46話 幸せにする方法(脚本)
〇綺麗な教会
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ハァ・・・」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「どうしたアゥルペロ、元気がないな」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「もしかしたらナーヤさまが昨日のように、お兄さまに会いに来てくれるんじゃないかと期待してしまって」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「き、昨日!? 学校にまで来てたのかあのストーカー野郎!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「そうです。ここは聖地なの。お兄さまの記念すべきファーストキスが行われた場所なのよ」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「え・・・?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「き、キスって・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「あ、あら。私ったらぼうっとしてたわ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ごめんなさいワヌゥレン卿・・・あなたはお兄さまが好きなのに・・・」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「す、好きじゃ──」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「い、いや。まあ。好きだけど」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「それよりキスって! あのストーカー、ルゥラッハにキスしたのか!?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「そ、その・・・」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「教えてくれアゥルペロ、俺たちは公平なんだろ!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「その・・・私考えていたんです。本当に公平でいいのかしらって」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「は?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「私、ナーヤさまを素敵だと思ったの。お兄さまを任せられると思ったわ。面接も免除したいくらい」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「な、な──」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「でもお兄さま、ナーヤさまはダメだと言うのよ」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「お、おいおい、泣くなよ!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「私、良かれと思って・・・お兄さまのためを思ってるのに、何がいけなかったのかしら」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ナーヤさまのことまで傷つけて・・・あなただって今傷ついたはずよ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「私のやっていたことは間違っているのかしら」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「もうわからないわ! 私キャラバスティンさまと結ばれたかったの、本当に好きだったの!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「でもダメだった・・・あんな苦しい思いをお兄さまにしてほしくないの! 心の底から愛してくれる人がいいの!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「どんなお兄さまでも受け入れてくれてずっとお兄さま一人だけを思ってくれる人じゃないとダメなのよ!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さまの相手はそんな人じゃないとダメなの!!」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「アゥルペロ・・・」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「俺は大丈夫だよ。お前のせいなんかにしないし、お前がしていることを責めるつもりはない」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「確かにスカウトしすぎだったり、俺じゃなくて他のやつが有力とか言ったり・・・」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「それが気に食わなくて何かとお前に文句言っちまってたよな。ごめんな」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「私・・・私わからないの、お兄さまを幸せにする方法・・・」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「どうしてお前がそんなこと考えるんだよ。ルゥラッハなら自分で勝手に幸せになるだろ。今だってお前と仲良く出来て幸せそうだしさ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「私のせいなの・・・お母さまを止められなかった・・・お兄さまを不幸にしてしまったの!」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「お前じゃなくてあの女がしたことだろ!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「でも・・・私も利用していたわ、お兄さまのこと」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「冷たい人だと思ってたのに、今さら大切だと言って、優しい人なんだと言って手のひら返しして──」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「──困らせるようなことばかりして」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「今のお前は本当にルゥラッハを大切に思ってるんだろ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「思ってるわよ!」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「じゃあいいだろ、過去のことなんて。ルゥラッハだってお前に冷たくしてたのに急に守るとか言い出したんだし」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「でも・・・みんなの気持ちを無視して一人を選ぶなんて・・・それにお兄さまの気持ちを考えずに選びたがってるわ」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「お、俺はいいって言ってるだろ。他のやつは知らないけど──」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「あいつらだってお前にルゥラッハを好きになれって言われて好きになったわけじゃねえし」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「婚約者候補になるって決めたのは自分たちなんだから、気にするな」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「でも私・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さまはナーヤさまと結婚して欲しいの」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「・・・なんだって?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「私、お兄さまとナーヤさまに結婚して欲しいのおお──っ!!」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「お、俺じゃダメなのか」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「だから謝ってるんじゃない! お兄さまにも申し訳なくて・・・」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「な、なんであいつにそんなにこだわるんだ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「だって、お兄さまなら突然キスされそうになっても避けられるはずでしょう?」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「・・・・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さまは初恋がまだだから恋を自覚していないだけよ!」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「うそだ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ごめんなさい!!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「わ、ワヌゥレン卿!? ・・・き、気絶しちゃったわ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ん〜・・・困ったわ。ワヌゥレン卿は小さい頃からお兄さまを大切に思っていたんですもの」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「本当に誰に決めたらいいの?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「もういっそみんなで結婚してほしいわ・・・」