ペルソナの微笑

鳳条

第11話(脚本)

ペルソナの微笑

鳳条

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〇教室
  翌日───
  ───3年A組
美月「───凛ちゃん、香穂ちゃん、おはよう」
香穂「おはよう」
凛「おはよー美月ちゃん!」
美月「なんだか、今日は朝から学校が騒がしい気がしない?」
美月「先生たちがバタバタしてるっていうか・・・」
凛「私たちもちょうどその話をしてたんだよ」
香穂「なんか、ただならぬ雰囲気だよねって・・・」
美月「また、なにかあったのかしら・・・」
凛「・・・そうじゃないことを祈るよ」
香穂「うん・・・」

〇教室
  ───3年B組
結衣「───葵ちゃん、おはよう」
葵「・・・結衣!おはよう」
葵「今日は朝から来られたんだね」
結衣「うん・・・なんとか・・・」
結衣「・・・あ・・・」
  結衣は何かを心配するような、恐れるような表情で教室を見回す。
葵「・・・市村なら、今日はまだ来てないよ」
結衣「・・・あ・・・そ、そっか・・・」
葵「この時間まで来てないのも珍しいけど」
葵「まあ、彼女がいないと・・・ 教室がやたら静かだよね」
結衣「・・・そうだね・・・」
桃「・・・・・・」
桃(・・・おかしい、妃奈さんがまだ来ない)
桃(いつもこの時間には必ず来てるのに・・・)
桃(それに・・・先生たちの慌ただしさ)
桃(この空気・・・似てる・・・)
桃(・・・来栖さんが亡くなった日と、似てる)
桃「・・・・・・・・・」
桃(・・・まさか、そんなわけ・・・ ・・・ない、よね・・・?)
  そのとき、少し顔色の悪い久保田が、教室に入ってきた。
久保田「・・・全員席に着きなさい」
久保田「大事な話がある ・・・静かに座りなさい」
葵「・・・なんだろう、大事な話って」
結衣「・・・・・・・・・」
桃(・・・どうしよう・・・)
桃(嫌な予感がする──────)

〇教室
久保田「・・・静かに聞いてほしい」
久保田「うちのクラスの、市村妃奈だが───」
久保田「────亡くなった」
生徒「え・・・市村さんが・・・!?」
生徒「どういうこと・・・!?」
「・・・・・・・・・」
桃「・・・・・・うそ・・・・・・」
久保田「・・・川で亡くなっていたそうだ」
久保田「河川敷で、鞄と靴が見つかってる」
久保田「まだ詳しいことは分かっていないが・・・」
生徒「うそ、自殺ってこと・・・!?」
生徒「なんで市村さんが・・・?」
久保田「ショックだとは思うが・・・」
久保田「なにかあれば、先生たちに言いなさい」
久保田「そして、このことについて無闇に詮索したり 確実でない情報は広めないこと・・・いいな」

〇教室
  ───3年A組
今井「───B組の市村妃奈さんが、亡くなったそうです」
今井「みんなには、辛いことだと思うけど───」
凛「・・・来栖さんの次は、市村さん・・・?」
凛「なんでこんな、立て続けに・・・」
美月「・・・・・・・・・・・・」

〇教室
香穂「・・・・・・」
凛「・・・香穂ちゃん?大丈夫?」
香穂「あ、うん・・・大丈夫」
香穂「ただ・・・ こんなに立て続けに人が亡くなるなんて」
凛「・・・そうだよね・・・」
凛「来栖さんが亡くなって、まだ1ヶ月も経ってないのに────」
美月「───香穂ちゃん、凛ちゃん」
香穂「あ・・・美月ちゃん」
美月「二人とも、大丈夫・・・?」
凛「大丈夫だよ ・・・かなり、びっくりはしてるけど」
美月「そうよね・・・私も驚いてるわ」
美月「どうして市村さん、自殺なんて・・・ そんなふうに見えなかったのに」
「・・・・・・・・・・・・」

