断罪対象である妹を助けたら百合と薔薇が咲いたっぽい

隍沸喰(隍沸かゆ/おかゆ喰)

45話 嫌われ方を知っている(脚本)

断罪対象である妹を助けたら百合と薔薇が咲いたっぽい

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〇教会
テツナ・テカ「遅いな〜まだ来ないのか? 学校か・・・」
フィガロ・パズテカ「テツナ、中で待て。風邪を引くぞ」
テツナ・テカ「いつまで子供扱いするつもりだよ。俺はもう立派な大人だぞ!!」
フィガロ・パズテカ「ルゥラッハとはつい最近会ったばかりだろう、今日も学校で疲れているだろうに会いたいからと呼びつけるなんて──」
テツナ・テカ「説教はよせ! それに会いたくなんかねえ!!」
フィガロ・パズテカ「俺は会いたかったが」
テツナ・テカ「ズルいぞジジイ!!」
フィガロ・パズテカ「俺はまだそんな呼ばれ方をする年齢じゃない」
テツナ・テカ「ルゥラッハと結婚するためにこの国に残ってるのか? さっさと帰れよ!」
フィガロ・パズテカ「お前こそそろそろ帰れ。このまま国を放ったらかしにするつもりか?」
フィガロ・パズテカ「お前は次期王だぞ」
テツナ・テカ「うるせえ」
フィガロ・パズテカ「テツナ」
テツナ・テカ「帰ったらあいつに会えなくなる」
フィガロ・パズテカ「・・・・・・」
テツナ・テカ「・・・・・・俺がいつかここに会いにきても、あいつはあっという間にお爺さんになってるだろうな」
テツナ・テカ「お爺さんでも会えるならいい。誰かのものになってても幸せそうに笑っていてくれればいい・・・」
テツナ・テカ「だけど、もしかしたら・・・もしかしたらもうこれっきり会えないかもしれない」
テツナ・テカ「あの国から俺が出られるようになるのはいつの話だ? アンタも次期王が決まったから今出られてるんだろ?」
フィガロ・パズテカ「正確にはお前が追っ手をまいて好き勝手しているから俺が出るしかなかっただけだ」
テツナ・テカ「俺みたいなやつがあの国に現れるには何年掛かる? 俺は・・・まだルゥラッハのそばにいたい」
テツナ・テカ「あいつが生きているうちに、あいつの姿を目に焼き付けておきたい」
フィガロ・パズテカ「テツナ・・・」
テツナ・テカ「国には帰るよちゃんと。でも、もう少しだけ・・・あいつと一緒にいたい」
テツナ・テカ「好きなんだ! あいつのこと!」
フィガロ・パズテカ「そうか・・・」
  お待たせテツナ
テツナ・テカ「おかえり」

