交代奴隷

L-eye

また来よう・・・(脚本)

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〇役場の会議室
高木「じゃあ次、きっかけ・・・」
高木「は聞くまでもないね」
名俣「私ですからね」
高木「・・・じゃあ次の質問です」
ベネ「・・・はい」
高木「あなたはここに入って、 何をしたいと思いますか?」
ベネ「・・・・・・・・・」
ベネ「私は──」
ベネ「私は、この会社に入社しても、 しばらくは役に立たないと思います」
ベネ「ですが、この会社の体験を通じて・・・ 自らの奴隷経験で培った力を、 奴隷としてではなく対等に使いたい」
高木「・・・ふむ」
ベネ「そして、ゆくゆくは・・・」
ベネ「ゆくゆくは、奴隷制度を撤廃したいです」
高木「・・・・・・なるほど」
名俣「ベネちゃん・・・」
名俣「無理じゃない?」
ベネ「・・・え?」
名俣「いや「え?」じゃなくて」
名俣「・・・えっとさ、 そもそもなんで奴隷が契約制度になったか知ってる?」
ベネ「え、えっと・・・」
名俣「奴隷制度って元々貴族が作った物でさ。貧しい人に住む場所や権利を与える対価として労働させる事を奴隷と呼んだ事が始まりなん」
名俣「だよね。つまりお互いに利益があるから今も続いてる訳で。ベネちゃんだってこうして買われてなかったら住む場所もなかったかもし」
名俣「れないんだよ。奴隷制度をなくしたらその奴隷側の対価がなくなる。貴族より奴隷にデメリットがあるから完全になくすって言うのは」
名俣「無理かな。まだ『対等な労働関係』とかならわからなくもないけど。何にせよその発言が出るのは世間を知らなさすぎ。まあ長い──」
ベネ「っ『命令!私を連れてここを出ろ!』」
名俣「うぐっ・・・!」
  名俣はベネを抱き上げ、
  お姫様抱っこで会社を出た。

〇繁華な通り
名俣「良いとこだったのに・・・」
ベネ「何が良い所ですか!」
ベネ「最悪ですよ! 想いを真っ向から否定されて」
名俣「だって・・・」
ベネ「奴隷の垣根をなくす事が夢だったのに!」
名俣「・・・それにしては、 ノリノリで『命令』してるじゃん」
ベネ「それとこれとは話が別です!」
名俣(どう別なんだろう)
ベネ「私は、奴隷の垣根を超える関係を築きたかったんです。その為に・・・」
ベネ「その為に勇気を出して、 想いを告白したのに!」
ベネ「その告白も真っ向から否定されて・・・」
モブA「なんだ・・・あれ?」
モブB「さあ・・・ 『告白』って言ってたし、 振られたんじゃね?」
モブC「可哀想・・・」
ベネ「うっ・・・」
名俣「なにこの集まり」
ベネ「・・・私が大声で話したばっかりに、 周りにがっつり聞かれてしまいました」
ベネ「しかも、なんか違う意味に思われてます」
名俣「違う意味?」
ベネ「とにかく!ここもダメです!」
ベネ「『命令:私を連れて、近場の映画館に!』」
名俣「うぐ、また使った!」
  名俣の手足は命令に従って動き出す。
ベネ「キャッ!!」
ベネ(またお姫様抱っこー!)
ベネ(っていうかこう命令したら、 こう(お姫様抱っこに)なるんだったー!)
名俣「・・・これ止まんないだろうから、 しっかり捕まっててね」
ベネ「・・・!!」

〇ソーダ
  (ベネ視点)
名俣「・・・しっかり捕まっててね、ベネちゃん」

〇繁華な通り
ベネ「は・・・はいいい!!!」
モブA「・・・やっぱカップルだよなあれ」

〇映画館の入場口
名俣「ゼェ・・・ハァ・・・ゼェ・・・」
名俣(・・・きっつ!)
名俣(まさか担ぎ上げたままノンストップで全力ダッシュするとは思わなかった)
名俣(こりゃあちょっとしんどいかも・・・)
ベネ「ゼェ・・・ハァ・・・ゼェ・・・」
名俣「え、なんであんたも疲れてんの?」
ベネ「の、乗り物酔いで・・・うっぷ」
名俣(私、乗り物だったかー・・・)
ベネ「と、とにかく、 来たからには入りましょう・・・」

〇映画館のロビー
ベネ「えっと・・・大人2枚で!」
チケット売り「はーいどうぞー」
ベネ「よし、買えた」
ベネ「あとはポップコーン買って、席に座るだけ!」
ベネ「初めてやった割には完璧!」
名俣「そんな事より足痛い・・・ おぶって・・・」
ベネ「あの、本当に自分が奴隷だって事忘れてません?」

〇映画館の座席
  お父さん・・・行かないで・・・
ベネ「うっ・・・ぐすっ・・・・・・」
名俣「・・・・・・」
  お前は生きろ!生きて・・・
ベネ「う・・・ひっぐ・・・」

〇映画館のロビー
ベネ「うう・・・あんなに泣けるなんて・・・」
名俣(あんなに美味しいなんて・・・)
(また来よう・・・)

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