ペルソナの微笑

鳳条

第3話(脚本)

ペルソナの微笑

鳳条

今すぐ読む

ペルソナの微笑
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇教室
  香穂が転校してきてから、数日後。
  放課後、日直だった香穂は教室で日誌を書いていた。
凛「───そうそう、そこはそんな感じで書いておけば大丈夫だよ」
香穂「ありがとう凛ちゃん、すごく助かった」
凛「これくらいお安い御用だよ〜」
凛「あとは、職員室に行って今井先生に日誌を渡せばOKだね」
香穂「うん、分かった」
凛「・・・はぁ・・・ それにしても、そろそろテストかぁ・・・」
凛「余裕と思ってたけど、意外と時間ないんだよねぇ・・・やばいなぁ・・・」
凛「香穂ちゃんどう?自信のほどは」
香穂「私も不安だよ・・・ 特に英語なんて苦手だし・・・」
凛「分かるー、私も英語めっちゃ苦手」
凛「日本人なんだしさー、英語喋れなくても生きていけるような気がするんだけど・・・」
凛「なーんでこんな難しい言語覚えなきゃいけないんだろ────」
綾香「───ちょっと、岩崎さん、転校生さん」
凛「・・・え?・・・あ、なに・・・?」
綾香「さっきから話し声がうるさいんだけど」
綾香「勉強に興味のないあなたたちと違って、私はテストに向けて勉強中なの」
綾香「集中できないから、騒ぐなら他所にして」
香穂「・・・あ・・・えっと・・・」
凛「ご、ごめんごめーん! そうだよねうるさかったよねー!」
凛「邪魔してごめんね!勉強頑張ってー!」
凛「職員室行こっか!香穂ちゃん!」
香穂「あ、うん・・・」
  凛は香穂の腕を引き、バタバタと教室を出ていく。
綾香「・・・ふん、ほんとに騒がしいんだから」
綾香「・・・馬鹿の相手って疲れるわね」

〇広い廊下
凛「・・・はぁ・・・」
凛「ごめんね、香穂ちゃん・・・ 嫌な思いさせたね・・・」
香穂「ううん、大丈夫、気にしないで」
香穂「勉強してるって気付かないで、大声で話しちゃってたから・・・」
凛「いやあれは・・・向こうが変わり者だから」
香穂「そうなの・・・?」
凛「あの子・・・来栖さんはね、なんていうか、勉強以外は興味無いって感じの子で」
凛「いつも1人で勉強しててさ まあ、それは別に良いと思うんだけど・・・」
凛「周りを見下すような発言が多いっていうか ・・・さっきのもそうなんだけどさ」
凛「『勉強に興味無いあなたたちと違って』とか いらないこと言っちゃうから・・・」
凛「なんていうか、その・・・浮いてるんだよね」
香穂「そう・・・だったんだ」
凛「さっきのも失礼しちゃうでしょ? 『転校生さん』なんて呼び方!」
凛「名前覚える気なさすぎ! 香穂ちゃんの気持ち考えなって話よ!」
凛「相手の気持ち考えるって、勉強できる出来ない以前の問題だよ、もう・・・!」
香穂「私は大丈夫だよ、気にしてないから」
凛「うーん・・・ほんとごめんね」
凛「多分、勉強の邪魔さえしなければ、なにか言ってくることはないと思うし」
凛「あまり関わらない方がいいかもね 嫌な思いしないためにも」
香穂「うん・・・分かった」

〇散らかった職員室
  ───職員室
香穂「───失礼します、3年A組の相澤です」
香穂「今井先生いらっしゃいますか?」
今井「───はい、ここよ」
香穂「日誌を提出しに来ました」
今井「はい、ご苦労さま、受け取るわね」
香穂「お願いします」
今井「・・・どう?相澤さん この学校には少し慣れた?」
香穂「はい、初日よりは慣れました」
今井「そう、なにか悩んでることとかない?」
香穂「悩み・・・今は、特にないです」
今井「なら良かった 慣れないことが多くて大変だと思うけど」
今井「なにかあったら、どんなことでもいいから、いつでも相談してね」
香穂「はい、ありがとうございます」

〇玄関の外
  その頃───
葵「───はい、これ、今日の分の授業ノート」
葵「もし字が読みづらいところがあったら言って」
結衣「・・・ありがとう、葵ちゃん・・・」
結衣「いつもごめんね・・・ わざわざ家まで来てもらっちゃって・・・」
葵「気にしなくていいよ 家近いんだし、全然大変じゃないんだから」
結衣「でも・・・授業のノートも、毎回コピーを取って持ってくるのも大変でしょ・・・?」
葵「そんなの、私がやりたくてやってるんだから 結衣は気にしなくていいの」
結衣「・・・私が、学校に行ければいいんだけど」
結衣「迷惑かけてごめんね・・・」
葵「はい、ここからもう謝るの禁止」
葵「幼馴染が辛い思いをしてるのを間近で見てて 何もしないでいる方が嫌なんだから」
葵「迷惑かけてる、だなんて思う必要ないんだよ」
葵「ただ、ありがとうって思っとけばいいの」
結衣「うん・・・」
結衣「ありがとう・・・葵ちゃん」
結衣「でも、少しでも早く学校行けるように・・・ 頑張るね・・・」
結衣「部活も・・・そろそろ、コンクールの絵を描き始めないといけないし・・・」
葵「うん、そうだね」
葵「無理せず、ゆっくりいこう」
結衣「・・・うん」
葵「じゃあ、また明日 なにかあったら連絡ちょうだい」
結衣「うん・・・また明日ね」

〇散らかった職員室
  ───職員室
今井「・・・ふぅ、すっかり遅くなっちゃった」
今井「もうこんな時間・・・ そろそろ帰らないと───」
小野「───今井先生」
今井「ああ、小野先生もまだ残ってたんですね」
小野「ええ、まあ ・・・今井先生も遅くまでご苦労さまです」
今井「お互いに、ですね ・・・で、どうかされました?」
小野「・・・転校生の、ことなんですが」
今井「ああ・・・相澤香穂さんですか?」
今井「彼女がどうかしました?」
小野「あの・・・彼女は・・・」
小野「・・・、・・・」
今井「・・・? 小野先生?」
小野「・・・すみません、やっぱりなんでも」
小野「忘れてください ・・・お先に、失礼します」
今井「え?・・・分かり、ました お疲れ様です・・・」
今井「・・・? なんだったのかしら・・・」
今井「まあ・・・いいか 私も帰らないと────」

次のエピソード:第4話

コメント

  • きめ細かくキャラクターが描かれていて素敵ですね!
    思春期の少女たちが、それぞれ悩みを抱えてそうですね。
    学校に行けない子もいるし、
    小野先生は何を言いたかったのか、謎を呼びますね!

成分キーワード

ページTOPへ