10.Calamity/硝煙たなびくミネアポリス③(脚本)
〇城門の下
1865年、シカゴ、AM11:48
ミネアポリスで起きている混乱と同日同刻
〇ファンタジーの教室
『占星術師』「『占星術』」
『占星術師』「ま、小難しい事抜きに言えば、 『運命を観測する術』の事じゃ」
Mr.トラダ、復習の時間じゃ
”『運命』について”
ワシがお主に説明した内容、覚えておるか?
学生のトラダ「押忍(オフコース)ッッ」
〇地図
突き詰めると、
人生とは、数多の『選択』の連続
その中でも特別──────、
”ほぼ確実に経験する事になる『未来』”
『成長』『寿命』
『出会い』『別れ』
『繁栄』『衰退』
エトセトラ・・・
それが『運命』
大きな『因果の流れ』をさす言葉
学生のトラダ「あなたは『運命』、感じてますか??」
〇ファンタジーの教室
『占星術師』「覚えておるのぉ、 流石『占星術師』志望じゃ」
学生のトラダ「感謝(ッザ〜〜〜〜ッスッッ)!!!」
学生のホロー「トラダくんすご〜い」
(なんで『花びら』撒き散らしたん?)
『占星術師』「汚した教室、ちゃんと掃除しとけよ?」
『占星術師』「それも『運命』ってやつじゃな」
『結社(フラタニティ)』の辿る『未来』
〇市場
このミネアポリスでの戦いが
『運命の分かれ道』
〇カジノ
『聖女』の望む『世界平和』は
独善と狂信の入り交じる『ディストピア』
〇城の回廊
『秩序』を乱す力のある芽は
早急に摘む必要があるのじゃ
〇地球
『占星術師』「『聖女』は『かみさま』に傾倒する故に あやつの『異能の本質』を軽視しとるが⋯」
『占星術師』「『視点』は違えど、 『異能の本質』が近いワシには理解出来る」
『占星術師』「生きとし生けるものを縛る『運命』、 その鎖に縛られない存在────」
ヘレナ
お主は
”降神の為だけに用意された命”
では無いこと証明しろ
『結社(フラタニティ)』創立メンバー
『錬金術師』
その『忘れ形見』よ
〇宇宙空間
■■■■(『北斗七星』)
■■■■(その近くある、 うっすらと観測出来る星、『アルコル』)
■■■■(『肉眼で捉えられる視力』を持つ人間は、 最前線まで徴兵され死を運命付られる、か)
〇荒廃した教会
『凄惨』って
こういう場面の事を言うんだねぇ
ドミニク「『内戦』の事後処理をしてると こういう場面に度々出くわす」
ドミニク「『運命の出会い』って奴なのかね?」
ドミニク「お前さんが『これ』やったのか? 名前はなんて言う?」
⋯『ジェーン』
ついてきな、『戦争孤児』
この世にはびこる『罪(不条理)』に、
『罰』を与えるのは、お前さん さね
〇宇宙空間
ジェーン・オルコット(あんなに綺麗な星なのに)
ジェーン・オルコット(『厄災(カラミティ)』の意味を持つなんてね)
ジェーン・オルコット
オルコット兄弟 長女 22歳
ジェーン・オルコット「あ、そろそろ招集の時間だったか」
〇怪しげな山小屋
ドミニク「お〜、来たか」
賞金首狩り集団
『ドミニオン・ファミリー』
首領
『審判のドミニク』
ドミニク「ぼーっと『天体観測』かい」
ドミニク「姉ちゃんったら、 ホント呑気なもんだよォ」
ヘンリー・オルコット「姉さんを『愚弄』すンなって いつもいつも言ってるだろ、ダボカスぅ」
ヘンリー・オルコット
オルコット兄弟 長男 20歳
ヘンリー・オルコット「姉さんより強い訳でもねーオッサンにさ〜 ンな事言われる筋合い無いよね?」
「きもいよー、『シスコン』きもいよー」
キッド・オルコット
オルコット兄弟 次男 12歳
キッド・オルコット「”姉さんがいたから” ”姉さんのお陰で” ”姉さんの『銃の腕前』は世界一なんだ!”」
キッド・オルコット「姉貴にばっかり くっついてさぁ〜🤪 恥ずかしくないんですかぁ〜〜ン?🤪」
〇怪しげな山小屋
「そこまでに、しときなよっ」
ジェーン・オルコット「『兄弟』で、喧嘩とか⋯ 良くないからさ、ねっ?(精一杯の笑顔)」
ドミニク「⋯」
ドミニク「────さぁさぁ、 『仲良しこよし』も結べたところで」
ドミニク「早速、『クライアント』からの お仕事情報を共有するとしようかね」
〇花模様3
