〇並木道
　　３年前に夫が他界した
　　そんな私が恋をした──
　　私の一方的な片思い？
　　否
　　届かない恋？
　　否
　　正直どうすればいいか悩んでいる
　　21歳も歳が離れているから
白下　文代「ちょうどいい頃ね」

〇黒
白下　文代（大丈夫、いつも通りに振舞えばいいの・・・ いつも通り──）

〇カフェのレジ
MIYABI「ホストカフェ雅へようこそ！ 店長のミヤビでぇっす！」
白下　文代「・・・」
MIYABI「おっ、文代！俺に会いにきたの？ 席へご案内しまぁっすぅ！」
白下　文代「・・・」
MIYABI「えっと席に──」
綾瀬　翔「文代さん、いらっしゃい！」
白下　文代「あっ、綾瀬君！」
綾瀬　翔「あちらの席へどうぞ、ご案内します！」
白下　文代「う、うんっ♡」
MIYABI「・・・泣けるぜ」
綾瀬　翔「どうぞ！」
白下　文代「いい香りね」

〇カフェのレジ
白下　文代「綾瀬君、夜一緒にご飯食べに行かない？」
綾瀬　翔「夜は予定があるので、すいません」
白下　文代「そ、そうなの」
白下　文代「なら仕方ない、今日は帰るわ。お勘定を」
綾瀬　翔「はいっ！」

〇カフェのレジ
綾瀬　翔「では、お会計680──」
MIYABI「どけぇ！」
MIYABI「お会計は680万円でぅぇす！」
MIYABI「冷たい目がたまらないぜ文代！」
MIYABI「さぁ、レシートを受けとっておくれ 星の様に輝くお姫様！」
綾瀬　翔「雅さん！」
白下　文代「またね♡綾瀬君！」
綾瀬　翔「あ、ありがとうございました！」

〇店の入口
白下　文代（綾瀬君、何の予定があるのかしら？）
白下　文代（もしかして彼女？）

〇広い厨房
MIYABI「文代って俺の事好きだろ？」
綾瀬　翔「えっ？」
MIYABI「アイツ絶対、俺に「ほ」の字じゃん？」
綾瀬　翔「嫌いだと思いますが・・・」
MIYABI「嫌いな所が好きって事さ！」
MIYABI「翔はまだ子供だから解らないか」
MIYABI「閉店作業よろしくな！」
綾瀬　翔「はい」

〇田舎町の駅舎
MIYABI（文代は必ずこの駅を利用する）
MIYABI（その時は──）
MIYABI「コイツで落とす！」
MIYABI「送るぜ、文代！」
MIYABI「なんてな！」

〇店の入口
白下　文代（綾瀬君！）
真緒「お待たせ〜翔」
綾瀬　翔「行こう」
白下　文代「嘘・・・」

〇郊外の道路
真緒「翔ぉ〜寒ぃ〜」
綾瀬　翔「近すぎ！」
白下　文代（離れなさいよ）

〇ゆるやかな坂道
真緒「それでさぁ〜」
白下　文代（チッ！）

〇商店街
真緒「超ウケるよ〜」
白下　文代（全然ウケないわよ）

〇田舎町の駅舎
MIYABI（温かい飲み物でも買うか）
MIYABI「しまった、小銭が！」
MIYABI「拾わないと」

〇田舎町の駅舎
白下　文代「見失ったかしら」
「翔ぉ〜」
綾瀬　翔「もう一人で帰れるだろ？」
真緒「え〜もっと一緒にいたい〜」
綾瀬　翔「明日、はやいんだよ」
真緒「翔ぉ〜こっち来て！」
綾瀬　翔「んっ？」
白下　文代「──最低」
MIYABI「えっ、文代！」
MIYABI「自販機の下に小銭を落として──」
綾瀬　翔「文代さん？」
綾瀬　翔「何故泣いてるんです？」
白下　文代「・・・可愛い彼女さんね」
綾瀬　翔「弟です！」
白下　文代「へっ？」
真緒「弟の真緒です！」
白下　文代「私ったらバカね。勘違いを──」
綾瀬　翔「文代さん！」
綾瀬　翔「僕の想いを聞いて下さい」
綾瀬　翔「僕は文代さんを泣かせたくありません！ 僕は文代さんが──」
白下　文代「えっ！えっ？」
綾瀬　翔「だから、文代さんを──」
白下　文代「う、上手く聞き取れないわ」
綾瀬　翔「文代さんを──」
綾瀬　翔「あい──」
MIYABI「愛ぃしぃてるぜ！文代♡」

〇カフェのレジ
MIYABI「・・・」
綾瀬　翔「・・・」
MIYABI「嫌われたかな俺」
綾瀬　翔「元から嫌われて──」
白下　文代「綾瀬君、コーヒーおかわり」
綾瀬　翔「文代さん！」
白下　文代「どうしたの？」
綾瀬　翔「えっと、その──」
綾瀬　翔「コーヒーって早く淹れると味が薄く、 遅く淹れればクセが出ます──」
綾瀬　翔「星も遠くからは輝いて、近すぎると輝きません」
綾瀬　翔「なので──」
白下　文代「程よい距離とバランスが大事って事よね？」
白下　文代「焦らず一緒に探して行きましょう」
綾瀬　翔「はいっ！」
MIYABI「文代！俺の一番星に──」