしてから読みに来ましたぁ!!!😭✨
うわぁー!!!すっごいですね!!!これは!!!
やはり毎回映画のような濃度のストーリーで凄いです…
解説もありがとうございます…
時間経過はわかったのですが、なるほど…その間操られていたということを想像すると、ぐぉー!!ってなりました😭なんとむごいことでしょう…
そして聖女様がまさか自己繁殖可能とは!!!😳また次回も楽しみにしてま文字数
情報処理能力は割とポンコツな方ですが、時間経過はわかりましたよ!
しかし火炙りを娯楽にできる神経はわからないですね……😨
ジャンヌの能力に、増殖する聖女。気になる要素がいっぱいですが、どう繋がるのかな。