Ⅱ-31.夜更けの合流(脚本)
〇寂れた村
根谷 忠司「これは・・・」
騎士「酷い光景ですね・・・」
魔法使い「生きてる人間はいないようだわ・・・ なんてむごいことを・・・」
元魔王「・・・」
元魔王(・・・ あいつの魔力を感じる・・・・)
〇古い本
〇寂れた村
元魔王(前世で俺も同じことをしていたことを考えると・・・ 人のことは言えないが・・・)
元魔王(・・・ 俺はきっと・・・ 地球で出会った聖女や勇者の周りの人間たちのこと・・・)
元魔王(衛や蒼のこと・・・ 気に入ってるんだろうな・・・)
元魔王(だから・・・ それを脅かそうとする元仲間を・・・ 許せそうにない・・・)
元魔王(俺って本当・・・ 自分勝手で薄情で・・・ 滑稽だよな・・・)
元魔王(元は・・・ 俺が魔王としてこの世界の人間を滅ぼそうとしていたのに・・・)
元魔王(今はそれを・・・ なんとしても食い止めたいと思ってる・・・)
元魔王(だけどそうすると──)
田所 蒼(アオイ)「──オ!!! マオ~!!!! 聞いてるか~?!?!?」
元魔王「うおっ!? びっくりした!!」
田所 蒼(アオイ)「いや!ごめん!! ぼーっとしてるみたいで・・・ 名前呼んでも反応ないからさ???」
田所 蒼(アオイ)「耳元で囁いちゃった!!!」
元魔王「そ、そうか・・・・・・」
田所 衛(マモル)「とりあえず、村の外に出ようぜ??? 俺・・・ちょっと・・・」
よくよく蒼と衛を見ると・・・
顔色が悪かった。
どんなに強くなるための訓練していても・・・
以前の地球でゾンビを見慣れていたとしても・・・
人の亡骸が散乱している現状は・・・
あまり良いものではなかった。
騎士「ネヤ様!! 顔色が優れないようですね・・・・・・」
根谷 忠司「ひ、人が死ぬとこなんて・・・・・ 見たことなくて・・・」
根谷 忠司「それに・・・ こんな・・・・」
騎士「・・・ 元は平和な世界の方なのです!」
騎士「むしろ・・・ 我々の配慮が足りておりませんでした」
騎士「もうしばらくすると、この村に騎士団が駆けつけてくれるでしょう・・・ それまでは、村の外で休みましょうか!」
根谷 忠司「は、はい!!! そうしたいです!!」
騎士「そなたたちも、それでよいですか??」
田所 蒼(アオイ)「はい・・・・・・ 問題ないっす!!!」
田所 衛(マモル)「・・・だな・・・」
騎士(このお二人も・・・ あまり人の死を体験することは少なかったようですね・・・)
騎士「では・・・ 村の外に行きましょう!!」
思いのほか早く辿り着いた騎士団にこの村のことを任せた蒼たち一行は・・・
騎士団の用意してくれた野宿用テントで一泊することになるのだった。
〇寂れた村
夜も更けた頃・・・
ネヤたち勇者一行は深い眠りについていた時の出来事だった。
吉沢 奏楽(ソラ)「ここが・・・ 魔族に襲われた村ね・・・」
吉沢 拓磨(タクマ)「さすがに騎士団が対処してくれているようだな・・・」
騎士「・・・ こんな時間になんのようですか??」
吉沢 奏楽(ソラ)(うっわ・・・ 髪の色が蛍光色!!!! 目が痛い!!!)
