人の理 彼らの理

エピソード1 『清姫』上(脚本)

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〇城下町
  子の刻

〇古いアパートの居間
退魔師「Zzz」
灰鴉「起きろ退魔師。 仕事だ上様からの命を預かった」
退魔師「Zzz」
灰鴉「チッ おい起きろ。退魔_____」
退魔師「そう騒がなくても起きてますよ。それじゃあ夜這いにもなりゃしやせんぜ?」
灰鴉「退け。上様からの命だ。 『理が交わった。場所は倉敷家。即刻退治せよ。』 との事だ」
退魔師「こりゃ手厳しい・・・ 即刻・・・ねぇ。 すぐ・・・準備しますよ」
灰鴉「上様からの命は確かに伝えた。 これで失礼する」
退魔師「あぁ待った待った。そんなに慌てなくてもいいでしょう。 お手伝いしてくださいよ。灰鴉さん」
灰鴉「断る」
退魔師「こりゃまたあっさりと・・・それじゃあしょうがねぇ・・・行きますか」

〇大きな日本家屋
  巳の刻
  倉敷家 正門前
倉敷 雪「お母様・・・そのようなお顔をなさらないで。 私は平気です」
倉敷 さやか「雪・・・あぁ・・・ごめんね雪 私がしっかりしていたらこんなことには・・・ごめんね・・・ごめんなさい・・・雪」
倉敷 雪「私は、倉敷家の役目を果たすために生まれたのです。だからお母様____謝らないで」
倉敷 さやか「雪・・・」
倉敷 雪「私は大丈夫ですお母様。 きっとこれで・・・我が家が、村全体が解放されるのですから」
坂下「お車の準備が出来ました。 雪様・・・お乗り下さい」
倉敷 雪「坂下さん ありがとう では、行ってまいります。 お母様、どうかお元気で。お身体にはお気をつけくださいね」
倉敷 さやか「雪も・・・体には気をつけるのよ」
倉敷 雪「はい!」
坂下「では・・・私も雪様と共に行ってまいりますため、ここで失礼」
倉敷 さやか「坂下・・・あの子を守っておくれ・・・」
坂下「御意」

〇古民家の蔵
  同時刻
  倉敷家所有の山の別荘にて
琴美「もう・・・なんで私がこんなことを・・・大事な行事だって聞いてるけど一体何なのよ・・・」
清子「琴美!!! 喋ってる暇があるなら手を動かしな!!! 全く・・・今日を何の日だと思って・・・」
琴美「はぁーーい!!!」
清子「いいかい!!すぐに準備するんだよ!! そこのあなたもだからね!!」
お手伝いさん「畏まりました」
清子「全く 薄気味悪い女ね・・・」
琴美「大丈夫?? ほんと清子さんって酷いよね。 今回の為だけに来てくれた人なのよね。ありがとう」
お手伝いさん「・・・・・・」
お手伝いさん「・・・そろそろ酒が無くなる頃かと思いますので、酒をお持ちしてきます」
琴美「あ・・・うん ありがとう・・・ね」
お手伝いさん「では・・・失礼します」
退魔師「・・・・・・」
退魔師(私の存在に気づいてあいつ逃げたな・・・ それにしても手伝ってくれるのは助かるねぇ・・・)
琴美「やだ!お兄さん何かあった? 配達?今日ないと聞いてたんだけど・・・」
退魔師「ん? あぁ、私は・・・」
琴美「あぁ、ごめん! 今日は無理なのよ!! 大事な──」
退魔師「儀式とやらがあるから・・・ですかね? どんな儀式か聞いているんですか?」
琴美「そう! 大事な儀式なのよ!! 雪様が、『清姫』に選ばれたって!!」
退魔師「『清姫』ねぇ・・・」
琴美「あ、でも・・・儀式の内容は私も知らないのよ・・・ 見た事ないから。今回が初めてなのよね・・・」
退魔師「そいつはまた・・・私も是非見たいんですが・・・よろしいですかね?」
琴美「えぇ!! もちろん!! きっと村の人達みんな見ると思うわ!」
退魔師「そいつは、良かった」
琴美「ねぇ・・・お兄さんのお名前は?」
退魔師「私のことですか? そうですねぇ・・・ ただの『退魔師』ですよ」
琴美「退魔師?? それは一体何をするの? って、いけない!! 早く支度しなくちゃ・・・山登りしなきゃ行けないのよね」
退魔師「山登り・・・ですかい?」
琴美「うん 儀式は山の上にあるお寺で行うの」
清子「こら、琴美!!!! あの女から聞いてきてみれば・・・こんな所で油打って・・・ そっちの男は誰なんだい!?」
退魔師「儀式に関しての話を聞いていたんですよ・・・ 私はただの『退魔師』でございます」
清子「あ、あら、そう・・・」
清子「退魔師さんも良かったらご一緒に」
清子「琴美! 準備して先に行きなさい!! 退魔師さんは私が連れていくわ」
琴美「はぁーい・・・ それじゃあ・・・また」