『使徒機関(カテドラル)』
英国を中心に
世界展開している『慈善団体』
まぁ、俺っち達となんら変わらない
『善良な市民』って奴さ
だが、そこの『幹部ちゃん』が
ちょ〜っちオイタが過ぎる事を しでかした
今回のターゲットはソイツ
その名前は──────
〇白
『ソロネ』
〇田舎の教会
イフェイオン「いつもありがとうございます」
ソロネ「いえいえ、ただの『施し』ですから」
ソロネ「パンを焼くのが趣味の奴が教会にいるので、 お気になさらず」
イフェイオン「生徒たちも本当に喜んでます」
イフェイオン「⋯『アンジュ』!ホラ!お礼は!?」
アンジェリカ「⋯」
イフェイオン「すいません、本当に恥ずかしがりで・・・」
ソロネ「構いませんよ、妹さんですか?」
イフェイオン「ええ、『アンジェリカ』といいます」
ソロネ「いい名前ですね」
アンジェリカ「⋯」
ソロネ「───ああ、そうだ、少々お待ちを」
〇田舎の教会
「きれい」
ソロネ「『ルーン石』」
ソロネ「昔、私の『師匠』から貰ったものです」
ソロネ「私に向く『体系』では無かったので 扱いに困っていたのですが────」
ソロネ「”あなたなら、きっと使いこなせる”」
ソロネ「そのような 『運命の様相』が視えましたので⋯」
ソロネ「この『占いの手解き書』も一緒にね」
アンジェリカ「⋯」
アンジェリカ「ありがと、ございます」
〇池のほとり
ヘンリー・オルコット「待て待て待て待て」
キッド・オルコット「『極悪人』なんだろ? サッと殺してサッと帰れば良いじゃん」
ヘンリー・オルコット「時と場所と倫理を考えろっつーの!! オッサンにそう教育されてねーの!?」
キッド・オルコット「習ってないので分かりませ〜ん」
ヘンリー・オルコット「コイツ、本当にムカつくわぁ」
ジェーン・オルコット「『極悪人』だろうと『善良な市民』だろうと」
ジェーン・オルコット「アタシらにとっては クライアントからの『手配書』が最優先事項」
ジェーン・オルコット「『賞金首』に設定されるって事は それ相応の『罪』があるハズなのよ」
〇田舎の教会
だからアタシ達が
『審判』を下さなきゃいけないのよ
ジェーン・オルコット「手筈通り、 アタシは『裏口』から回る」
ジェーン・オルコット「注意引き付けて『挟み撃ち』、いい?」
「りょーかい」
〇教会の中
「⋯おや、」
「こんな時間の来客だが、」
ソロネ「『空腹で貧しい人』、という感じではないな」
ソロネ「ここは『教会』────『神の御前』だ」
ソロネ「『訪問者達』よ、慎重に言葉と行動を選べ」
キッド・オルコット「”死ね”」
ヘンリー・オルコット「んえっ!?」
キッド・オルコット「いや、ナイフで弾くとかヤバすぎん?」
ヘンリー・オルコット「お前もヤバすぎだから!!」
ソロネ「⋯やはり『追っ手』か」
ソロネ「『占い』で大方アタリはついていたが⋯」
〇ステンドグラス
アザレア「ここまで『思い通り』なのも珍しいわ!!」
〇教会の中
ヘンリー・オルコット「危ッねッ!!!」
キッド・オルコット「『バカみたいなリングイン』でウケるわ〜!!」
ソロネ「AMEN(アーメン)」
〇教会の中
ヘンリー・オルコット「近づけさせんなッ!!」
キッド・オルコット「ありがと、ブラザー♡」
アザレア「バカみたいなリングイン⋯? え、バカみたいなリングイン⋯?」
ソロネ「ステンドグラス、管理者さんに弁償だからな」
ヘンリー・オルコット「『連射』」
キッド・オルコット「おう」
〇教会の中
キッド・オルコット(あの女、ナイフの扱いも上手ぇな!)
ヘンリー・オルコット(コイツら、銃撃の弾幕すら ナイフで完ペキに『いなして』やがるっ)
キッド・オルコット(『弾道』見えてるのか 『反射と予測』で動いてんのか知らねーケド)
組まれたらヤバいな
ソロネ「”我、振るうは『ナイフ』に非(あら)ず”」
ソロネ「”『悪徳』を狩り、『十字』を切る為の”」
『使徒の剣』
ソロネ「──────────────な、に?」
この場全員の
『運命の様相』が⋯
〇養護施設の庭
遡ること、1分前
ジェーン・オルコット「⋯」
綺麗な星空
アタシは『目』が良いから、
他の人より綺麗に見えるのかな?
