バトル系試運転

L-eye

骨は拾うぜ(脚本)

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〇砂漠の基地
試験官「それでは、回避試験を開始します。 準備はよろしいですね?」
21番「・・・いつでも」
試験官「・・・始め!」
21番「・・・・・・・・・」
21番「・・・」
21番「・・・」
試験官「あ!あいつ、また!」
21番「ふん・・・」
試験官「おい『21番』! 試験の度にうちの機械を壊すなといつも言っているだろう!」
21番「別に良いじゃねえかよ。 壊れる方が悪いんだ」
試験官「貴様・・・!」
21番「まあ、今度はもうちょいマシなオモチャ頼むわ。 せいぜい頑張ってくれよ」
試験官「クソ、あいつ・・・」

〇廊下のT字路
21番「ふんふ~ん♪」
21番「なんだ・・・?」
  今すぐ司令室に来い。 T隊司令より
21番「ったく、何だってんだ・・・」

〇近未来の開発室
21番「失礼しますよっと。 で、話ってなんすか?」
司令「うん。君さあ・・・」
21番(どうせまた機械を壊すなとか言われるんだろうな)
司令「・・・そろそろ、出てみない?ここ」
21番「・・・・・・・・・・・・」
21番「まじ?」
司令「大真面さ」
司令「・・・退屈だろう、ここの訓練は」
21番「退屈なんてモンじゃないっすよ。 毎回毎回あんなゴミと戦わされて」
司令「ゴミ、か・・・ 一応最新機種なんだがな」
21番「・・・で、何の用事すか。 わざわざ呼び出しといて、雑談で終わりって事もないでしょ」
司令「・・・君に、懲戒処分が下された」
21番「っ懲戒!?」
司令「ああ。この前の本部会議で、他の司令が話していた内容を偶然聞いてしまってな──」

〇研究機関の会議室
I隊司令「T隊の21番。あれは強すぎねえか?」
K隊司令「ですね。近いうちに『対処』しておかないと、何をしでかすかわかりません」
U隊司令「なら、今度の週末、懲戒処分にかけよう」
I隊司令「懲戒処分か!そいつは良い」
K隊司令「奴は普段の素行も悪いと聞きます。 我らの私怨とは思わないでしょう」
U隊司令「おまけに、21番さえ消えればこっちのモンだ」
I隊司令「こっちのモン?」
U隊司令「ああ。今うちには、3人の優秀な候補生がいる」
K隊司令「自慢ですか?感心しませんね」
U隊司令「何を言う。お前たちの隊にも優秀な候補生の1人や2人いるだろう」
I隊司令「まあ・・・俺らの所も1人抜けてる奴はいるが」
K隊司令「私の所も、2人ほど」
U隊司令「だろ?」
U隊司令「でも、T隊は21番だけだ。 他に目立った奴はいない」
I隊司令「・・・つまりどういう事だ?」
U隊司令「まだわからねぇか?T隊は主力の21番を失うが、こっちは何一つ欠けず主力を持っている・・・」
U隊司令「つまり、『いつでも殺れる』って事だ」
K隊司令「なるほど・・・」
U隊司令「そうなりゃ、『脅し』も効く。 T隊は俺らの言いなりにならざるを得ないってワケだ」
I隊司令「はっは!そりゃ良いな!」
K隊司令「T隊は生かさず殺さず、我々の手足になっていただきましょう──」

