ペルソナの微笑

鳳条

第14話(脚本)

ペルソナの微笑

鳳条

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ペルソナの微笑
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〇広い廊下
  数日後───
凛「・・・はぁ・・・」
凛「・・・またテストの時期が来てしまった」
香穂「ついこの前テストが終わったばかりみたいに感じてたのに、案外あっという間だね」
美月「そうね、でもまだ時間があるから、コツコツ頑張りましょう」
香穂「うん、そうだね!」
凛「・・・あ!」
凛「結衣ちゃーん!」
結衣「・・・あ、凛ちゃん、香穂ちゃん」
葵「・・・・・・」
香穂(・・・あ、金子さんも一緒だ)
凛「これから帰るの?」
結衣「ううん・・・ 少し、図書館で勉強していこうかなって」
結衣「葵ちゃんと一緒に・・・」
凛「そ、そうなんだ・・・ さすが結衣ちゃん、偉すぎ・・・」
結衣「そろそろまた・・・テストだし・・・」
結衣「前回、あまり成績が良くなくて・・・ 久保田先生にも、怒られちゃったから」
結衣「大学入試のことも、考えたら・・・ 今回、頑張らなきゃって────」
一花「───今回頑張って、また学年1位取るの?」
葵「・・・・・・!」
結衣「・・・み、三浦さ────」
一花「良かったね、佐藤さん」
一花「邪魔な人たちがいなくなって、さ」
結衣「・・・え・・・?」
「・・・・・・・・・!」
葵「・・・ちょっと、やめなよ なんでそういうこと言うの?」
一花「本当のことを言っただけ だってみんな思ってるでしょ?」
一花「周りを見下しまくって、自分より成績が良いやつに嫌がらせして精神的に追い詰める来栖」
一花「自分の気に入らないことがあるとすぐ機嫌が悪くなって、特定のやつをいじめる市村」
一花「いなくなってくれて良かったでしょ?」
葵「・・・不謹慎だよ 人前で笑って言うようなことじゃないでしょ」
葵「二人とも、問題はあったかもしれないけど でも亡くなった人にそんな言い方───」
一花「───善人ぶらないでよ」
一花「あんただって嫌ってたでしょ 来栖も、市村も」
葵「・・・・・・」
一花「佐藤さんが来栖に嫌がらせされて不登校になって、教室に来れば市村に嫌味を言われて」
一花「幼馴染だから、腹立ってたんでしょ? 言い合ってたもんね、市村と」
一花「ああ、もしかして・・・ あんたが二人とも殺してたりして」
結衣「・・・や、やめて・・・」
葵「・・・ありえないね」
葵「確かに好きではなかったけど ・・・私は殺したりなんてしてない」
一花「へえ、どうだかね ・・・動機もチャンスも、誰にでもあるし」
一花「誰が殺してたっておかしくないよね」
結衣「・・・もうやめて、三浦さ────」
美月「───落ち着いて、三浦さん」
美月「二人が”殺された”とは決まっていないわ 自殺かもしれないのよ」
美月「証拠もないのに、人を責めたらいけないわよ」
美月「それに、どんな理由があっても・・・ 『いなくなって良かった』なんて」
美月「亡くなった人に対して言っていい言葉ではないわ」
一花「・・・・・・・・・」
凛「・・・美月ちゃん・・・」
香穂「・・・・・・・・・」
一花「・・・私ね、分かるんだ」
美月「分かる?・・・何が分かるの?」
一花「次に、誰が死ぬのか」
美月「・・・・・・!」
葵「なにそれ、どういう────」
一花「化けの皮も、もうすぐ剥がれるね」
一花「その時が楽しみ────それじゃ」
  ニヤリと笑って、一花はその場を後にする。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
美月「・・・・・・・・・」
美月「・・・はぁ・・・ 何のことを言っているのかさっぱりね」
美月「三浦さん、よっぽど動揺してるんだわ」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
美月「大丈夫よ、みんな そんなに不安そうな顔しないで」
美月「これは呪いでも他殺でもない ・・・不幸が重なってしまったのよ」