ジェーン・オルコット「────────え?」
〇養護施設の庭
〇養護施設の庭
ジェーン・オルコット「”『星の光』が”」
ジェーン・オルコット「”『町』に降ってきた?”」
「ほほ」
『占星術師』「『先客』か、足が早くて助かるの」
ジェーン・オルコット「─────『使徒機関(カテドラル)』?」
『占星術師』「まさか」
「”ワシはただ、『星空』を見てただけ”」
”明滅する星々に、『意味』をつけただけ”
『占星術師』「それじゃあの、お嬢ちゃん」
「”『厄災』が降りそそぎ『戦争』が始まる”」
「”これは、そういう『運命』じゃ”」
〇黒
〇教会の中
殺せ!殺せ殺せ!!
『奴隷否定派』のスパイ野郎!!
『軍部』の情報を横流ししやがって!!!
敵「”ここにいるヤツら全員『グル』だ!!” 間違いない!!」
アザレア「!」
〇黒
〇教会の中
ヘンリー・オルコット「────『戦争』だァ?」
ヘンリー・オルコット「ざけんじゃねェよ」
〇荒廃した教会
両親も死んで、兄弟だけ取り残されたけど
姉さんが、全部全部背負ってくれたんだ
お金も稼いで、飯食わせてくれて、
『理不尽』から、俺たち兄弟護ってくれた
『戦争』だァ?『奴隷制』だァ?
〇教会の中
ヘンリー・オルコット「俺は『賞金首狩り』で、『ガンマン』だ!!」
ヘンリー・オルコット「目の前の『理不尽』から 逃げる事なんて有り得ねェ!!」
ヘンリー・オルコット「お前たち、『一時休戦』だ!! ”何かがおかしい”」
ヘンリー・オルコット「切り抜けてから 正々堂々『決闘』しやがれ!!!」
アザレア(あらやだ・・・)
ソロネ「っぷ」
〇黒
りょーかい、『兄弟(ブラザー)』
〇田舎の教会
アザレア「町に『戦火』が⋯」
ソロネ「子供たちの『安否確認』が最優先か」
ヘンリー・オルコット「行こう」
キッド・オルコット(なーんか、『興醒め』)
〇西洋の街並み
『賞金首狩り』とか
『罪を罰する』とか
『誰かを助ける』とか
そんなのどーでもいい
〇山中の川
⋯オッサンさぁ
ドミニク「ん〜?」
アンタってやたら
『罪』とか『罰』とか拘るじゃん?
昔なんかあったの?
ドミニク「あったよォ 教えんけどね」
ドミニク「昔、とある『組織』にいたのさ」
〇カラフルな宇宙空間
組織での俺っちの役割は、
いわば『統治』って奴さ
ルールに従わない輩を『裁く』
危機が近づいたら敵を『裁く』
ドミニク「そんなところさね」
ドミニク「⋯」
ドミニク「キッドよォ、お前さんなら 『共感』出来ると思うんだよなぁ」
ドミニク「ジェーンとヘンリーは、 きっと『この領域の話』を理解出来ねぇしな」
『世界』は複雑なのさ
白黒ハッキリ分けるなんて出来ねェ
〇地球
どんなに『罪』を裁こうが、
『争い』が無くなることなんて絶対にない
それが人間の『運命』って奴さ
だから、俺っちは悟っちまったのさ
〇崩壊した噴水広場
重要なのは─────
ヘンリー・オルコット「あっ!遠くのあの影!絶対姉さん!!」
アザレア「えっ あんなボンヤリで分かるの!?」
ヘンリー・オルコット「ガンマンの目、舐めんなって!!」
ヘンリー・オルコット「姉さ〜ん!!」
〇黒
異様な光景だった
ソロネ達は
数多の戦場をくぐり抜けた
『経験』があった
『潜伏した敵』への警戒を
怠ることはありえなかった
にも、関わらず
〇黒背景
目の前には『厄災』そのものを
具現化した雰囲気の『人間ひとり』と、
ジェーン・オルコット「無事で、良かった」
〇血しぶき
『一個小隊(約50人)』程の死体が
周囲に転がっていた
ジェーン・オルコット「被害が大きくなりすぎる前に、」
ジェーン・オルコット「”あらかじめ 撃(ブ)ち殺しておいたよ”」
〇崩壊した噴水広場
「──────ああ、そっか」
ジェーン・オルコット「『賞金首』、連れてきてくれたんだ」
ヘンリー・オルコット「────あ、違っ」
ジェーン・オルコット「ありがとう、2人とも」
〇赤(ダーク)
『罪』には『罰』を与えなければならない
〇崩壊した噴水広場
ジェーン・オルコット「⋯あれ?」
