星屑の財宝

月暈シボ

エピソード5(脚本)

星屑の財宝

月暈シボ

今すぐ読む

星屑の財宝
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇コックピット
謎の美女「そんなに時間が経っていたなんて・・・」
  敵を撃退したアルディンは女性とブリッジに戻ると、お互いが持つ情報を擦り合わせていた。
  もっとも、その前に彼女には下着のような姿から帝国軍の標準士官服に着替えてもらっている。
  既に他に敵が潜んでいないか安全確認も終了していたが、
  無防備なままでいられなかったし、なによりアルディンには刺激が強すぎた。
アルディン「・・・そのようです」
  アルディンはどう反応するべきか一呼吸入れて考えながら、女性の言葉に答えていた。
  何しろ彼女の正体は三百年前に恒星ペラルゴ-18圏を巡る戦役で行方不明となっていた、
  当時の皇太子ラナシス・イシェカ・グムリースその人であったからだ。
  彼女が現代の帝国においてどのような立場になるのかは定かではないが、皇族の一人であることは間違いない。
  アルディンからすれば雲の上の人物にも等しかった。
謎の美女「ふふふ、さっきみたいに普通の調子で対応してちょうだい!」
謎の美女「三百年も経ってしまえばもう帝室への復帰は難しいと思うし・・・また命を狙われたくはないわ!」
謎の美女「今の私はただのラナシスだわ」
アルディン「はい・・・では、それなりの言葉でお答え・・・」
アルディン「答えさせてもらうよ」
  本人が望んでいるので、アルディンはそれに合わせて返答する。
  既にラナシスからの説明で、彼女とこの戦艦アドラーに起こった詳しい経緯は解明されていた。
  かつて惑星ペラルゴ-18-4でバカンス中だったラナシスは、突如起った戦役に巻き込まれる。
  何とか帝国艦隊に合流した彼女は戦艦アドラーによって帝都に逃れようとした。
  だが、戦役そのものが次の帝位を持つ彼女を亡き者にする壮大な計画の一部であったようで、
  戦艦アドラーにも刺客が送り込まれていたのだった。
  この刺客、先程の戦闘で倒した高級ドロイドによって敵側に位置情報を漏らされた戦艦は、敵艦隊に補足され窮地に陥る。
  当時の艦長は敵艦との戦闘にも対応しながら、ラナシスを狙う刺客を閉じ込めるために艦後部区画をまるごと閉鎖する。
  そして、ラナシスを艦内の緊急脱出艇を使って冷凍睡眠状態にさせると、
  外部端末として彼女の意識の一部を転移させた管理用のドロイドを残して、自分達が囮となるべく退避したのだ。
  一種の賭けだが、彼女は救難が来るまで艦で休眠して待機することに承知した。
  もっとも、三百年間放置されるとは予想外だったに違いない。
アルディン「これからどうしま・・・する?」
ラナシス「・・・さっきも言ったけど・・・もう、帝室に復帰するつもりはないわ」
ラナシス「三百年前の皇太子が突然現れても面倒なことになるのは目に見えているからね」
ラナシス「行く当てはないけど・・・アルディン!」
ラナシス「あなた、さっき私に、一緒に仕事をしようと誘ってくれたわよね?!」
アルディン「あれは・・・」
アルディン「いや・・・これからは、お姫様みたいな扱いは出来ないぜ!」
ラナシス「ふふふ、むしろ願ってもないことだわ」
ラナシス「私は前から自由に生きたいと思っていたのよ!」
ラナシス「それに、暗殺されかけたり、ずっと眠り続けたりするよりは遥かにマシだわ!」
ラナシス「よろしくね!」
  ラナシスは笑みを浮かべながら、右手を差し出す。
アルディン「・・・では、アルディン漂流物回収会社にようこそ!」
アルディン「まずはこの仕事の詳しい説明から始めるよう!」
  アルディンは満面の笑みでラナシスと握手を交わす。
  彼女の手はとても柔らかく、自分が宇宙で孤独ではないと感じられる確かな温もりがあった。

成分キーワード

ページTOPへ