〇近未来の開発室
司令「・・・という訳だ」
21番「っ!それって・・・」
21番「俺もヤベぇけど、 あんたらもヤベぇじゃねえか!」
司令「こっちの事は心配するな」
21番「いや心配するわ! 『言いなり』とか『手足』とか言われてんだぞ!?」
司令「大丈夫だ。いざとなれば裸踊りでもなんでもやるさ」
21番(それじゃ済まねえぞ、絶対・・・)
司令「でだ。このままだと君は、『懲戒処分』が決定してしまう」
21番「・・・ハッ。たかが懲戒だろ?」
司令「なめてはいけない」
司令「あいつらの『懲戒』は、解雇では済まない」
司令「・・・きっと、君を殺すつもりだ」
21番「・・・・・・」
21番「ハ、何を言い出すかと思えば・・・ 俺を殺す?どうやって?」
司令「・・・『魔獣』だ」
21番「魔獣・・・!!」
司令「連中はあれを解放するつもりだ」
司令「いくら君が強かろうと、あれには敵わん。 体格そのものが違う」
21番「・・・・・・・・・」
司令「その顔を見る限り、 自分でもわかっているようだな」
21番「・・・そこまですんのかよ」
司令「・・・もちろん、そうならない為に『手』は打ってある」
21番「『手』?」
司令「ああ」
司令「君には明日から、Z隊で生活してもらう」
21番「Z隊・・・!」
司令「そう。あそこは唯一、全てが謎に包まれている」
司令「人員も不明、活動報告もここ数年なし。 周囲からも完全に忘れ去られている」
21番「・・・幽霊隊だな」
司令「まあな。だが、Z隊は『活動している』。 私が保証しよう」
21番「・・・話がさっぱり見えてこねぇ。 そこに行くと、懲戒がなかった事になんのか?」
司令「いや、『Z隊に行く事自体』を懲戒処分の内容にする」
21番「それが懲戒になんのか? 隊が移っただけだぞ?」
司令「さっきも言ったが、Z隊は活動報告が挙げられていない。 しかし、それでは組織という物は成り立たない」
司令「つまり、Z隊は今『ないもの』とされている」
司令「その『ないもの』に君が入るんだ。 条件付きでな」
21番「条件?」
司令「『Z隊を3ヶ月以内に正式な活動隊に戻す』」
司令「これが条件だ」
21番「・・・できんのか?」
司令「できるさ」
司令「さっきも言ったように、Z隊は『活動している』」
司令「ただ、正式に認可された隊ではないだけだ。大半が忘れているからな」
21番「・・・・・・」
司令「まあ、行けばわかる。 手続きと伝達はもう済ませてある。『明日から』、君はT隊ではなくZ隊だ」
21番「明日から!?んなまた急な・・・」
司令「とにかく頼んだぞ。私も期待しているからな」
21番「・・・・・・んな急な」

〇オフィスの部屋の前
  翌朝、Z隊会議室
21番「失礼します! 本日よりT隊から異動した、21番です! よろしくお願いします!」
???「・・・どうぞ」
21番「失礼します!」

〇近未来の開発室
21番「よろしくお願いします!」
91番「お、君が噂の21番か。よろしくな」
21番「よろしくお願いします!」
91番「そんな畏まらないでいい。 俺は91番だ」
21番「91・・・?聞いた事ねえ」
91番「だろうな。90番台は、Z隊の隊員である証だ」
21番「え・・・じゃあ、俺も92番とかになんのか?」
91番「ははは、それはない。 最初からZ隊に配属されている者だけだ」
21番「そうなんスか・・・」
91番「ところで21番。あれ、ホントか?」
21番「『あれ』?」
91番「噂に聞いてるぜ?機械ぶっ壊しちまうんだろ?」
21番「え、いや、あれはあの機械がノロくて遅いせいで・・・」
91番「ノロくて遅い?『あれが』か?」
21番「──え?」

〇砂漠の基地
97番「・・・・・・」
97番「・・・」
97番「っ!」
97番「ぐあっ!」
97番「・・・っ!」
97番「・・・・・・はぁっ!」
97番「・・・ふう」
試験官「・・・それまで。 1発当たったが、合格だ」
97番「・・・お疲れ様でした」

〇近未来の開発室
21番「・・・・・・なんだ、あれ」
91番「Z隊が改造した試験用砲撃機だ」
21番「か、改造!?」
91番「ああ。お前の試験機も今日から『アレ』だ」
21番「なっ・・・」
91番「心配すんな。骨は拾うぜ」
21番「・・・・・・マジかよ・・・」

次のエピソード:91番

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