48話 出会いを求めて(脚本)
〇王宮の入口
テツナ・テカ「ビャラム? 何してんだお前」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「テツナか」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「ルゥラッハ・オル・レバノスタンと次会った時の練習だ」
テツナ・テカ「ルゥラッハはしばらく学校だろ? まさか毎日こんなことしてんのか?」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「一日に一度は練習しないとルゥラッハ・オル・レバノスタンの姿が頭から離れないんだ」
テツナ・テカ「きも」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「お前、この間俺だけ省いてルゥラッハ・オル・レバノスタンとその妹に会ったらしいな」
テツナ・テカ「いやお前は王宮から出られないだろ」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「俺を誰だと思っている!! 俺はこの国の王”ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド”だぞ!! どこへでも馬を走らせてやる!!」
テツナ・テカ「たとえ出られてもお前だけは呼ばねえよ」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「なんだと貴様?」
テツナ・テカ「悔しかったら自分で招待しろよな〜」
ビャラム・ヨイワーン・テルヌンド「テツナあああああああ!!」
〇教会
テツナ・テカ「ビャラムの奴本当におもしれえなぁ」
フィガロ・パズテカ「テツナ。おかえり」
テツナ・テカ「げっ。また来たのかよジジイ」
フィガロ・パズテカ「俺はお前の監視をしてるんだぞ」
テツナ・テカ「言っただろ、しばらくはルゥラッハのそばにいる」
フィガロ・パズテカ「しかしこれ以上テカを放っておくことはできない。仕事を済ませてからすぐに帰ってくればいいだろう」
テツナ・テカ「・・・・・・ め、珍しいなお前がそんなこと言うなんて。帰ってきていいのか?」
フィガロ・パズテカ「ルゥラッハのそばにいたいんだろう? いくら引き伸ばそうといつかは帰らないと行けなくなるんだ。その時までは許してやる」
テツナ・テカ「その時ねえ」
フィガロ・パズテカ「お前がテカをよく思っていないことは分かっている。だがお前は国王になるんだ。国とその民を愛さないでどうする」
テツナ・テカ「あいつらを愛せって言うのか?」
テツナ・テカ「無理だろ」
フィガロ・パズテカ「テツナ」
テツナ・テカ「俺を閉じ込めて俺の大切な人たちを追放する国を愛せって? そんなの無理に決まってる」
テツナ・テカ「お前だってつい最近まで異常だったぞ。俺はお前が嫌いだ」
フィガロ・パズテカ「・・・・・・」
テツナ・テカ「ルゥラッハには感謝しないとな」
フィガロ・パズテカ「・・・そうだな」
テツナ・テカ「泣けたか?」
フィガロ・パズテカ「俺には無理だ」
フィガロ・パズテカ「あいつのように想像豊かではない」
テツナ・テカ「泣くくらい簡単にできるだろ。お前が追放した人たちの中に大切な人はいなかったのか?」
フィガロ・パズテカ「民は全員大切だろう」
テツナ・テカ「ハッ」
フィガロ・パズテカ「何がおかしい?」
テツナ・テカ「本当に大切ならルゥラッハの話を聞いて号泣してるだろ」
テツナ・テカ「外の国には俺たちの居場所はないらしいからな」
フィガロ・パズテカ「・・・それは」
テツナ・テカ「こりゃルゥラッハが聞いたら、また泣くな」
フィガロ・パズテカ「お前はあの日のことをまだ忘れられないのか?」
テツナ・テカ「俺は寛大だぞ。お前を許したんだから」
フィガロ・パズテカ「・・・そうだな」
〇黒
〇大広間
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ハァ・・・どうして私がこんなパーティに参加しないといけないのかしら」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「そしてなんで俺にエスコートを頼んだんだ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「だってお兄さま、仕事があって忙しいんだもの。引っ越したばかりで仕事が山積みなのよ?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「心配だわ。体調を崩さなきゃいいけど」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「エレエレがいるから大丈夫だろ」
◇◇◇「レバノスタン侯爵令嬢、僕と踊っていただけませんか!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「いやです」
◇◇◇「そ、そうおっしゃらずに」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「わたしにパートナーがいるのが見えないの?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「お、おい。変な誤解されるだろ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ワヌゥレン卿、私少し具合が悪いわ」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「え!? だ、大丈夫か?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「もう帰りましょう」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「私が幸せにならないとお兄さまは安心できないから、出会いがあればと思って参加してみたけど・・・みんなドブにしか見えないわ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「あんまり親しくもない人の家のパーティだし、参加なんてしなきゃ良かったわ」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「ドブって・・・全員がキャラバスティンみたいな奴じゃないぞ?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「わかってるわ。ワヌゥレン卿みたいな人もいるんだし・・・でも」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「素敵だと思った方はみんなお兄さまを支えて欲しくなってしまうから・・・」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「お、お前それで大丈夫なのか?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「あなたこそ大丈夫なの? 昼間倒れたでしょう?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「ぐ・・・今は現実逃避してんだよ。だからお前をエスコートしてるんだし」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「それより早く帰ろうぜ。お前に無理をさせてたら、ルゥラッハに怒られる」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さま以上の人なんてなかなか見つからないわよね!」