ペルソナの微笑

鳳条

第9話(脚本)

ペルソナの微笑

鳳条

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〇教室
  数日後───
  ───3年B組、休み時間
生徒「───・・・やっぱり来栖綾香って自殺?」
生徒「そうなんじゃない? 先生たちはなんにも言わないけど・・・」
生徒「自殺するようなことあったのかなぁ・・・」
妃奈「・・・・・・」
桃(・・・妃奈さん、明らかに不機嫌・・・)
桃(どうしてだろう、来栖さんが亡くなってからずっとこんな感じ・・・)
桃(来栖さんの話題が出るのを、嫌がってるみたいな───)
生徒「───でもさぁ、正直来栖綾香って嫌われてたじゃん?」
生徒「もしかしたら誰かと揉めて、突き落とされた ・・・なんてことない?」
生徒「え、ちょ、やめてよ・・・! 不謹慎だし・・・!」
妃奈「───・・・あーもう、気分悪い!」
  妃奈は突然、怒ったように教室を出ていってしまう。
桃「あ、ちょ、妃奈さん・・・!?」

〇広い廊下
妃奈「・・・マジでなんなんだよ・・・」
妃奈「ふざけんなっつーの・・・!」
桃「ひ、妃奈さーん! 待ってくださーい!」
妃奈「・・・なに?」
桃「あ、いや・・・ 急に教室を出て行っちゃうから・・・」
桃「あの・・・なにかありましたか・・・?」
妃奈「・・・別に、なんにもないけど」
妃奈「ただ教室の空気が嫌だっただけ どこに行こうが私の自由でしょ?」
桃「あ、そ、そうですよね・・・ すみません・・・」
桃「・・・でも・・・あの────」
妃奈「──うるさいな!しつこいんだよ! なにもないって言ってるでしょ!?」
桃「え・・・あ・・・」
桃「・・・す、すみません・・・」
妃奈「今日はついてこないで、一人にしてよ」
桃「は、はい・・・」
桃「・・・・・・・・・」

〇広い廊下
妃奈「・・・・・・・・・」

〇可愛らしい部屋
  来栖綾香の亡くなる前日───
  ───妃奈の部屋
妃奈「───・・・ん?」
妃奈「電話・・・? 誰よ、こんな時間に────」
妃奈「───もしもし?」
綾香「───あ・・・市村さん?」
妃奈「・・・・・・ ・・・来栖?」
妃奈「なによ、いきなり 連絡寄越さないでって言ったわよね?」
綾香「ごめん、それは分かってたけど・・・ でも、あの・・・ちょっと大変なの」
妃奈「はぁ? 大変って、なにが大変なのよ?」
綾香「あの・・・ 誰かの、悪戯かもしれないんだけど・・・」
綾香「実は────」

〇広い廊下
妃奈「・・・・・・」
妃奈「・・・マジでなんなのよ、どいつもこいつも」
妃奈「ふざけないでよ────」
妃奈「────ん?」
  妃奈は、向かい側から歩いてくる一花を見つける。
妃奈「───ちょっと、三浦!!」
一花「・・・ッ・・・!!」
妃奈「・・・あんた、今日の放課後、私のところに来なさいよ」
一花「・・・え・・・いや・・・」
一花「今日は・・・用事があるから・・・」
妃奈「はぁ?なによ、拒否るわけ?」
一花「・・・あ、えっと・・・」
妃奈「私が来いって言ったら来なさいよ 分かった?」
一花「・・・わ、分かった・・・」
妃奈「逃げたら許さないからね 絶対来なさいよ!」
一花「・・・・・・・・・」

〇散らかった職員室
  放課後───
  ───職員室
美月「───失礼します、3年A組の一ノ瀬です」
美月「今井先生いらっしゃいますか」
今井「───はい、ここよ」
美月「日誌を提出しに伺いました」
今井「ご苦労さま、受け取るわね」
美月「よろしくお願いします」
今井「一ノ瀬さん、体調を崩したりしていない? なにか不安なこととか、ないかしら?」
美月「私は大丈夫です」
今井「そう・・・なら良かったわ」
今井「クラスの中には、やっぱり精神的にダメージを受けている子もいるから」
今井「もしなにかあったら、我慢せず言ってね」
美月「はい、ありがとうございます」
美月「・・・先生も、大丈夫ですか? あまり顔色が良くないです・・・」
美月「先生も、ご無理なさらないでくださいね」
今井「・・・ええ、ありがとう、私は大丈夫よ」
今井「それじゃ、気を付けて帰ってね また明日」
美月「はい、さようなら」

