あなたが星に

かろてん

読切(脚本)

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〇電車の座席
  ガタンゴトン
  電車が揺れる。
  ガタンゴトン。
  夜の電車に乗ると思い出す事がある。
  私には1つ離れた姉が居る。

〇綺麗なダイニング
  立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。
  そんな美しく優雅で、頭脳明晰な姉は誰からも慕われるような人間だった。
  そして私は、そんな姉が大好きだった。
  しかし、私は姉の秘密を知っていた

〇海岸沿いの駅
  それは、
  「星になりたい」という夢があること。
  初めて聞いたのはいつであったか、
  覚えていないほど前なのは確かだ。
美優「私お星様になりたいの」
  私にそう言った姉は本当に万遍の笑みで、
  私がなんと答えたかなんて覚えていないが、私もつられて笑顔になったのは確かだった

〇綺麗なダイニング
  姉は25歳になった今でも、
美優「私星になりたいの」
  と言う。
  私には意味が分からなかった。
  星になりたい。なんて非現実的なこと姉が言うわけが無いと。
  そう思っていたから。
  だが目の前では姉が「星になりたい」と言っている。
  私はもう、ほとほと呆れていたが、姉は本気のようだった。

〇団地のベランダ
  夜になればうっとりと空を眺め、

〇渋谷のスクランブル交差点
  わざわざ深夜に街へ向かったり

〇川沿いの原っぱ
  車を遠くまで走らせて空を眺め写真に収めていた。
  姉は本当に星が好きなのだ。

〇綺麗なダイニング
  姉と2人の生活は本当に星だらけだった。
  そんなある時、母が倒れた。という連絡が入ってきた。
  姉は本当に母が大好きだった。
  もちろん私も尊敬していたし、好きだったが、そんなこと比にならないくらい。
  姉に星のことを沢山教えたのも母だった。
  そんな母が倒れたという話で本当に不安になったのだろう。
  姉はすごい勢いで家を飛び出した
  私も心配だったので会社に連絡を入れ、すぐに母のいる病院へと向かった。

〇殺風景な部屋
  日はもうとっぷり暮れていたにも関わらず、病院内はとても明るかった。
  受付で事情を話すと、病室へ通された。
  部屋へ入ると
  げっそりとした父、目が赤く腫れてもなお泣きじゃくる姉、そして
  息を引き取った母の姿があった。

〇大きい病院の廊下
  話を聞くと、私が来る本当に少し前に息を引き取ったそうだ。
  姉が到着した頃にはもう危ない状態だったそうで、お医者様も褒めてあげてください。と言っていた。
  1人になり、今まで沢山の迷惑をかけた事、楽しかった思い出なんかがごちゃごちゃになって思い出され、涙が止まらなかった。

〇綺麗なダイニング
  葬式は円滑に進んで、気がつくと元の日常に戻っていた。
  しかし、変わったことがひとつあった。
  それは姉だ。
  今までに無いくらい痩せ、見る影もなくなった姉は、相当病んでいた。
  毎日自室に引き籠り、時々顔を出しては
美優「消えたい──」
  と、そればかりだった。
  私も母の死は受け入れられないほど辛く、悲しいものだったが、現実はそう甘くはない。
  私はあれから毎日しっかりと会社に行っていたし、姐にも積極的に話しかけた。
由香「今日はプレゼンもかなり上手くいったし、一緒に美味しいものでも食べない?」
美優「辛い── 消えたい──」
  姉は相変わらずそれだけだった。
  週末になり、やっとの休みを満喫していると姉に声をかけられた。
美優「私星になりたい」
  いい加減にして欲しかった。
  仕事と姉の影響で心身共に疲れていたのに。
  私だって苦しいのに。
  そんな感情は限界を超え言葉になった。
由香「いい加減にして!もういい、お姉ちゃん出ていって」
  私の言葉に姉は目を丸くした。
  不満を表したことに驚いたのだろう。
  ため息をつく私を見て姉は肩を落とし、自室に帰っていった。
  折角の休日に、この気持ちを引き摺りたくなかったので、私は出かけようと思い車を走らせることにした。

〇綺麗なダイニング
  日が傾き始めた頃家に帰ると、そこには誰も居なかった。
  私が出ていくように行ったからだろうか。
  しかし、私には明日も仕事が待っている。
  気にしている場合では無いのだ。
  姉もいい年した大人だ。そこまで気にすることでもないだろう。
  しかし、一応姉がいつ帰ってきてもいいような準備だけはしておいた。

〇綺麗なダイニング
  あれからもう3年が経った。
  姉は元気に暮らしているだろうか、どこで何をしているんだろうか──
  そんな時、姉から一通の手紙が届いた。
  今度、”式”をするから来て欲しいの。
  そんな内容だった。

〇電車の座席
  私は久しぶりに電車へと乗り込み渋谷へ向かった。
  式の他に素敵なところで写真も撮ると書いてあったので楽しみにしつつも、久しぶりに姉に会えることの喜びがとても強かった。

〇結婚式場のレストラン
  しばらく会っていなかった父は、本当に元気そうで、お互いに近況報告をしあった。
  他にも、久しぶりに会う親戚や来てくれた友人に挨拶を済ませると式は直ぐに始まった。

〇結婚式場のレストラン
  久しぶりに見た姉は相変わらず綺麗だった。
  式もとっても素敵なもので、中には泣いている人もいた。
  式も終わり、全員帰った後姉に声をかけられ、着いてくるように言われた。

〇SHIBUYA SKY
美優「どうしてもここに連れてきたくて」
  話を聞くと、ここで先日写真を撮った時私のことを思い出したそう。
  姉は何も変わっていなくて、どこか安心した。
  本当におめでとう。
  私がそう声をかけると
美優「ありがとう」
  と、いつもの笑顔で微笑んだ

〇電車の座席
  姉は私の家出た後、実家に戻り生活していたらしく
  向こうで勤めていた人とめでたく結ばれたのだ。
  これは姉が、本当に”星”になった話だ。

コメント

  • 「消えたい」などという発言をするようになったときに、悪い方向にいかないといいなと思っていたので、こういうエンドを迎えられて良かったです😂!
    星になる夢が叶いましたね😌✨

  • お姉さんが「星になりたい」と言っていたのは、本当は結婚がしたいという事なのかなと思いました。星のように輝く家庭が作りたかったのかなと勝手に想像してます。

  • 途中で悲しい結末を予想してたので、いい意味で裏切られて良かったです。
    言葉のリズムがきれいで、すごく読みやすく面白かったです。

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