〇ホテルのエントランス
ナーヤ・ガーヤ「・・・・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「・・・見るな」
ナーヤ・ガーヤ「うん・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(見てるだろ!)
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ナーヤさま、これをお兄さまに食べさせてください」
ナーヤ・ガーヤ「これは・・・?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さまは鶏肉料理が好きなんです! 覚えておいてくださいね!」
ナーヤ・ガーヤ「お嬢さまからはいろんなルゥラッハの情報が聞き出せそうだ!」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「お前に教えることはない!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「教えますから安心してください」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「アゥルペロ・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さま、素直になってください。ナーヤさまはかっこいいでしょう?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「どこがだ! 下品な表情ばかり浮かべて」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「まあ・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ナーヤさまはもうちょっと表情をしまらせた方がいいわ」
ナーヤ・ガーヤ「冷たいところもかわいい」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さま・・・こんなに素敵なのに」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「アゥルペロ・・・あいつのどこがいいのか具体的に教えろ!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「いいでしょう。でもみなさんに平等に教えます!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「まずお優しいお兄さまが珍しく嫌がるところです」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「え」
テツナ・テカ「いやがってるのにいいのか!?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「いいえ。いやがっているだけではだめです」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「見ていてください」
ナーヤ・ガーヤ「ルゥラッハ〜♡ あ〜ん」
  お前の手からは食べないって言ってるだろ気持ち悪い!
ナーヤ・ガーヤ「そう言わずに。お嬢さまが俺に食べさせてくれって頼んだんだぞ?」
  う・・・うう! クソ!
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「嫌がられてもめげずにちょっと卑怯で強引にお兄さまに言いよる様が素敵!」
ナーヤ・ガーヤ「ルゥラッハかわいい・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「そして全然私たちの話を聞いていません! お兄さまだけしか目に映っていません!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「一見間抜けに見えますけど”あれ”を見せられたら、”あれ”くらいお兄さまに虜になってもらわらないと認められないわ!」
テツナ・テカ「あんなのにはなりたくない・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「まあ、どうしてです?」
テツナ・テカ「だって変態くさいし・・・気持ち悪がられてるし」
テツナ・テカ「俺は気持ち悪がられたくない」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「俺もいやだ」
ワヌゥレン・シィゼルヴェン「あんな奴を真似しろなんて無理だ」
フィガロ・パズテカ「俺もあまり・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「う〜ん・・・確かにフィガロさまがナーヤさまみたいに振る舞ってたらちょっと気持ち悪いわ」
フィガロ・パズテカ「そ、そうか・・・」
フィガロ・パズテカ「気持ち悪いのか・・・」
  こいつも充分気持ち悪いだろ!!
ナーヤ・ガーヤ「ルゥラッハ、はいあ〜ん♡」
  うう
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「もはやお兄さまの話も聞いてないわ!」
エレエレ・テンテンポム「それのどこがいいんですか!」
ナーヤ・ガーヤ「ゴ、ゴホン・・・ 別に聞いてないわけじゃないぜ」
  聞いてないだろ!!
ナーヤ・ガーヤ「俺はただ・・・」
ナーヤ・ガーヤ「ルゥラッハの全てを愛しているだけ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「きゃあああ・・・きゃああああ!」
ナーヤ・ガーヤ「愛してるよルゥラッハ♡」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「いやがることまでして何が愛してるだ! 信じないからな!!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さま・・・ナーヤさまの気持ちは本物です」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「本物ならなおさらお断りだ!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さま・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「お前はいやだ!」
ナーヤ・ガーヤ「そうか・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(い、言いすぎてしまったか? アゥルペロも悲しそうな顔をしてるし・・・)
ナーヤ・ガーヤ「悪いけど俺も絶対無理だ!」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「え・・・?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ナーヤさま? 無理って・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お、お兄さまを諦めてしまうんですか!? た、確かに振られたようなものですけど、まだチャンスはありま──」
ナーヤ・ガーヤ「俺はなくてもいいんだよお嬢さま」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(なくてもいいならあんな態度を取るな!)
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「そ、そんな・・・な、ナーヤさま」
ナーヤ・ガーヤ「俺は無理だ。例え嫌われてたって絶対ずっと好きだからな」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「え・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(な、何言ってんだこの人・・・)
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「き、嫌われるのは悲しいはずです」
ナーヤ・ガーヤ「俺は誰かに好かれることすら知らなかった男だぜ? まあ最近知ったけど・・・好きになられることなんて滅多にないんだ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・・・・そ、そんな」
ナーヤ・ガーヤ「恨まれることや嫌われることの方が多かった。むしろそっちの方が慣れてるんだ」
ナーヤ・ガーヤ「だから、別に悲しくはないな」
ナーヤ・ガーヤ「もともと大勢より一人の方が楽しい性分だし」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「その・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(アゥルペロの言う通りだ・・・ 本人は悲しくないと言ってるけど、そんな悲しいことを簡単に口にするなんて)
ナーヤ・ガーヤ「もしかして同情してる? お得意の想像力で?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「えっと・・・」
ナーヤ・ガーヤ「別に心配されたくて言ったわけじゃないけど・・・でも同情してくれてるんなら」
ナーヤ・ガーヤ「俺と結婚して」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「な、なんでそうなるんだ!!」
ナーヤ・ガーヤ「ルゥラッハのことが好きだから、好きになってくれたら嬉しい」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「その・・・本当にごめん。悪いけど、好きになれない」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ま、待って下さいお兄さま。チャンスくらい与えてもいいでしょう?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「私・・・キャラバスティンさまを好きだった頃に、そんな風に拒絶されていたらと思うと、この人のことを放っておけないわ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「そ、そうだな」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(あのドブの話が出たことはムカつくが、この人が諦めるのを待つしかない)
ナーヤ・ガーヤ「お、俺ちょっと用事思い出したわ」
ナーヤ・ガーヤ「お嬢さま、せっかく誘ってくれたのにすみません」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「な、ナーヤさま」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さま・・・」

〇貴族の応接間
  あの後ナーヤ・ガーヤは家に帰った。残ったみんなと俺たちはテルヌンドやテカについて話したり、学校の話をしたりした。
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(でも・・・)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(本当にこれでいいんだろうか? アゥルペロの言う通り、チャンスを与えるべきなんじゃないか?)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(ワヌゥレンのことを敵だと思ってた、フィガロさまも冷たくて・・・テツナも少し意地悪だった)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(何より・・・アゥルペロも俺を利用していた)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(あの子は謝ってくれたし、俺も冷たくしていたことを謝った。そして今、笑い合える日々を送っている)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(ナーヤは最初から悪いやつではなかった。胡散臭いやつではあったけど買った情報は正しかったし──)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(俺たちがテルヌンドへ向かっていたことを公爵令嬢に知られないように手を回してくれていた)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(そしてそんなことをした理由は、俺のことが好きだから・・・)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(そこまでは良かったんだ。悪かったのは俺に無理やりキスしようとしてきたからだ、今日だって突然キスしてきた、2回もした)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(いやだって言ってるのに・・・最低だ)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(でも・・・ナーヤは俺のわがままのためにエンシェン・リンの情報ギルドを解散させる約束をしてくれた)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(ほっぺたにキスと言う報酬が条件だったけど)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(よく考えたら悪いやつではないよな・・・でも気持ち悪い)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(さっきまでもナーヤの顔を見ていたらナーヤの唇の感触を思い出してぞわぞわした)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(好きじゃないしこれ以上傷つけたくないからはっきり断っているのに、平気そうな顔して泣きそうな声で無理とか言ってくる)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(どうすればいいんだ・・・ せめて、もう少し話を聞いてみるべきなのかもしれないな・・・)

次のエピソード:46話 幸せにする方法

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