〇広い廊下
美月「・・・ふぅ」
美月「雨、止まないわね・・・」
美月「・・・・・・」
美月「・・・・・・・・・・・・」
美月「・・・はぁ・・・」

〇女子トイレ
  その頃───
  ───女子トイレ
  誰もいない、電気もついていないトイレで
  妃奈は座り込む一花に、バケツの水を浴びせかけていた。
一花「───・・・っ・・・」
妃奈「あーあ、水も滴るいい女って感じ?」
妃奈「ま、いい女だなんて思ったことないけどね」
一花「・・・・・・・・・」
妃奈「・・・なによその目、文句でもあるわけ?」
一花「・・・・・・・・・」
妃奈「ムカつくんだけど なによ、地味で根暗な三浦のくせに」
妃奈「あんた見てるとイラつくのよ」
  そう言って、妃奈はまた水を浴びせる。
一花「・・・っ・・・」
妃奈「・・・あ、そういえば」
妃奈「鞄貸しなさいよ、あんたの鞄」
一花「・・・な、なんで・・・」
妃奈「いいから貸しなさいっての」
一花「・・・・・・・・・」
  一花が自分の鞄を渡すと、妃奈は中を漁り始める。
妃奈「・・・あんた、いつも休み時間に本読んでるわよね?」
妃奈「・・・ああ、これかしら」
一花「・・・あ・・・それは・・・」
妃奈「本読んでる時のあんたって暗くてキモいのよ」
妃奈「ただでさえ暗いのにさ ・・・・・・ふん」
  そう言うと、妃奈は一花の鞄から取り出した本を、トイレの便器の中へ放り投げた。
一花「・・・あ・・・!!」
妃奈「はー・・・だいぶスッキリした」
一花「・・・な・・・なんで・・・」
妃奈「あ、この辺汚れたから掃除しときなさいよね」
妃奈「私は帰るから────じゃあね」
  一花の鞄を放り捨て、妃奈は帰っていく。
一花「・・・・・・・・・・・・」
一花「・・・・・・・・・・・・」
一花「・・・・・・てやる・・・・・・」
一花「・・・・・・殺してやる・・・・・・」

〇シックなリビング
  その日の夜───
  ───市村家
妃奈「───ねぇ、ママ?」
妃奈の母「あら、なぁに?妃奈ちゃん」
妃奈「あのね、私の好きなブランドから、今度新作のバッグが出るの」
妃奈「どうしてもほしいんだけど・・・」
妃奈の母「あら、それならパパにお願いしてみたら?」
妃奈の母「きっと買ってくれるわよ」
妃奈の父「ん?どうしたんだ?妃奈」
妃奈「ねぇパパ、このバッグ欲しいんだけど・・・」
妃奈の父「なんだなんだ、バッグの一つや二つ、パパが買ってやるさ」
妃奈「ほんと?やった! ありがとうパパ〜!」
妃奈の母「このバッグ、きっと妃奈ちゃんに似合うわね 届くのが楽しみだわ」
妃奈(・・・ふふ、幸せ)
妃奈(優しいパパとママがいて、お金もあって)
妃奈(みんな私のいうこと聞いてくれるんだもの)
妃奈の父「そういえば妃奈、最近学校はどうだ?」
妃奈「順調だよ、毎日楽しいし」
妃奈「まあ、うざいやつもいるけどね」
妃奈の母「そうなの、可哀想にね 嫌なことがあったらすぐに言うのよ?」
妃奈の父「学校だろうがなんだろうが、パパがどうにでもしてやるからな」
妃奈「うん、ありがとう!パパもママも大好き!」
妃奈(・・・さーて────)
妃奈(明日は三浦にどんなことしてやろうかな──)

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