〇古びた神社
  午の刻
  村唯一の神社にて
坂下「雪様 おつきになりました。 ここでございます。 では・・・中へ参りましょう」
倉敷 雪「えぇ・・・」

〇祈祷場
倉敷 雄一「やはり、酒は女が注ぐのが上手いな。 だが、こうも無表情の女は面白くないな」
お手伝いさん「・・・」
お手伝いさん(恐らく、一番濃く交わってる場所だろう。 だが、この男一体何を隠している? あと酒臭いじじいだな・・・)
倉敷 雄一「おい、話を聞いているのか!! 何か一つ余興でもして見せろ!!!」
お手伝いさん「そのようなこと、貴方様の前で行えば『清姫』様と雪様の儀式を邪魔してしまいます。ご容赦くださいますよう・・・」
  訳:お前の前でなんでそんなことしないといけないんだ。だるいからやめろ××野郎が。
倉敷 雄一「それは困るな・・・雪が成功しないと・・・あれは・・・ もうよい下がれ」
倉敷 雪「お父様 ただいま参りました」
倉敷 雄一「雪か 頼むぞ。お前に倉敷の全てがかかっているのだからな」
倉敷 雪「はい・・・」
倉敷 雄一「あの奥に、『清姫』様がいらっしゃる お前一人で行くのだ。良いな」
倉敷 雪「はい・・・」
倉敷 雪「坂下・・・ ここまで来てくれてありがとう。 ごめんなさいね・・・こんなことを・・・してしまって・・・」
坂下「雪様・・・ 申し訳・・・ありません・・・ お守りできずに・・・申し訳ありません・・・」
倉敷 雪「構いませんよ・・・ では・・・お役目を果たして来ます」
坂下「雪様・・・・・・」

〇古民家の居間
退魔師「──なるほど つまり、解放して皆で酒を呑み明かすというのが村の儀式として言われていると」
清子「えぇそうよ この村は元はこんなじゃなかったけど、『清姫』様に酒などを献上したおかげで、栄えたのよ」
清子「だから、感謝の意味を込めて村全体で行うの。 まぁ・・・『清姫』様には他にも献上しているのだけれども・・・・・・」
退魔師(なるほど・・・これは面倒なからくりがあるな だから・・・探っているのか・・・ やれやれ・・・無茶をしなきゃ良いが・・・)
退魔師「ハッ──────」
退魔師(この気配・・・まさか!! もう来ているのか!!)
退魔師「今の悲鳴・・・まさか!!」
清子「な、なによ 悲鳴が聞こえるなんて・・・」

〇祭祀場
倉敷 雪「ここが・・・『清姫』が祀られてる場所・・・」
「よく来たな・・・今年の贄か」
倉敷 雪「どこから・・・・・・声が・・・」
「奥へと来い 喰らうてやる」
倉敷 雪(死にたくない・・・でも行かなきゃ・・・ 怖い・・・坂下・・・助けて・・・)
倉敷 雪(なんで・・・勝手に身体が動いてるの?! 嫌・・・誰でもいいから・・・助けて・・・)
清姫 「喰らうてやる・・・ 喰らうてやるぞ!!」
倉敷 雪「いやぁぁぁぁぁ!!! 誰か・・・!誰か助けて!!!」
清姫 「喰らうてやる 喰らうてやる!」
お手伝いさん「させるか!!! 妖風情が!」
倉敷 雪「あ、貴方は・・・お手伝いさん! どうしてここに・・・!」
お手伝いさん「話はあとだ!!! 少々失礼する!!」
倉敷 雪「え、あの!!!」
清姫 「逃がすか・・・ 喰わせろ・・・力を手にする為に・・・魑魅魍魎の主になるために・・・!!」
お手伝いさん「貴様が喰らっても良いのは・・・」
お手伝いさん「これだけだ!!!!!」
清姫 「逃げられたか・・・だが・・・この社からは・・・逃がすつもりは・・・ないぞ・・・ 小娘ども・・・」

〇祈祷場
坂下「雪様!!! 雄一様お退きください!!!」
倉敷 雄一「黙れ!! これで我が家も村も繁栄するのだ!!! 奉公風情が口を出すな!!!」
坂下「私が仕えているのは貴方様では無い!!! 雪様だ!!!!」
倉敷 雄一「ええい!!! 貴様なんて_______」
お手伝いさん「邪魔だジジイ!!!!」
退魔師「これは・・・」
お手伝いさん「退魔師!!! 一時的に結界を貼れ!!!! 縁の紐の持ち主は無事だから急げ!!!」
退魔師「勿論ですよ。 お手伝いさん」
退魔師「これで少しは時間を稼げましょう。 さてさて・・・皆々様方・・・ん?」
倉敷 雪「うぅ・・・」
倉敷 雪「ここ・・・は・・・? 私・・・さっき・・・ あれ・・・お手伝い・・・さん?なんで私を抱えていらっしゃって・・・?」
お手伝いさん「起きましたか・・・ご無事で何よりです。 武士様、後のことは頼みます」
坂下「それは構わないが・・・! どういうことが説明をしてもらうぞ!」
お手伝いさん「お好きにしてください」
倉敷 雪「坂下・・・ 私まだ生きてるのね・・・良かった。 迷惑かけて・・・ごめんなさい」
坂下「雪様・・・ご無事で良かった。 この坂下、雪様と共におります」
退魔師「一通りお話は済みましたね」
退魔師「この奥にいるのは、妖でございます。ですが、人の理に彼らは入ることは許されない。勿論、我らも彼らの理に入ることは許されない」
退魔師「だが、妖は見えないだけでそばにおり、 人の理と彼らの理が交わった時、彼らは姿を表し、人に害を為す 勿論、倒す方法もある」
退魔師「『姿』『縁』『理』揃った時あれは倒せる。あれは退治しなくてはならぬ妖です。 なので、皆々様にお聞きしたく馳せ参じました」

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