吉沢 拓磨(タクマ)「・・・」
吉沢 拓磨(タクマ)「冒険者ギルドより、魔王討伐を依頼されたためこの村までやってきました!!」
騎士「ふむ!! さようでしたか!!」
騎士「とはいえ・・・ さすがに責任者の者もこの時間のためお休みになられています・・・」
騎士「そのため、一晩ここでお休みになられて・・・ 明日の朝挨拶を──」
吉沢 奏楽(ソラ)「いえ・・・! 私たちは、私たちで先に進みます!」
騎士「え???」
吉沢 奏楽(ソラ)「そのようにお伝えください!!」
騎士「わ、わかりました!!! では・・・ 冒険者パーティ名をお伺いしても??」
吉沢 奏楽(ソラ)「・・・」
吉沢 奏楽(ソラ)「私たちの冒険者パーティ名は・・・」
吉沢 奏楽(ソラ)「・・・・・ ──よ。 です」
騎士「え、えーと?? 申し訳ございません。 小さくて聞き取れなかったので、もう一度お願いいたします・・・!!!」
吉沢 奏楽(ソラ)「・・・」
吉沢 奏楽(ソラ)「『漆黒の翼~闇夜へ羽ばたけ我が同胞たちよ~』 です!!」
吉沢 拓磨(タクマ)(うわぁ・・・ ネタでつけたパーティ名・・・ 実際フルで言うと恥ずかしいな・・・)
高野 裕翔(ヒロト)(いつ聞いても厨二病感が半端ないけど・・・ それを奏楽ちゃんが言うと・・・ 可愛いな・・・)
高野 蓮(レン)(拓馬兄ちゃんとヒロ兄と悪ノリしてつけた名前だけど・・・ 師匠・・・ よくその名前のパーティ名承諾したよな~)
高野 杏奈(アンナ)「長くてよくわかんな~い!!」
妖精「前から思ってたけど・・・ パーティ名長すぎない?? 普通覚えやすい名前つけるよね??」
妖精「覚えにくくて逆に癖になる!!! みたいな???」
妖精「そんなわけ・・・」
妖精「あるか~!!!!!」
騎士「えっと・・・?! 漆黒? 闇夜?? え??・・・え??」
妖精「あ、やっぱり騎士さん大混乱してるよー!!!」
吉沢 奏楽(ソラ)「あ、おそらく黒闇といえばわかると──」
騎士「あ!!!! 最近噂の『黒闇』さんですか?!?!?」
騎士「お噂はかねがね!!! 私共騎士団でも有名なのです!!」
吉沢 奏楽(ソラ)「・・・えぇ・・・・ 有名・・・?」
とても恥ずかしい思いをして冒険者パーティ名を口にした奏楽。
だが、長いわりに認知してもらえておらず、どうしようかと考えながら、よく周りが使っていた省略名を伝えると・・・
思いのほか認知されていたことに驚いた。
とりあえず、魔王討伐の旅を再開させようとした時だった。
「あれ??? 姐さん??」
吉沢 奏楽(ソラ)「ん??」
田所 蒼(アオイ)「姐さん!? それに・・・ 兄貴~~~!!!」
高野 蓮(レン)「うぉ!?!? え?!?!? 蒼たちもきてたの??」
田所 蒼(アオイ)「そうなんっすよ~!! でも、そのおかげで兄ちゃんの中にいた化け物もいなくなったっす!!」
高野 蓮(レン)「・・・へ、へぇ・・・ そうなんだね~」
田所 蒼(アオイ)「そうっす!! でも、うれしいっす!! こんなとこで会えるなんて・・・!!」
田所 衛(マモル)「・・・ もしかして・・・ みんな魔王討伐にいくのか???」
吉沢 奏楽(ソラ)「えぇ!! そうよ!!」
田所 衛(マモル)「・・・ そうか・・・」
吉沢 奏楽(ソラ)「どうしたの??」
田所 衛(マモル)「・・・ マオのやろ~が・・・いなくなったんだ!」
田所 蒼(アオイ)「そ、そうなんす!!!!! マオがいないから探していたんっす!!」
吉沢 奏楽(ソラ)「・・・ そう・・・ なら、マオ君のためにも、急いで魔王城に行く必要があるわね・・・」
田所 蒼(アオイ)「・・・ マオ・・・魔王城にいるのか?? なんでわかるんだ??」
吉沢 奏楽(ソラ)「・・・ 私なら、そうするからよ・・・」
吉沢 奏楽(ソラ)「私たちは先に進むけど・・・ 二人はどうする??」
「行くに決まってる!!!」
吉沢 奏楽(ソラ)「では騎士の方・・・ この二人も一緒に先に向かったと伝えておいてください!」
騎士「ひぃぇ? あ、はい!!!!! わかりました!!」
騎士(あ、あれ?? この二人勇者パーティに加わったと言われていた者たちだよな?? 許可だして・・・よかったのか?)
吉沢 奏楽(ソラ)「じゃ、お先に失礼しますね!」
騎士「は、!はい!! ご武運をお祈りいたします!!」
騎士(ま、いっか!!)
こうして・・・・
蒼と衛を加えて魔王討伐へと向かうのだった。
〇テントの中
勇者一行をおいて────
〇闇の要塞
元魔王「・・・」
元魔王「俺がけじめをつけないとな・・・・」
元魔王、もといマオは・・・
一人けじめをつけるために・・・
魔王城へとたどり着くのだった。