美月「次に誰かが死ぬなんて・・・ありえないわ」
凛「・・・そう、だよね・・・」
結衣「・・・・・・」
美月「・・・あ、いけない、もうこんな時間」
美月「ごめんなさい、香穂ちゃん、凛ちゃん 私は先に帰るわね」
香穂「あ・・・うん、分かった」
凛「また明日ね、美月ちゃん」
美月「ええ、また明日」
  美月が帰ったあと、4人はまだ、その場から動けずにいた。
「・・・・・・・・・・・・」
凛「・・・なんか、すっごいモヤモヤする・・・」
凛「次に死ぬ人とか、化けの皮が剥がれるとか ・・・三浦さんの言葉、意味不明すぎて」
香穂「・・・そうだね・・・」
結衣「・・・葵ちゃん・・・ごめんね・・・」
葵「なんで結衣が謝るの?」
結衣「私のせいで・・・葵ちゃん、三浦さんにあんなこと言われちゃって・・・」
結衣「殺したんじゃないかとか・・・ 嫌だったよね・・・」
葵「気にしなくていいよ 結衣が悪いわけじゃないから」
葵「正直・・・動機もチャンスも誰にでもあるっていうのには、同意だしね」
結衣「葵ちゃん・・・」
香穂「金子さんも、来栖さんと市村さんは自殺じゃなくて、誰かに殺されたって思ってるの?」
葵「・・・まあ、そう考えるのが自然かなって」
葵「立て続けに亡くなるって、普通じゃないし ・・・それに、自殺の理由も思い浮かばない」
葵「かと言って、噂になってるみたいに、呪い殺されたとは思わないしね」
葵「あの二人には申し訳ないけど・・・ 動機は誰にでもあると思う」
葵「もちろん、私にもね」
葵「・・・まあそもそも、この学校の人間に殺されたとは限らないんだけどさ」
「・・・・・・・・・・・・」
凛「・・・ちょっと、話は変わるけど」
凛「美月ちゃん・・・ 少し様子がおかしい気がしたの、私だけかな」
香穂「え・・・? 美月ちゃんが・・・?」
凛「うん・・・さっきね」
凛「三浦さんが『化けの皮ももうすぐ剥がれる』って言ったとき」
凛「美月ちゃんが、今まで見たことないくらい怖い顔で、三浦さんのこと睨んでたのが見えて」
凛「どうしたんだろうって思って・・・」
凛「美月ちゃん、この前からずっと、”呪い”って言葉にやたら反応してるし」
凛「なにか、知ってるのかな・・・?」
香穂「・・・うーん・・・」
葵「知ってるとしたら、それは・・・ 隠したい何か、なのかもしれないね」
葵「一生懸命、触れられないようにしてる、とか」
葵「・・・まあ、ただの私の推測だけど」
「・・・・・・・・・・・・」
葵「・・・今ここで言うことじゃないかもだけど」
葵「一ノ瀬さんの笑顔って、いつも作り物みたいで・・・私、苦手なんだよね」
葵「あんな感じだから本心が読みづらいというか」
葵「彼女の言ってることって・・・ どこまで本当のことなのかな──────」

〇散らかった職員室
  その頃───
  ───職員室
小野「───久保田先生」
久保田「・・・ん? ああ、小野先生・・・」
小野「だいぶお疲れのようですが・・・ 大丈夫ですか」
久保田「まあ、あまり大丈夫ではありませんよ」
久保田「やらなければならないことが多すぎてね」
小野「・・・そうですか・・・ ご無理はなさらずに」
久保田「ええ、まあ、気を付けますよ」
小野「あの・・・久保田先生 そんな大変なときに、申し訳ないのですが」
小野「ちょっと、お聞きしたいことがありまして」
久保田「なんでしょう?」
小野「・・・1年半前の」
小野「松山楓さんが亡くなった時のことです」
久保田「・・・・・・・・・・・・」
小野「あのとき、何があったのか」
小野「もう一度、詳しく聞かせてもらえませんか」
久保田「・・・・・・・・・・・・」
小野「・・・久保田先生──────」
久保田「───勘弁してください」
小野「・・・・・・」
久保田「なぜそんなことを今更聞きたがるのか 私には分かりませんが」
久保田「もう終わったことです ・・・蒸し返す必要もないでしょうに」
久保田「すみませんが、仕事に戻りますよ」
小野「・・・・・・・・・」

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