魔法戦士レッドローズ

Safaia

魔法戦士レッドローズ、参上! 後編(脚本)

魔法戦士レッドローズ

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〇繁華な通り
不良2「大丈夫ですか兄貴? しっかりしてください」
不良怪人「なんだお前。お前も俺を見下すのか?」
不良2「何言ってんですか!? 俺ですよ俺、坂田です」
坂田「唯一の舎弟の名前忘れちゃったんですか?」
不良怪人「五月蝿い! 俺をそんな目で見る奴はこうだあぁぁ!」
  怪人は坂田に向けて左腕を伸ばし、その掌から火球を発射した。
坂田「ひっ!」
レッドローズ「危ない!」
  レッドローズは坂田の体にタックルをかけて火球から彼を退く。
  次の瞬間、坂田の居た場所からは強烈な爆発音が鳴り響いた。
チーゴ「ひぇぇぇ・・・ナパームかよ?」
レッドローズ「君、大丈夫?」
坂田「え、えぇ、なんとか」
レッドローズ「よかった・・・と言いたいとこだけど・・・」
レッドローズ「君、どうしてあの場所に居たのよ? それに怪人と会話するなんてどうかしてるわ!!」
坂田「それはごもっともです。でも、どうしてもほっとけなくて・・・」
レッドローズ「え?」
坂田「俺、こう言っちゃなんですけど高校生デビュー失敗してるんですよね」
坂田「元々顔も頭も出来が悪くて、親からも周りからもよくない目で見られて」
坂田「高校に入ったら何か変わるかな? と思ってたらそんなことはなく・・・」
坂田「そんな時、兄貴が声をかけてくれたんすよ」
坂田「『居場所が無いのか? なら、俺と一緒に来い』と・・・」
レッドローズ「それでずっとあの人の隣に居るの?」
坂田「はい」
坂田「まぁ兄貴からすりゃ自分を魅せるステータスにしかならないでしょうけどね」
レッドローズ「そんな事・・・ないと思う」
坂田「慰めは止めてくだせぇ。 余計傷つくだけなんで」
坂田「でも良いんす、兄貴が必要としてくれるならそれで」
レッドローズ「え?」
坂田「兄貴が必要としてくれるから、俺は自分がいる価値を見出せるんす」
坂田「だから兄貴が俺をどう思っていようが、それは大きな問題じゃないんすよ!!」
レッドローズ「・・・坂田さん」
チーゴ「おい! そんなくさい芝居繰り広げている場合じゃないぞ」
チーゴ「奴さん、なんだか知らねぇけど凄い怒ってる!」

〇繁華な通り
不良怪人「己、さっきから俺を無視しやがって」
不良怪人「もういい、こうなったらここら一帯を焼き尽くして・・・」
  バリ・・・バリ・・・!(皮膚や制服が剥がれ落ちる音)
不良怪人「オレヲ無視デキナクシテヤルゥゥゥ!!」
チーゴ「この期に及んで進化しやがった!?」
坂田「兄貴、兄貴・・・!」
チーゴ「無駄だ。もう奴にお前の声は響かねぇ・・・」
坂田「そ、そんな?」
レッドローズ「・・・ありがとう坂田さん」
坂田「えっ?」
レッドローズ「大丈夫、貴方の兄貴は私が助けるから」
レッドローズ「そして貴方の声も・・・必ず私が届けてみせる!!」
  レッドローズはそう言うと坂田を背面に置いて攻撃の構えをとる。
  怪人はそれを自分に対する挑戦と受け取ったのか、猛々しい雄たけびを上げる。
チーゴ「またあの波が来るぞ!」
レッドローズ「任せて!!」
  レッドローズは両腕をクロスして魔法陣を展開。押し寄せる炎の波を受け止めた。
レッドローズ「ソウル・ジェム!」
不良怪人「ゴゴ・・・ォオォ・・・ゴァァァッ!!」
  レッドローズは押し寄せる波に耐えながら怪人に訴える。
レッドローズ「ねぇ聞いて、私は貴方を助けたいの!」
レッドローズ「貴方の抱えている心の闇、苦しみから救ってあげる。だから話を聞いて!!」
不良怪人「ダマレ、お前モオレノ事ヲ馬鹿ニシテ面白ガル気ダロウ?」
レッドローズ「そんな事ない、私は貴方を救いたいって本気で思ってる!」
レッドローズ「現に今、貴方を馬鹿にしてる人なんて何処にもいないでしょう?」
不良怪人「!」
レッドローズ「貴方は昔、周りから酷い仕打ちをたくさん受けてきた」
レッドローズ「誰からも本当の自分を見てもらえず相手の勝手な思惑で決めつけられ、何度も傷ついた」
レッドローズ「そうでしょう?」
不良怪人「・・・あぁソウダ。ダカラオレは自ラヲカエテ、今日マデイキテキタ」
不良怪人「シカシ、自分ヲカエタ所デ周リはオレヲミル目ヲカエハシナイ」
不良怪人「ソレドコロカ、以前ヨリモモット俺カラ遠ザカルヨウニ・・・」
レッドローズ「本当にそうなの?」
不良怪人「え?」
レッドローズ「本当にそう思うなら、どうして坂田さんを助けたの?」
レッドローズ「自分のように苦しい想いをしているのはあの人も同じだって気づいたからなんでしょう?」
不良怪人「そ、ソレハ・・・」
レッドローズ「くにひこさん、貴方は一人なんかじゃない」
レッドローズ「何故なら、貴方を必要としてくれる人はすぐ近くに居るもの!」
坂田「兄貴・・・」
不良怪人「さ、サカタ・・・」
チーゴ「波の勢いが弱まった! やれ、レッドローズ!!」
レッドローズ「うん!」
  レッドローズは組んでいた両腕を振り払って炎の波を退けると、怪人に向かって勢いよく突っ込んでいった。
レッドローズ「貴方の中で迸るその怒りの炎、私の炎で打ち消してあげる!!」
レッドローズ「熱拳・レッドローズバーン!!」
不良怪人「ゴァァアァァ・・・!!」
  レッドローズが繰り出した拳が怪人の鳩尾に命中。
  それと同時に怪人が身に着けていた炎の鎧が周囲に弾け飛び、元の不良が姿を現した。
不良1「・・・バタンキュー?」
坂田「兄貴っ!」
  坂田は膝から崩れ落ちるくにひこの元に駆け寄り、その体をがっしりと両腕で掴み上げる。
坂田「兄貴、しっかりしてください。兄貴!!」
レッドローズ「心配しないで、怪人化から解放された反動で気を失っているだけよ」
レッドローズ「時期が来れば目を覚ますわ」
坂田「そ、そうですか?」
レッドローズ「・・・貴方の想い、届くと良いですね?」
坂田「えっ?」
  坂田が顔を上げた次の瞬間、レッドローズはその場から飛び去っていった。

