交代奴隷(脚本)
〇ペットショップの店内
店員「いらっしゃいませー!」
名俣「・・・・・・ふんふん」
名俣「ここが『奴隷が買える』と噂のペットショップ」
名俣「1回で良いから欲しかったのよねえ奴隷」
名俣「あ、でもでも、命令とかそんな事はしたくないの」
名俣「私はあくまで、この子たちとイチャイチャしたいだけ!」
名俣「何にもやましい事はないの!」
名俣「さあ、奴隷探しの始まりよ!」
店員「・・・・・・・・・」
店員「あの子一人で喋ってる・・・」
店員「近寄らんとこ」
〇ペットショップの店内
名俣「ここが奴隷コーナーか・・・うわ暗」
名俣「これでよし」
名俣「モフモフパワーは偉大だね」
名俣「・・・てか、色々いるなあ」
名俣はスマホの明かりを奴隷の入ったケースに向ける。
名俣「・・・売り出し中の奴隷は3人か」
名俣は1体ずつに焦点を当てる。
名俣「これが1人目か」
名俣「・・・よくいるバーディアンだね」
名俣「見た感じ、真面目なタイプなのかな?」
名俣「そして2人目が・・・」
名俣「フェアリー・・・?」
名俣「てか、ちっちゃ!!」
名俣「なくしそう・・・」
名俣「ごめん、なくします・・・ だから無理」
名俣「嫌いじゃないけど・・・ごめん」
名俣「・・・気を取り直して」
名俣「これが最後、3人目!えい!」
名俣はスマホの明かりを3番目のケースに向けた。
名俣「・・・・・・」
名俣「ふん」
名俣「ふんふん」
「ふんふんふん」
名俣「・・・・・・」
名俣「・・・良い」
名俣「めちゃくちゃに、良い!!!!」
名俣「買わなきゃ!!!」
〇女の子の一人部屋
名俣「ふふん、昨日は奮発しちゃった♪」
名俣「あとは起きるのを待つだけなんだけど・・・」
名俣「あ、起きた!」
名俣「こんにちは♪私は名俣景子」
名俣「ここはね、私のおウチ。 あなたを買ったの!」
名俣「あなた、お名前は?」
ベネ「・・・ベネです。これから──」
名俣「ベネって言うのね!よろしく!!」
名俣はベネの手を掴み、
自分の方まで持っていき握手をした。
名俣「あなたとは色々したいの」
名俣「まず2人っきりで出かけるでしょー 温泉行くでしょー 水族館見るでしょー」
名俣「それからそれから・・・」
名俣「ペチャクチャペチャクチャペチャクチャペチャクチャ・・・」
ベネ「・・・・・・・・・」
ベネ「ヤバい、変な人に買われちゃった・・・」
名俣は笑顔のまま机を叩いた。
名俣「行こう!!」
ベネ「・・・ど、」
ベネ「どこにーーーー!?」
〇ファミリーレストランの店内
ベネ「・・・で」
ベネ「いきなりファミレス行きます!?」
名俣「いきなりって・・・ じゃあ他にどこ行くのさ」
ベネ「『どこ行くの』じゃなくて!」
ベネ「奴隷ですよ!奴隷!」
ベネ「命令とか無いんですか!?」
名俣「うーん、命令かあ」
名俣「お手!」
ベネ「にゃん!」
ベネ「・・・じゃなくて!」
ベネ「もっとこう・・・ 顎で使うような・・・」
名俣「顎?」
ベネ「・・・やりたい放題するって事です!」
名俣「うーん・・・」
ベネ「なんで「うーん」なんですか」
ベネ「奴隷ですよ?奴隷が目の前に・・・」
名俣「あのさ」
ベネ「はい」
名俣「私は別に、 そんな事したくて奴隷を買った訳じゃないよ」
ベネ「・・・どういう──」
名俣「私はね、ただ奴隷ってどんな感じなのかなーって興味があっただけ」
名俣「だから命令なんてキョーミないし、 する気もない」
ベネ「・・・・・・」
ベネ(本当に変な人ーーー!!)
名俣「でもまあ、必要になったら命令するよ」
名俣「約束する」
ベネ「・・・・・・」
〇女の子の一人部屋
その夜・・・
ベネ「キャ!ちょっと何するんですか、やめてください!」
名俣「ほれほれ~ここが気持ちええのんか~ここか~」
ベネ「き、気持ちいじゃなくて、く、く・・・」
ベネ「くすぐったいです!アハハハハ!!」
ベネ(って、何やらされてんの私ー!)
名俣「ほれほれ、ここじゃろ?脇腹じゃろ?」
ベネ「アハハハ、やめてーーーーー!!!」
ベネ「って、本当に何やってるんですか!!」
名俣「何って・・・くす」
ベネ「そうじゃなくて!」
ベネ「このままだと、『時間』が来ちゃいますよ!?」
名俣「・・・時間?」
ベネ「・・・・・・え?」
ベネ「・・・まさか、知らずに買いました?」
名俣「・・・・・・」
名俣「説明書、読むべきだった!?」
ベネ「・・・説明書もお店の紹介もちゃんと読んでください」
ベネ「書いてあったでしょう、『交代奴隷』って」
名俣「・・・・・・・・・」
ベネ「書いてあったんです!」
名俣「・・・・・・はあ」
ベネ「・・・わかってないようですね」
ベネ「まあ良いです。明日にはわかりますから」
名俣「・・・」
〇黒
翌朝──
???「・・・『命令:起きろ』」
〇女の子の一人部屋
名俣「──!!」
名俣は飛び上がるようにベッドから起き上がった。
ベネ「おはようございます」
名俣「・・・お、おはよう、ベネ」
ベネ「・・・・・・」
ベネ「『命令:自分で自分を殴れ』」
名俣「・・・?」
ベネの言葉によって、名俣の右手が強く握られていく。
名俣「な、なんなの・・・?」
右手の拳は硬さを増していき、いつの間にか名俣の顔の前で腕を引いていた。
名俣「止まんない──!」
名俣「うぐっ!」
そして、その握り拳が名俣の頬に直撃した。
名俣自身の拳が、名俣を殴ったのである。
名俣「!?!?!?」
ベネ「『交代奴隷』」
ベネ「1日ごとに主従関係の入れ替わる歪な奴隷契約の形です」
名俣「・・・」
ベネ「・・・昨日、あなたはこんな事を言ってましたね」
ベネ「「命令なんて興味ない、する気もない」と」
ベネ「ですが・・・このまま奴隷を繰り返した後でも、同じ事が言えますかねぇ?」
名俣「・・・・・・」
いきなり絶体絶命!?どうする名俣!