第7話(脚本)
〇通学路
翌日────
凛「───香穂ちゃん!おはよう!」
香穂「あ、凛ちゃん、おはよう」
凛「こんなところで会えるなんてラッキー! 一緒に学校まで行こ!」
香穂「うん、そうしよう」
〇名門の学校
凛「───あれ、なんか・・・」
凛「学校の前、騒がしくない・・・?」
香穂「そうだね・・・ なんだか、人だかりができてるし・・・」
凛「有名人でも来てるのかな・・・? そんなわけないか・・・」
香穂「・・・あれ、あそこに見えるのって・・・」
香穂がグラウンドの方に目をやる。
グラウンド沿いの道路の方に、赤いサイレンが点灯しているのが見えた。
凛「・・・え、うそ、救急車!?」
香穂「パトカーもいるよ・・・?」
凛「えー、なにかあったのかなぁ・・・?」
香穂「うーん・・・ なんだか不安だね・・・」
凛「とりあえず教室行こっか・・・」
〇教室
───3年A組
凛「おはようー」
香穂「おはよう」
二人が教室に入ると、何やらざわついているのが分かった。
生徒「───ねぇ聞いた?今朝────」
生徒「───うそ、マジで!?やばくない!?───」
凛「・・・やっぱりなにかあったみたいだね」
香穂「うん・・・」
美月「───あ、凛ちゃん、香穂ちゃん・・・」
香穂「あ、おはよう美月ちゃん」
美月「・・・おはよう」
凛「ねぇ、なにかあったの? 救急車とかパトカー来てるし、騒がしいし」
美月「・・・・・・」
香穂「・・・? 美月ちゃん・・・?」
美月「・・・私の口から、言っていいのか分からないんだけれど」
美月「あのね、来栖さんが────」
美月「───飛び降りた、みたいなの」
「・・・え・・・!?」
美月「・・・今朝、朝練習のために学校に来た生徒が、倒れている来栖さんを見つけたそうよ」
美月「靴は履いていなくて・・・ この教室の窓が開いていたみたいだから」
美月「・・・飛び降りたんじゃないか、って・・・」
凛「・・・じゃあ、救急車とかパトカーが来てるのって、それ・・・?」
香穂「・・・・・・・・・」
今井「───みんな、ホームルーム始めるわ 自分の席について」
生徒「先生、何があったんですか?」
生徒「来栖さんが倒れてたって本当ですか?」
今井「・・・・・・・・・」
今井「・・・今から、ちゃんと説明するわ」
今井「全員席についてちょうだい」
〇教室
今井「・・・・・・」
今井「・・・まず、みんなに伝えなきゃいけないことがあるわ」
今井「来栖綾香さんが────」
今井「───今朝、亡くなりました」
生徒「え、うそでしょ・・・?」
生徒「なんで・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
蘭「・・・・・・・・・」
今井「・・・みんなにはショックが大きいと思う」
今井「だから、もし気持ちが辛くなってしまったら遠慮なく、私でも誰でも、言ってみてほしい」
今井「1人で抱え込まないでほしいわ」
今井「・・・それでね」
今井「来栖さんのことについて、私たちもまだ正確なことが分かっていないの」
今井「だから、みんなにもお願い ・・・憶測を広めたりはしないで」
今井「真実でないかもしれないことが広まることによって、傷付く人もいるから」
今井「もし何か、知っていることがあったら 私や他の先生に教えてちょうだい」
今井「なんでもいいわ、どんな小さなことでも ・・・お願いね」
〇教室
───3年B組
久保田「───何か知っていることがあれば、教員に伝えるように」
久保田「今日はこの後、臨時休校とする 授業も部活も全て中止だ」
久保田「速やかに帰りなさい、いいな────」
生徒「───え、来栖さんってA組の・・・?」
生徒「昨日も普通に学校来てたよね・・・?」
妃奈「・・・・・・・・・」
桃「・・・ひ、妃奈さん・・・? 大丈夫ですか・・・?」
妃奈「・・・・・・・・・」
生徒「──A組の窓が空いてて、教室に上履きも残ってたみたい」
生徒「え、やば・・・自殺確定じゃない?」
葵「・・・・・・」
葵(・・・自殺、か・・・)
〇郊外の道路
その後───
帰宅途中の香穂、凛、美月の3人。
凛「・・・・・・」
美月「・・・・・・」
香穂「・・・・・・」
凛「・・・なんで、来栖さん・・・」
凛「自殺するようには、見えなかったけど・・・」
香穂「・・・そうだよね」
美月「まだ、自殺と決まったわけではないけれど ・・・どうして亡くなったのかしら」
美月「クラスメイトが亡くなるなんて・・・辛いわ」
香穂「・・・うん」
美月「香穂ちゃんなんて、転校してきたばかりなのにこんなことになって・・・」
美月「辛いでしょう?大丈夫・・・?」
香穂「・・・大丈夫だよ、ありがとう」
凛「・・・もし、本当に自殺だとして」
凛「なにか、思い詰めちゃうようなことがあったのかな・・・?」
〇美術室
結衣「───実は私・・・来栖さんに・・・ 嫌がらせを・・・されてるの」
〇教室
綾香「あんたなんかが私より上に行くなんて ・・・そんなのありえない」
〇郊外の道路
「・・・・・・・・・」
美月「・・・やめましょう、この話は」
美月「先生も、憶測を広めないでと言っていたし」
美月「・・・私たちに、出来ることはないわ」
凛「・・・そう、だね・・・」
美月「きっと警察が介入するはずよ ・・・大人に任せましょう」
美月「全て分かったら、私たちにも伝えてくれるかもしれないし────」
美月「そうでなかったとしても、それは仕方のないことだわ」
香穂「・・・うん・・・」
美月「・・・あ、ごめんなさい 私はこっちを曲がって帰るわね」
凛「うん、分かった・・・またね」
香穂「またね、美月ちゃん」
美月「ええ、また明日」
凛「・・・でも、なんか複雑だね」
凛「来栖さんが結衣ちゃんにやったことは許せないけど・・・でも」
凛「亡くなるっていうのは、さすがに・・・」
香穂「・・・うん・・・」
香穂「・・・・・・」
凛「・・・・・・」
凛「・・・ごめん、また暗くしちゃった」
凛「美月ちゃんの言う通りだね 今話してても、何か出来るわけじゃないし」
凛「帰ろっか、香穂ちゃん」
香穂「・・・うん、そうだね」