41話 友だちはいや(脚本)
〇王宮の入口
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さまのお知り合いの方々とご挨拶できたことだし、レバノスタン領のみんなを見習ってショッピングを楽しみましょう!」
ハグスタリ・ベラ「ルゥラッハ様はお仕事で早めに帰ってしまわれたのですよね」
ハグスタリ・ベラ「一緒に町を回る予定が、急にお仕事が入ってしまうなんて──・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「これからずっとテルヌンドで暮らしていくのよ? 町なんていつでも来られるわ!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さまと遊びに来た時に案内できるように今日はとことん遊び尽くしましょう!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「見て、ベラ! あそこはテルヌンドの衣装が売っているみたいよ! 行ってみましょう!」
ハグスタリ・ベラ「はい、お嬢さま」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「・・・アゥルペロ」
エレエレ・テンテンポム「ルゥラッハさま? 何をしているんですか? はやく帰って仕事をしないと・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(アゥルペロとのお出かけがしたくて戻ってきてしてしまった・・・)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「だ、大丈夫。何でもないんだ。帰ろうエレエレ」
きゃああああ!!
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「今の声はアゥルペロか!? 急いで追いかけるぞエレエレ!!」
エレエレ・テンテンポム「はい!!」
〇暖炉のある小屋
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「何をするの!」
◇◇◇「申し訳ございませんお客様。テルヌンドの衣装は初めてでしょうからお手伝いをしようと思い──」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ふざけないで!! 突然こんなところへ連れてきたと思ったら、服を脱がせようとしてくるなんて!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「あんな素敵な王様がいる国にもこんな人がいるのね!!」
ハグスタリ・ベラ「お嬢さま、はやくここから出ましょう」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「待ってベラ。この町にはレバノスタン領のみんなも来ているのよ? もし私たち以外にもこんなことをしているのなら許せないわ!」
◇◇◇「お嬢さん・・・他のお客様もいますから、騒がないでください。では、こうしましょう」
◇◇◇「お召し物を脱ぎ終わったら、お手伝いいたしますので・・・」
〇噴水広場
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「アゥルペロだけでなくレバノスタン領の者に手を出しているだと!? エレエレ、突入するぞ──!!」
エレエレ・テンテンポム「ルゥラッハさま、今店に入っていったご令嬢は・・・」
〇暖炉のある小屋
きゃあ──!?
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ベラ──!!」
◇◇◇「この女、高そうな服を着てるな。高く売れるぞ〜」
◇◇◇「いいから、さっさと脱がしちまおうぜ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「離しなさい無礼者!!」
◇◇◇「怒ってる顔もかわいいねー」
◇◇◇「ちょっと遊んじまおうぜ?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さま・・・」
◇◇◇「熱い!! 熱いいい!!」
◇◇◇「なんなんだ、なんなんだよおお!!」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「何が起きてるの?」
「お久しぶりね、レバノスタン令嬢」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「ま、マレオッサ会長!?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「な、なんでテルヌンドにあなたが・・・?」
ペルゼシア・マレオッサ「なんでって、私の家がある国ですもの?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「え・・・」
ペルゼシア・マレオッサ「この間聞いていたでしょう? マレオッサ家は魔法学校を運営するグループの各国代表の一つです。つまりテルヌンド代表よ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「そ、そうだったんですか?」
ペルゼシア・マレオッサ「それより、派手な魔法を使ってしまって悪かったわ。あなたに何かあったらと思って焦ってしまったの。怪我はない?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「だ、大丈夫です・・・その」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「今回だけでなく、この間も助けていただいて・・・本当にありがとうございます」
ペルゼシア・マレオッサ「学園の生徒に手を出そうとしたのよ? 仕事の一環だから気にしないでね」
ペルゼシア・マレオッサ「あの人たちは最近テルヌンドに無断で商売をしにきている他国の者たちなの」
ペルゼシア・マレオッサ「全員捕まえるために少しずつ情報を集めていたのだけど・・・ゆっくりしている暇はなさそうね」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「その・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お仕事でも助けていただいたわ。 本当にありがとうございます!」
ペルゼシア・マレオッサ「・・・・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「マレオッサ会長?」
ペルゼシア・マレオッサ「何でもないわ。お礼を言われることに慣れていないの」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「そ、そうなんですか?」
ペルゼシア・マレオッサ「・・・それより、あなたこそなぜテルヌンドにいるの?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「私たち引っ越してきたんです・・・!」
ペルゼシア・マレオッサ「ひっ・・・こし?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「はい!」
ペルゼシア・マレオッサ「”私たち”と言うことは・・・あの方も一緒に来ているの?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お、お兄さまはこの国にたくさん婚約者候補がいますから! エントリーは受け付けてますが、あなたは受けられませんからね!」
ペルゼシア・マレオッサ「本当にお兄さま想いね」
ペルゼシア・マレオッサ「心配しないで。興味があるのはあなたの方だもの」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「わ、私ですか?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「婚約者の話をしていたんですよ?」
ペルゼシア・マレオッサ「だって、あなたかわいいじゃない?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「か、かわいい・・・ まあ、かわいいかもしれないわ」
ペルゼシア・マレオッサ「テルヌンドに住むのなら、また会うことがありそうね。いつでも呼んで。さっきも言ったけど、あなたに興味があるんです」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「まあ! テルヌンドにはお友達がいないから、嬉しいです!」
ペルゼシア・マレオッサ「お友だち・・・ですか」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「し、失礼なことを言ってしまいましたか?」
ペルゼシア・マレオッサ「いいえ・・・ただ」
ペルゼシア・マレオッサ「はやく私のことを意識してもらわなくちゃね」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「え?」
ペルゼシア・マレオッサ「また会いましょう、レバノスタン令嬢」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「な、なんだったのかしら・・・」