ペルソナの微笑

鳳条

第8話(脚本)

ペルソナの微笑

鳳条

今すぐ読む

ペルソナの微笑
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇散らかった職員室
  数日後──
  ───職員室
今井「───おはようございます」
久保田「・・・ああ、今井先生」
久保田「大丈夫ですか、だいぶ顔が疲れてますが」
今井「・・・最近、あまり眠れなくて」
今井「警察の方とも話して・・・ ・・・来栖さんの、ご家族とも・・・」
久保田「・・・そうですか、ご苦労さまです」
今井「・・・ご家族は、綾香さんが何かに悩んでいるようには見えなかったと」
今井「前日夜遅く、コンビニへ買い物に出て・・・ そのまま帰ってこなかったため警察へ連絡」
今井「・・・翌日朝、学校で倒れていたのを発見されたそうです」
久保田「・・・まあ、親に言えない悩みの一つや二つあったのではないでしょうかね」
久保田「警察は、自殺でない可能性も視野に入れて捜査しているそうですが・・・」
久保田「わざわざ深夜に学校に忍び込んで、丁寧に教室に上履きも揃えておいて」
久保田「申し訳ないが、これは自殺だと思いますよ」
今井「・・・・・・」
今井「・・・私が、何かに気付けていれば」
久保田「自分を責めすぎてはいけませんよ」
久保田「子どもの考えることはよく分かりませんから ・・・この年頃の子どもたちは特にね」
今井「・・・教師が、亡くなった生徒に対してそんなことを言っていいものでしょうか」
久保田「教師であれど、生徒たちの心を全て理解するのは不可能ですよ」
久保田「だから、自分のせいだと思う必要はないと申し上げたまで」
今井「・・・・・・」

〇美術室
  放課後───
  ───美術室
香穂「・・・・・・」
  香穂は黙々と、キャンバスに向かって絵を描いている。
  その横で、真っ白なキャンバスと睨めっこをしている凛。
凛「───うーん、だめだ・・・ 全ッッ然アイデア浮かばない・・・」
凛「なんか、集中力続かないっていうか・・・ 落ち着かないっていうか・・・」
香穂「・・・あんなことがあったし、仕方ないよ」
香穂「結衣ちゃんも、あれから学校来てないみたいだし・・・」
凛「そうなんだよねー・・・」
凛「来栖さんが亡くなったってことは、金子さんから聞いたみたいだけど」
凛「やっぱりショックだったのかもね・・・」
香穂「・・・そうだね・・・」
  2人が話していると美術室のドアが開いた。
浅川「───こんにちは、順調かしら?」
  入ってきたのは、美術部顧問の浅川。
凛「あ、浅川先生〜!」
香穂「こんにちは」
浅川「ごめんなさいね、最近部活に顔出せなくて」
浅川「コンクールに向けての作品は進んでる?」
香穂「はい・・・なんとか」
凛「私は、あんまり・・・」
凛「なんか、集中しきれないというか・・・」
浅川「そう・・・」
浅川「3年生は・・・あんなことがあったものね」
浅川「しかも、亡くなった子は岩崎さんたちのクラスメイトだったみたいだし・・・」
浅川「きっと・・・心が疲れてるんだと思うわ」
浅川「明るい気持ちには、なれないわよね・・・」
凛「・・・はい・・・」
浅川「今は気持ちが落ち着かなくて当たり前よ 無理に作品に向き合う必要はないわ」
浅川「少しずつ進めていきましょう 私もそばにいるからね」
「はい・・・!」
浅川「・・・あら、相澤さんの絵、色合いが素敵ね」
浅川「絵のタッチも柔らかくて繊細というか・・・ なんだか懐かしくなるような絵だわ」
香穂「あ、ありがとうございます・・・!」
浅川「もしかしたら、コンクール上位も狙えるかもしれないわね」
浅川「頑張ってね、相澤さん」
香穂「はい・・・!」
浅川「・・・あら、そういえば佐藤さんは?」
浅川「今日は来てないのかしら?」
凛「あー・・・結衣ちゃんは・・・」
凛「今、ちょっと不登校みたくなっちゃってて」
凛「この前、ちょっと部活に顔を出してくれたんですけど、今日は来てないみたいです」
浅川「あら・・・そうだったの、大変ね・・・」
浅川「来られるといいんだけど・・・」
浅川「もし今度会えたら、私も心配してるって伝えておいてくれる?」
凛「分かりました、伝えておきます」

〇体育館の中
  その頃───
  ───体育館
  体育館では、バスケットボール部が部活をしている。
  休憩中らしく、話している生徒たちもいる中
  金子葵は、黙々とシュート練習をしていた。
葵「・・・・・・」
部員「───・・・ねえ、そういえばさ」
部員「A組の来栖綾香って、なんで自殺したの?」
部員「えー、あれってほんとに自殺なの?」
部員「分かんないけど、ほぼ自殺じゃない? 教室に上履き置いてあったんでしょ?」
部員「窓から飛び降りたんじゃないかって、A組の子も言ってたよ」
部員「へー、そうなんだ」
部員「テストの順位見て得意気にしてたのにね なんで自殺なんかしたんだろ」
部員「ねー、葵はどう思う?」
葵「・・・私?」
部員「来栖綾香、なんで死んだんだと思う?」
葵「・・・・・・」
葵「・・・さあね 私にはよく分からないから何も言えないよ」
部員「だよねー・・・」
葵「・・・・・・・・・」

〇学校の屋上
  ───屋上
蘭「・・・・・・」
蘭「・・・よし、クリア・・・っと」
蘭「はぁ・・・そろそろ帰ろうかな」
蘭「・・・・・・」

〇教室
今井「──来栖綾香さんが、今朝、亡くなりました」

〇学校の屋上
蘭「・・・・・・」

〇黒
???「───あのね、私・・・」
???「実は・・・嫌がらせをされてて────」

〇学校の屋上
蘭「・・・はぁ・・・」
蘭「・・・・・・・・・」

次のエピソード:第9話

成分キーワード

ページTOPへ