始まるぞ(脚本)
〇化学研究室
サヴォイア「お・れ♪」
(・・・誰だ?)
サヴォイア「俺はアルベルト・アウレリオ・サヴォイア」
サヴォイア「君タチを潰しに来たってワケ」
96番「潰しに・・・? 出来るとでも思ってんのか?」
サヴォイア「もちろん!」
サヴォイア「特務実験機関・AlphaBet(アルファベット)。 公に認可されていないにも拘らず、今でも黙認されている謎の組織・・・」
サヴォイア「そんな危ない所の『被験者』たちも、また危ない存在なんだよね」
21番「俺らが危ないってのか!?」
サヴォイア「その通り♪ 君は純粋そうだけど、他もそうだとは限らない」
サヴォイア「特に・・・君とかね」
96番「・・・・・・・・・」
サヴォイア「まあ、そういう事だから。せいぜい準備しておきな──」
91番「待ってくれ、サヴォイア」
サヴォイア「・・・何かな?」
91番「疑問なんだが、『潰す』ってのは、 具体的にはどう潰すつもりなんだ?」
サヴォイア「どう、か・・・困ったな、まさか大胆に敵の手の内を聞いてくるなんて」
91番「いや、【手の内なんぞ】に興味はない。 それを、被害を最小限に終わらせる事は可能かを知りたい」
サヴォイア「・・・なるほどね」
サヴォイア「・・・【どういう方法】で決めたい?」
91番「そうだな・・・・・・」
91番「代表者を1人、お互いに選んで戦う。 これでどうだ?」
サヴォイア「ふむ・・・文字通り『潰し』合うというワケか」
サヴォイア「だが、それは【夢を見すぎ】だ。 こっちが君タチを潰す手段なんて、いくらでもある」
サヴォイア「そんなちゃちな決闘モドキで、解決するとでも?」
91番「もちろん、『普通なら』解決しない。 だが、あんたは普通じゃない」
サヴォイア「・・・ふむ。何故そう思ったんだい?」
91番「理由は2つ。1つ目は、『ここに来た』事」
91番「AlphaBet(組織)を狙うなら、別にわざわざここに来る必要はない」
91番「組織といっても、表向きは一般企業だ。受付もいるし、『話の通じる奴もいる』」
91番「そんな中わざわざ、危険を冒して被験者の俺たちに会いに来てるんだ。 余程の物好きか、俺たちに用があるか。そのどちらかだろう」
サヴォイア「・・・・・・」
91番「2つ目は、あんたそのものだ」
サヴォイア「・・・俺?」
91番「ああ、あん──」
96番「御託はいい。お前、『俺とやれ』」
96番「お前、『強い』んだろ?わかるぜ・・・ 今すぐやんなくて正解だったみてぇだな・・・」
91番「・・・だそうだ。どうする?サヴォイア」
サヴォイア「・・・・・・良いよ。 ただし、条件も出させてもらう」
91番「条件?」
サヴォイア「君タチが負けた場合、『レオナルダ社』がこの企業を取り込む」
サヴォイア「つまる所、『合併』ってヤツさ」
91番「・・・俺らが勝ったら、そっちは何かくれんのか?」
サヴォイア「もしあなた方が勝ったら、『レオナルダ社』が『AlphaBet』の傘下に付く」
サヴォイア「どうだい?やる気になった?」
91番「・・・ああ、受けて立とう」
〇山奥の研究所
21番「・・・良かったんスか?あんな勝負受けて」
91番「どの道拒否権はない。それに、被害を限りなく最小限に抑える事はできた」
91番「これ以上望めない位の好条件さ」
21番「それはそうみたいっスけど・・・」
96番「なに、俺がいるんだ。 負ける事はねぇ」
91番「はは、もう既に代表気取りか」
96番「当たり前だ。アイツは、俺が潰す。 手を出すんじゃねぇぞ、お前ら?」
91番「・・・まあ、俺も異論はない。 21番も、しっかり見とけよ。96番の戦いを」
21番「・・・うす」
96番「お?素直じゃねえか。 てっきり「俺が出る!」とか言い出すかと思ってたぜ」
21番「・・・そんなバカじゃねぇよ。 それに、アイツとは因縁もねえしな」
96番「・・・そうか。 まあ見てな。面白ぇモンが見れるぜ」
〇砂漠の基地
翌日、Z隊試験場・・・
91番「・・・来たな」
サヴォイア「フフフ・・・もちろん」
91番「昨日言った通り、あんたとこっちの1対1で戦ってもらう」
91番「こっちの代表は96番・・・そこの怖い顔の奴だ」
96番「誰が怖い顔だよ・・・照れるぜ」
21番(いや、褒めてねぇだろ!)
91番「そっちの代表は・・・聞くまでもねえな」
サヴォイア「当然俺だ。身一つでここまで来たからね」
96番「・・・さて。さっさとやるぞ」
96番「・・・」
91番「気を付けろ。アイツは強いぞ」
96番「知ってるよ。だから俺がやるんだ」
91番「ただ強いだけじゃない。アイツは身一つで来てるんだ。 これが何を意味するかわかるか?」
96番「バカにしてんのか? それだけ『自信がある』んだろ」
96番「上等だよ。こっちも同じだ」
21番「・・・この戦い、どうなるっスかね」
91番「さあな。まあ、俺は96番の強さを知ってる。 普通に考えたら、96番が勝つだろうな」
21番「・・・・・・」
試験官「・・・殺しはなしだ。 お互いヤバくなったら、俺と91番が止める」
96番「・・・好きにしろ」
サヴォイア「・・・さて、いつでも良いよ」
96番「そうかい・・・」
91番「・・・始まるぞ」
21番「・・・・・・」