二郎訪問録(脚本)
〇展示場の入口
2024年4月某日
私は横浜の地にいた
無論、仕事でだ
だが、真の目的は違う
あの二年前の感動を
酒池肉林の謝肉祭を
今一度・・・
『ラーメン二郎』を味わうために
わらやま「さぁ、仕事は終わった」
わらやま「二年ぶりだな・・・二郎よ」
ラーメン二郎は二度行く
〇改札口前
翌日
わらやま「・・・」
私は二年前に行ったラーメン二郎関内店に再び訪れるため関内にやってきた
友人「おっす」
わらやま「うっす」
関内駅にて本日同行する友人と合流する
二年前にともに二郎に行った仲であり
ジロリアン中のジロリアン
彼と会うのは前回二郎に共に行って以来だが
二郎に赴くという心構えがそうさせるのか
精悍な顔つきは歴戦の戦士そのものだ
友人「んじゃ、早速行こっか」
わらやま「ああ」
久しぶりの再開だが2人の間に過度な言葉や交流は必要ない
空腹と渇望だけが2人を繋ぐのだ
〇超高層ビル
関内のラーメン二郎は比較的好立地だが
それでも10分弱は歩くので足早に向かった
友人「この人達全員二郎に行くんだよ」
友人は道行く人を指しこう言った
わらやま「はは、そんなばかな」
関内は大変賑わっている繁華街
当然娯楽も飲食店も多く、人通りも多い
わらやま「放言が過ぎるだろ」
友人「ま、とにかく早く行こ」
友人の指示で足早に進む
なお、時刻は10時30分
マクドナルドならギリ朝マックが頼めるくらいの時間だ
だが
わらやま「なっ!?」
わらやま「なんだあの行列は!?」
なお、時刻は10時30分
ドトールならギリモーニングが頼める時間だ
友人「日曜日で快晴ならこんなもんでしょ」
友人は一切の動揺もなく列に着いた
経験値の差というのは如何ともし難い
わらやま「前回は夜だったから混んでたんだと思ったよ」
友人「二郎に昼も夜もないよ」
友人「『二郎を食す』と心の中で思ったならッ!」
友人「その時スデに行動は終わっているんだッ!」
友人は生粋のジョジョラーでもある
〇超高層ビル
我々が行列に並びはじめて少し経つと
わらやま(こ、この人は!?さっきの!?)
わらやま(ま、またさっきの通行人!?)
わらやま(本当に二郎の客だったのか!?)
友人「だろ?」
二郎を愛する者のみに伝わるナニカがあるようだ
わらやま「早く来て正解だったな」
友人「まぁこれくらいの行列なら回転早いしすぐ順番来るよ」
行政に並ぶ事で高まっていく期待値と緊張
心の準備をするにはちょうどいい時間だ
〇ラーメン屋
40分後
我々は列の最前列あたりまで来た
かなりの行列ではあったが、さすがは10時台に二郎を食す猛者達
凄まじい回転率で店を去って行った
友人「そういや今日はどれにすんの?」
わらやま「小ラーメンの『汁なし』いこうと思う」
友人「いいね、俺もそのつもり」
汁なしは関内の名物である
二度目の訪問の私ごときが頼んでいいものかと逡巡はしたが
折角の機会だと勇気を出したのである
友人「エリクサーは?当然買うっしょ?」
彼がエリクサーと言っているのは
店先の自販機で売っている黒烏龍茶のことだ
関内店は店先の水を持っていくスタイルだが
通路は狭いので、何度も往復するのはギルティとなりうる
わらやま「ああ、もちろん」
わらやま「エリクサー所持は冒険の基本だよな」
私はエリクサーを手にして万全の状態で臨むこととした
なお、体感で6割くらいの人がエリクサーを買っていた
店員「先頭でお待ちのお客様入ってください!」
気持ちのいい元気な声が響く
わらやま「あ、はぁーい」
友人「グッドラック!!」
私は店員の誘導に従い、店内へと進む
なお店員は皆ちいかわコラボのシャツを着ている
二郎が国民的な飲食店である事の証左と言えよう
〇ラーメン屋のカウンター
二年ぶりの来訪の感動はあったが
それ以上に速やかに指定の席に向かう事に意識を向け、通路を奥に進んだ
着席してしばらくたつと
店員「ニンニクは?」
わらやま(来た)
二年前は日和って一切マシマシにしなかった
今二年の月日を経て、言い放つ
わらやま「あ、ニ、ニンニク少なめで」
店員「あー、はい、ニンニク少なめね」
わらやま「・・・」
言い訳させてほしい
私はこの昼食の数時間後、帰宅するためのフライトを予定していたのだ
荒れ狂う食欲と挑戦欲を理性と社会性で抑えたのだ
ご理解ご容赦いただきたい
そしていよいよその時は来た
店員「はい、小の汁なし!!」
わらやま「お、おおーー!!」
二年ぶりの会合
小という響きからは考えられない存在感
少なめではあるがたしかに香るニンニク
汁なし故に際立つ具や麺の存在感
その全てが
本能を──食欲を揺さぶる
わらやま「いただきますっ!!」
私は目の前の馳走に貪りついた
まずは麺
わらやま(くぅーーーうめぇ!!)
極太の麺が僅かな水分である濃厚なタレを絡み取り
一本一本が強い存在感を放っていた
続いてニク、ヤサイ
わらやま(これもなかなか)
普通のラーメン屋のチャーシューの2倍はあろうかという肉厚なニクは
人間に肉食は必要であると訴えかけるかのようだ
ヤサイは濃厚な油を優しく包み込んでおり
贖罪の食材として佇むその姿はさながら聖母マリアのようである
わらやま(うめぇ!!うめぇよ!!)
私は夢中で貪る
わらやま(おっと忘れるとこだった)
エリクサーの接種を忘れてはならない
過酷な戦いには休息も必要だ
そして5分後
わらやま「・・・」
わらやま「ご馳走様でした!!」
私は無事に完食し店を出た
〇ラーメン屋
友人「どうだった?」
わらやま「なんか・・・すごかった」
友人「二年前と同じ感想じゃねぇか!!」
わらやま「汁なし美味いね」
友人「俺もココ来たら大体汁なし」
わらやま「汁なしだとより具材の旨みが際立つ気がする」
友人「それな」
友人「ああ、なんかそんな話してたらまた二郎食べたくなってきた」
わらやま「今食べたとこじゃん!!」
さすがはジロリアンである
だが私にも少しわかる
二年前は満足感が身体を巡っていた
もちろん今回も同じなのだが
聞こえるのだ
脳が、身体が、細胞が
新たな二郎を求める声が
友人「また機会あったら行くっしょ?」
わらやま「ああ、もちろん」
わらやま「二郎は」
わらやま「二度行ったくらいじゃ足りねぇよなぁ」
それは新たなジロリアンの産声か
はたまた弱者の虚栄心か
今現在では『知る由もない』
有 言 実 行 !
対戦、お疲れ様でした☺︎
(理性とニンニクのせめぎ合い、わかりみが深い……)
汁なし小ラーメン、美味しそうですね。頼んでみようかな……
久しぶりの新作これがいいんですよ!!(挨拶)
グゥぅ!!(お腹の音でも挨拶)
美味しそうです…二郎は食べたことないのですが、いわゆる二郎系は食べたことあります…本家はどんな味なのか気になります…お腹…お腹減ってきました…😇
情感たっぷりで、画面から香りが漂ってきそうな体験記、最高です✨
作品タグが「二郎」のみというのも潔くて好きです😂
次回は全増し体験でしょうかね😊