手足のない映画監督

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〇映画館の入場口
るな「ここがゆけむり映画祭の会場か〜」
るな「楽しみだな 地元の映画祭って独特な作品がありそう」
るな「わくわく♪」

〇映画館の座席
るな(今から上映されるのは 『私はゼロ』 SFアニメーション映画)
るな(孤独な科学者が作ったアンドロイドが人の心を持ってしまい・・・というよくあるストーリー)
  私はゼロ
  きこえますか
  助けてください
  すいこまれて
  消えてしまいそうです──・・・
るな「・・・」
るな(古い絵柄で綺麗だけど・・・ 陰鬱で重い・・・)
  主人公が水に浸かった薔薇を切り落とすシーンで終わった

〇映画館の座席
司会「『私はゼロ』監督のシュンダイさんに コメントをいただきます」
シュンダイ「コメントって言っても 趣味ぶつけただけなんで。 ストレス発散ですね アニメーション制作は。 はい」
司会「そうなんですね。 絵柄が麗しいですが こだわりがあるんですか」
シュンダイ「はい。 綺麗なものを見ると 癒やされます」
司会「宇宙のシーンも綺麗でしたね」
シュンダイ「ええ 大いなる存在に想いを馳せれば 小さなことは気にならなくなります」
司会「会場にお集りの皆さんの中で シュンダイ監督に質問がある方はいますか?」
るな「・・・」
るな「ハイ!」
司会「どうぞ マイク持っていきますね」
るな「(マイクを受け取り)シュンダイさんは主人公の声もあてているんですね」
シュンダイ「はい」
るな「きれいな声だと思いました 絵柄によく合っていますね」
シュンダイ「ありがとうございます」
るな「えっと 以上です!」

〇映画館の入場口
るな「映画祭 終わった・・・」
るな「あっ」
シュンダイ「どうも」
るな「えっと SNSとかやってますか もっと作品をみてみたいです」
シュンダイ「あー やってはいるけど 荒れてるので・・・ 非公開アカウントにしています」
シュンダイ「ラインでもいいですか」
るな「えっ あ はい」
シュンダイ「時間ありますか よかったらそこの椅子に座って 話しませんか」

〇広いベランダ
るな「はい、私のラインのQRコードです」
シュンダイ「はい、追加しました」
るな「わあ シュンダイさんのアイコンのイラストかっこいい」
シュンダイ「この間描いた落書きが気に入ったので、アイコンにしました」
シュンダイ「るなさんのアイコンも自作イラストですか? 美しいですね」
るな「わ〜い♪ 私も絵を描くんです」
るな「アニメはまだ本格的なものは作ったことがないので、気になっています」
シュンダイ「一緒に作ってみませんか?」
るな「やってみたい!」
シュンダイ「おやつでも食べながら次回作を考えましょう」
  シュンダイさんがおやつとスケッチブックを机の上に並べる
シュンダイ「現代物を作ってみたほうがいいと言われますが、興味持てないんですよね、自分は・・・」
るな「私もです、精神世界に興味があります、世俗より・・・」
シュンダイ「気が合いますね」
るな「えへへ」
シュンダイ「にこ」
るな「『私はゼロ』続きを作る予定はありますか?」
シュンダイ「どうしてですか?」
るな「途中で終わっている気がして」
るな「ふたり、仲良くできたんじゃないかなって・・・」
シュンダイ「そうですね、続きを作りましょう」
シュンダイ「ロージィの首を繋げて、再起動するシーンから始めようと思います」
シュンダイ「彼女は怒っているでしょう・・・ どうしたらいいのか・・・」
るな「謝ったら仲直りできますよ」
シュンダイ「はい」
るな「仲直りした二人はどうなるんでしょうか」
シュンダイ「宇宙旅行に行ってそうです 二人とも、きれいな景色が好きなんです」
るな「素敵! 旅の様子をアニメにするんですね」
シュンダイ「はい 来年の映画祭が楽しみです」

〇広いベランダ
シュンダイ「おっと もうこんな時間」
るな「あっという間でした」
シュンダイ「また会いましょう」
るな「ぜひ」

〇可愛い部屋
るな「はい、もしもし どうされました シュンダイさん」
  はい
  相談したいことがあって・・・
  お時間大丈夫ですか?
るな「大丈夫ですよ」
  最近、アニメを作る気が起きないんです
るな「そうなんですね」
  自分は『私はゼロ』の続きのアニメを作るのではなく、るなさんと旅行に行ったときに動画を撮って映像作品にしたいと思いました。
るな「はい、一緒に作りましょう」
  ありがとうございます

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