〇散らかった職員室
  ───職員室
久保田「・・・はぁ・・・」
今井「───大丈夫ですか、久保田先生」
久保田「・・・ええ、まあ」
久保田「しかし・・・ 同じ学年で、立て続けに二人とは」
今井「・・・そうですね・・・」
今井「何か対策をした方がいいかもしれません」
今井「来栖さんと市村さんの件が、他の生徒たちに影響しないとも限らな────」
久保田「何をどう対策しろと? 自殺を事前に止められるなら苦労しませんよ」
今井「ですが・・・・・・」
久保田「今回はまだ現場が学校でなくて良かったが ・・・こちらも仕事を増やされては困る」
今井「・・・! そんな言い方・・・!」
今井「学校じゃなかったから良いって、そういう問題ですか!?」
今井「生徒が亡くなってるんですよ!?」
久保田「だかそれを我々のせいにされても困る そういう話をしているんです」
今井「そんな態度、亡くなった生徒のご家族に失礼だと思わないんですか!?」
久保田「・・・じゃあ今井先生、あなたは 二人が死んだ責任を取りきれるんですか?」
今井「私は責任の話をしているんじゃありません! これ以上同じことが起きないために───」
久保田「同じことですよ、これ以上死人が出ればそれこそ、学校の名誉に関わる」
今井「──────ッ!!」
今井「・・・・・・もういいです 話しても無駄でしょう」
今井「とにかく私は生徒たちの心のケアを考えます ・・・私は、私のやり方でやります」
今井「久保田先生は、先生なりのやり方でどうぞ」
今井「失礼します」
  そのまま、今井は職員室を出て行く。
久保田「・・・はぁ・・・」
久保田「寄り添うだの、真摯に向き合うだの ・・・若いうちは綺麗事が言えていいな」

〇教室
  ───3年B組
生徒「───三浦さんって、今日も休み?」
生徒「ああ、朝から来てないもんね」
生徒「体調不良らしいけどさ・・・ほんとかな?」
生徒「・・・え?どういうこと?」
生徒「・・・ほら、三浦さんってさ、市村さんにいじめられてたでしょ・・・?」
生徒「もしかしたら、それに耐えきれなくて──」
  生徒たちがそんな話をしていると、教室のドアが開いた。
一花「・・・・・・・・・」
生徒「・・・わ、来た・・・」
生徒「え、ちょ、今の聞かれてないよね・・・?」
一花「・・・・・・・・・」
  一花は黙って自分の席に座った。
  しかし、いつものように読書をすることはなく、じっと下を見て座っている。
一花「・・・あれ・・・?」
  ふと一花は、何かに気付いたように、教室を見回し始めた。
一花「・・・市村さんは?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
一花「・・・佐々木さんもいない・・・ 二人とも・・・休み・・・?」
生徒「・・・教えた方がいい感じ・・・?」
生徒「・・・誰か言ってあげなよ」
生徒「え、私は嫌だよ・・・」
一花「・・・・・・?」
葵「────市村さんは、亡くなったんだって」
葵「今朝、久保田先生から伝えられた」
一花「・・・・・・・・・・・・え?」
一花「亡く、なった・・・・・・? 市村さん、が・・・・・・・・・?」
葵「川で亡くなったって言ってた」
葵「佐々木さんはそれを聞いて、かなりショックを受けたみたいで・・・」
葵「具合が悪いって言って、今日は早退した」
一花「・・・・・・・・・・・・」
一花「市村が・・・死んだ・・・・・・?」
一花「・・・・・・・・・・・・」
一花「・・・・・・・・・・・・あは」
葵「・・・・・・え?」
一花「ふふふ、あはは・・・・・・ あはははははは・・・!!!!」
葵「・・・・・・!?」
生徒「・・・え・・・なんで笑ってんの・・・?」
生徒「ちょっと・・・怖いんだけど・・・」
一花「あはは・・・だって・・・!」
一花「死んで当然だよ、あんなやつ・・・!! やっといなくなった、やっと解放された!!」
一花「あはははははは・・・ッ!!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・」

〇可愛い部屋
  その頃───
  ───佐々木家・桃の部屋
桃の母「───桃、大丈夫?」
桃の母「今日は、お部屋でゆっくり休みなさい」
桃「・・・・・・うん、ありがとう」
  母親が部屋を出ると、桃はスマートフォンを取り出した。
桃(さっき気付いたけど────)
桃(昨日の夕方、妃奈さんから留守電が入ってた)
桃「・・・聞いてみよう」
  桃はスマートフォンを操作し、妃奈からの留守電を再生する。
妃奈「────・・・ちょっと、佐々木!! 電話出なさいよ!!」
妃奈「この電話気付いたら、すぐ折り返して!!」
妃奈「あんたも覚えてるわよね?────」
妃奈「───松山楓のこと!!!!」
桃「・・・・・・・・・ッ!!!!!!」
  その名前を聞いた途端、桃の顔が青ざめる。
妃奈「私、今日───あいつに”呼び出された”の!!」
妃奈「あんたもこれ聞いたらすぐ来なさい!! 場所は学校近くの橋!!」
  ──留守電は、そこで終わっていた。
桃「・・・・・・・・・」
桃「・・・松山・・・楓・・・」
桃「・・・妃奈さん、まさか・・・」
桃「・・・・・・・・・」
桃「・・・のせいだ・・・」
桃「・・・私の、せいだ・・・!!」

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