〇宮益坂
  ―それから数日後―
千咲 マナ「今日は穏やかな天気だね」
チーゴ「そうだな、こういう時はのんびりお出かけするに限る」
千咲 マナ「うん、穏やかこそ一番!」
れもん「マナー!」
千咲 マナ「あ、れもんちゃん。久しぶりだね?」
れもん「うん!」
れもん「今日はね、ママと一緒に映画を見に行くんだ」
千咲 マナ「そうなんだ、それはそれは・・・」
れもんのママ「貴方がれもんさん?」
れもんのママ「初めまして、れもんの母の千尋(ちとせ)です。先日は娘が世話になったようで?」
千咲 マナ「せ、世話になったなんてそんな・・・」
千咲 マナ「れもんちゃんの母さん、写真で見るより美人だね?」
れもん「でしょー? 私自慢のママなんだから!」
れもんのママ「れもん、なにしてるの?」
れもん「ううん、なんでもない!」
れもん「あ。それより、早くいかないと映画始まっちゃうよ」
れもんのママ「そうね、それじゃ急がないと・・・」
れもん「それじゃあマナ、私たちもう行くね」
千咲 マナ「うん。バイバイれもんちゃん」
チーゴ「元気そうで良かったな、れもんちゃん」
千咲 マナ「そうだね」
千咲 マナ「あの様子だと、私、嫌われなかったみたい?」
チーゴ「その様だな・・・ん?」
チーゴ「マナ、お前泣いているのか?」
千咲 マナ「だって、れもんちゃんが母さんと仲よく歩いているのを見てたら、なんだかこみ上げてきちゃって」
千咲 マナ「ああなるまでどれだけ苦労したのかと考えると・・・ぐずっ」
チーゴ「お前はれもんのなんなんだ?」
チーゴ「てっきり嫌われてなくてホッとしたのかと・・・ばか、り」
千咲 マナ「チーゴ、どうかした?」
チーゴ「マナ。 どうやら感傷に浸っている場合じゃなさそうだぞ」
千咲 マナ「穏やかじゃない奴が現れたってこと?」
チーゴ「南へ三キロの所だ。行けるか?」
千咲 マナ「何時でも!!」
  某町の平和と生活を護る為、
  日夜怪人と戦う魔法戦士。
  人の心に闇がある限り、これからもマナたちの戦いは続いていくのである・・・。
千咲 マナ「開け、心の花よ!!」
  お わ り

コメント

  • 舎弟の言葉、そしてレッドローズの言葉が届いて怪人になった不良を助け出す王道ながら熱い展開でした。
    炎に対して炎で対抗するのも良き。

    改めまして完結おめでとうございます!

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