「懇意にしてる 『クライアントさん』からクレームさね」
ドミニク「ひとつ、お前さんが作った『死体の山』は ”クライアントの人材が大半を占めていた”」
ドミニク「ふたつ、この町の『争いそのもの』は ”『この規模』で終結してしまっては困る”」
ドミニク「って言われちまったよ、悲しいねぇ」
「ぐあぁああぁ・・・・・・ッ」
ソロネ「”ここまで『堕ちた』のか、ドミニク”」
ドミニク「おぉ〜、おっかなっ」
ドミニク「こんな展開は全くの予想外だったさ、 ⋯『不確定な因果』が絡んだのかね?」
ドミニク「それじゃあまた、 会える時を楽しみにしてるよ」
〇崩壊した噴水広場
ソロネ「視界がっ」
「あぁ〜、そうだそうだ、キッドよ」
「お前には、『伸び代』がある」
「着いてくるなら、いつもの場所に来いよ」
キッド・オルコット「────────、」
〇血しぶき
〇モヤモヤ
ヘンリー・オルコット「⋯」
ヘンリー・オルコット「ドミニクの野郎⋯ッ」
ジェーン・オルコット「ヘンリー」
ヘンリー・オルコット「⋯! 姉さん!無事で良かった!!」
ジェーン・オルコット「ゴメンね、出来損ないの姉さんで」
ヘンリー・オルコット「え?」
ジェーン・オルコット「家族でアタシ達だけが生き残って、 たまたまアタシに『銃の才能』があって」
ジェーン・オルコット「アイツに拾われて養われて生きる事になって」
ジェーン・オルコット「他の『生き方』、用意してあげられなかった」
ジェーン・オルコット「『厄災』だらけだったね、アタシ達の人生」
ヘンリー・オルコット「そんな事、ある訳ねーだろッッ!!」
ヘンリー・オルコット「姉さんがいたか、ら、生きてこれたッッ」
ヘンリー・オルコット「俺に『銃(生き方)』、教えてくれた!」
「護ってくれて、いつも傷ついてたのは、 姉さんだったのに、俺、甘えて⋯」
ジェーン・オルコット「⋯それでもね、」
ジェーン・オルコット「⋯ヘンリー、よく聞いてね」
ジェーン・オルコット「『罪』を『罰』するのは 正しい事なのかもしれない」
ジェーン・オルコット「『審判』で救われる人も、 喜ぶ人もいるのかもしれない」
ジェーン・オルコット「それでも、それでも、」
〇骸骨
『銃』は、どこまでいっても
『人殺しの道具』なのよ
ヘンリー・オルコット「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ」
ヘンリー・オルコット「──────それでも、それでも!!!!」
〇宇宙空間
姉さんは、俺の姉さんでッ
いつも家族の歩く道を照らしてくれたッッ
ヘンリー・オルコット「『厄災』なんて知ったこっちゃ無ェ!!」
ヘンリー・オルコット「そんな『理不尽』に 挫けそうになってる奴は、絶対助け出す!!」
ヘンリー・オルコット「”『ジェーン・オルコット』が 『俺の生きる道』なんだ!!”」
ジェーン・オルコット「────────ああ、そっか」
ジェーン・オルコット「アタシって、アタシの『人生』って、」
ジェーン・オルコット「──────幸せ、だった、、のかな?」
ありがとう、ヘンリー
あんまり一緒にいれなくてごめんね、キッド
兄弟喧嘩、しないで
2人とも、仲良くしてね
〇崩壊した噴水広場
「⋯」
「姉さん?」
「起きてよ、姉さん」
「いなくならないで」
「───『アタシ』を、置いていかないでよ」
なんだか見覚えのある人物が見覚えのある口調をしている!?
オル姉の悲しい過去が!
進む道が別れた兄弟の先が気になる。
オルコットのオネエ口調にはそんな暗い過去が……。
姉を失いし兄弟の運命は果たして……。
うぅ…うぅ…🥲姉さん…嫌だよ…置いて行かないで。厄災でも何でもいいから、僕達の側にいて…。姉さんは僕達の星なんだから。…嫌だよ…。…嫌だよ…。
姉であり、時には母であり、父であり…。弟たちの為に"厄災"である事を選択し続けた運命。一切れのパンを弟たちの為に銃を振るい続けた命の幸せはお姉さま自身にしか分からない。
今回も涙涙のお話でした!素敵な深い物語にキャラを使っていただき感謝です!